家族の話し合い

認知された子の相続|相続分は嫡出子と同じ・死後認知と遺産分割

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「父に、私たちの知らない認知した子がいた」「自分は認知された子だが、父の相続に加われるのか」——婚姻関係にない男女の間に生まれた子(婚外子)の相続は、知らないと誤解しやすいテーマです。結論から言うと、父に認知された子は父の相続人になり、相続分は婚姻中に生まれた子(嫡出子)と同じです。かつては嫡出子の2分の1とされていましたが、2013年9月4日の最高裁判所大法廷決定を受けて、同年12月に民法が改正されました。この記事では、改正が適用される相続の時期、認知の方法、父の死亡後に認知された場合(死後認知)の扱い、遺産分割で気をつけることを、法務省・裁判所の情報と条文で整理します。

認知された子の相続で押さえる結論

疑問 結論
父の相続人になる? 父に認知されていれば、子として第1順位の相続人になる
相続分は? 嫡出子と同じ(2013年9月5日以後に開始した相続に改正後の規定を適用)
認知の方法は? 生前の届出、遺言、裁判(認知の訴え)の3つ
父の死後でも認知を求められる? 父の死亡の日から3年以内なら認知の訴えができる
死後認知の前に遺産分割が終わっていたら? 分割はやり直さず、価額(お金)の支払いを請求できる(民法910条)

認知とは:法律上の父子関係をつくる手続き

民法は、嫡出でない子は父または母が認知できると定めています(779条)。婚姻中に生まれた子は法律上の父が定まりますが、婚姻関係にない男女の間に生まれた子は、父が認知してはじめて法律上の親子関係が生まれます。母については通常、出生届によって戸籍上の親子関係が示されるため、相続で認知が問題になるのは主に父の相続です。

認知には、次の性質があります。

  • 出生の時にさかのぼって効力が生じる(784条)。ただし、第三者がすでに取得した権利を害することはできない
  • お腹の中の子(胎児)も認知できる。この場合は母の承諾が必要(783条1項)
  • 亡くなった子も、その子に子や孫(直系卑属)がいる場合に限り認知できる。その直系卑属が成年なら本人の承諾が必要(783条3項)

認知されていない子は、生物学上の親子であっても法律上は父の相続人になりません。誰が相続人になるかの全体像は法定相続人の範囲と順位で確認できます。

相続分は嫡出子と同じ:2013年の最高裁決定と民法改正

改正前の民法900条4号ただし書は、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1としていました。最高裁判所大法廷は平成25年(2013年)9月4日の決定で、この規定は遅くとも平成13年(2001年)7月当時において憲法14条1項(法の下の平等)に違反していたと判断しました。これを受けて、平成25年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立し、同月11日に公布・施行され、この部分は削除されました。

相続が開始した時期(亡くなった日) 嫡出でない子の相続分
2013年9月5日以後 改正後の民法が適用され、嫡出子と同じ
2001年7月1日〜2013年9月4日 最高裁決定に従い、原則として嫡出子と同じ扱い。ただし、遺産分割の協議・審判などですでに確定した関係はくつがえらない
2001年6月以前 この最高裁決定の判断の対象外

法務省は、2001年7月1日から2013年9月4日までに開始した相続でも、遺産分割が終わっていなければ、最高裁の違憲判断に従って嫡出子と同等の相続分として扱われると説明しています。古い相続が未分割のまま残っている場合は、いつ開始した相続かを必ず確認しましょう。

計算例(目安)父が亡くなり、相続人が妻、妻との間の子A、認知した子Bの3人の場合、妻が1/2、子A・Bは残りの1/2を等分して各1/4です。改正前のように子Bだけ少なくなることはありません。組み合わせ別の割合は法定相続分の早見表で確認できます。

認知の3つの方法と相続への影響

方法 内容 相続で起きやすいこと
任意認知(生前の届出) 父が市区町村に認知届を出す(民法781条1項) 戸籍に記載されるため、相続人調査で判明する
遺言による認知 遺言で認知する(同条2項)。遺言執行者が就職から10日以内に届け出る(戸籍法64条) 遺言が見つかってはじめて相続人が増える。遺言執行者の選任が必要になる
裁判による認知 子や孫、その法定代理人が認知の訴えを起こす(民法787条) 父の死後に起こされると、遺産分割の途中や後で相続人が加わる

父が亡くなった後でも、父の死亡の日から3年以内であれば認知の訴えを起こせます(787条ただし書)。この場合、訴えの相手方となる父がいないため、人事訴訟法により検察官を被告とします。これを一般に「死後認知」と呼びます。

死後認知で後から相続人が加わったとき(民法910条)

認知は出生時にさかのぼって効力を生じるので、死後認知が認められた子も、はじめから父の子だったことになります。では、すでにほかの相続人だけで遺産分割を済ませていた場合はどうなるのでしょうか。

民法910条は、相続開始後に認知によって相続人となった人が遺産分割を求めようとしても、ほかの相続人がすでに分割などをしていたときは、価額のみによる支払いの請求権を持つと定めています。つまり、遺産分割をやり直して不動産などを分け直すのではなく、本来の相続分に相当するお金を請求する形になります。

認知のタイミング 遺産分割の状況 扱い
父の生前に認知済み 認知された子を除いて協議した 相続人全員の参加がないため、協議のやり直しが必要になるのが一般的
父の死後に認知(死後認知・遺言認知) まだ分割していない 認知された子も加えて協議する
父の死後に認知(死後認知・遺言認知) すでに分割済み 分割は有効なまま、価額の支払いを請求できる(910条)
戸籍の確認を省かない生前に認知された子がいるのに、その子を除いて遺産分割をしてしまうと、910条の対象ではなく、相続人が欠けた協議として問題になります。父の出生から死亡までの戸籍をすべて集め、認知の記載がないかを確かめてから協議を始めましょう(相続の戸籍の集め方)。

認知された子がいる相続の進め方

認知された子とほかの家族に面識がないことは珍しくありません。突然の連絡は相手にとっても負担が大きいため、手紙で、亡くなった事実、相続人であること、遺産の概要と今後の進め方を落ち着いた言葉で伝えるのが一般的です。財産の一覧や戸籍の写しを添えると、相手も状況を判断しやすくなります。

  • 相続人の確定には、戸籍の束の代わりに法定相続情報一覧図を使うと手続きを進めやすい
  • 連絡先は、戸籍の附票などで住所を調べられることがある
  • 会って話しにくい場合は、郵送で協議書をやり取りする方法もある
  • 話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停を利用できる

疎遠な相続人との連絡の取り方は疎遠・絶縁の家族がいる相続で詳しく解説しています。

生前にできる備え

認知した子がいる人が亡くなると、ほかの家族がその存在を相続の場ではじめて知ることもあり、感情的な対立が起きやすくなります。分け方の希望があるなら、遺言書で意思を明確にしておくことが有効です。ただし、認知された子も子として遺留分を持つため、遺言で取り分をゼロにしても、遺留分侵害額を請求される可能性があります(遺留分とは)。再婚などで家族構成が複雑な場合の考え方は再婚家庭の相続も参考になります。

よくある質問

認知されていない子は、父の遺産を相続できますか?

認知されていなければ、法律上は父の相続人になりません。父の死亡の日から3年以内であれば、認知の訴えを起こし、認められれば相続人になります。遺言で財産を受け取る(遺贈)方法もあります。

2013年より前に亡くなった父の相続でも、相続分は同じですか?

2001年7月1日以後に開始した相続で、遺産分割がまだ確定していなければ、原則として嫡出子と同じ扱いになります。すでに協議や審判で確定している場合は、その内容がくつがえることはありません。

認知された子は、相続税の基礎控除の人数に入りますか?

認知された子は法定相続人なので、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の人数に含まれます。

遺言で認知された子がいた場合、すぐに何をすればよいですか?

遺言による認知は遺言執行者が届け出ます。遺言で執行者が指定されていなければ、家庭裁判所に選任を申し立てる必要があります。遺言の検認や執行者の役割は遺言執行者とはで解説しています。

まとめ:戸籍で相続人を確かめ、相続分は「同じ」が原則

父に認知された子は父の相続人で、相続分は嫡出子と同じです。2013年9月4日の最高裁大法廷決定と同年12月の民法改正により、2013年9月5日以後の相続には改正後の規定が、2001年7月以後の未確定の相続にも同等の扱いが及びます。父の死後3年以内なら認知の訴えができ、遺産分割後に認知された場合は民法910条によりお金で精算します。まずは戸籍で相続人を正確に確かめ、全員で話し合うことが、もめない相続の出発点です。

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※本記事は2026年10月時点の法令と公的な案内をもとにした一般的な解説です。相続人の範囲や相続分、認知の効力は個別の事情で異なります。具体的な判断は家庭裁判所の窓口や弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
法務省「民法の一部が改正されました」(嫡出でない子の相続分)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html
裁判所「最高裁判所大法廷 平成25年9月4日決定(平成24(ク)984)」https://www.courts.go.jp/hanrei/83520/detail2/index.html
e-Gov法令検索「民法」第779条・第781条・第783条・第784条・第787条・第900条・第910条・第1042条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
e-Gov法令検索「戸籍法」第60条・第64条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224
e-Gov法令検索「人事訴訟法」第12条 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109
国税庁「No.4152 相続税の計算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

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