相続の準備・終活

エンディングノートの書き方|書く項目一覧・続けるコツ・遺言書との違い

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「エンディングノートを書こうと買ってはみたものの、最初の数ページで止まっている」——よくある話です。結論から言うと、エンディングノートは全部の欄を埋める必要はなく、「家族がすぐ困ること」から順に書けば十分役に立ちます。そして、財産の分け方のように法的な効力が必要なことは、ノートではなく遺言書に書きます。この記事では、エンディングノートの書き方を、項目の一覧・書く順番・続けるコツ・遺言書との違いの4つに分けて、法務省などの公的な情報をもとに解説します。

エンディングノートとは:書き方に決まりのない「家族への引き継ぎ書」

法務省と日本司法書士会連合会が共同で作成したエンディングノートは、エンディングノートを「自分自身に何かあったときに備えて、ご家族が様々な判断や手続を進める際に必要な情報を残すためのノート」と説明しています。あわせて、生活の備忘録として、またこれまでの人生を振り返り、これからを考えるきっかけにするものだとしています。

ポイントは2つです。1つは、形式が自由なこと。市販のノートでも、大学ノートでも、公的機関が公開している様式でも構いません。もう1つは、亡くなったときだけのものではないこと。突然の入院や、判断力が落ちたときにも、家族はこのノートを頼りに動けます。

エンディングノートに書く項目一覧

法務省・日本司法書士会連合会のノートの構成を参考に、書いておきたい項目を整理しました。右の列は、家族がその情報を必要とする場面です。

分類 書く内容 家族が必要とする場面
自分のこと 氏名、生年月日、血液型、住所、本籍、電話番号、宗教・菩提寺 入院時、葬儀、戸籍の取り寄せ
もしもの時の連絡先 連絡してほしい親族・友人、かかりつけ医の名前と連絡先 入院時、葬儀の連絡
家族関係 家系図(思い出せる範囲で) 相続人の確認
不動産 所在地、地番・家屋番号、共有者と持分、貸し借りの有無、どうしたいか 相続登記、売却・管理の判断
預貯金 金融機関名、支店、口座番号、貸金庫の有無 口座の相続手続き
借入金・ローン 借入先、金額、返済方法 相続するか放棄するかの判断
保険・共済 保険会社、種類・内容、受取人 保険金・給付金の請求
有価証券など 証券会社、支店、口座番号。自動車・貴金属などの保管場所 名義変更、遺産分割
デジタル 使っているスマホ・パソコン、ネット銀行・ネット証券、SNS、有料サービスの名前 解約、相続手続き
遺言書 作成の有無と保管場所(自宅・公証役場・法務局など) 相続手続きの最初
介護・医療 介護を受けたい場所、判断を任せたい人、病名の告知、延命治療の希望 入院・介護が必要になったとき
葬儀・お墓 葬儀の希望と規模、費用の用意、連絡してほしい人 亡くなった直後
メッセージ 家族や大切な人への言葉 —
書き写さなくてもよい法務省のノートには、不動産の欄について「資料から書き写すのが面倒な場合は、取り寄せた資料をこのノートと一緒に保管しておくだけでも、あとから判断や手続をする人の助けになる」という趣旨の案内があります。固定資産税の納税通知書、保険証券のコピー、通帳の表紙のコピーを挟んでおくだけでも、立派なエンディングノートです。

書き方の順番:家族がすぐ困ることから

最初のページから順に埋めようとすると、家系図や経歴のところで手が止まりがちです。おすすめは、「いつ必要になるか」が早い順に書くことです。

  • ステップ1 緊急時の情報:もしもの時の連絡先、かかりつけ医、持病と飲んでいる薬、延命治療や告知の希望。急な入院でもすぐ役に立つ
  • ステップ2 亡くなった直後に必要な情報:葬儀の希望、知らせてほしい人、菩提寺、本籍(もしもの連絡先リストの作り方)
  • ステップ3 お金と契約の「在り処」:どの銀行・証券会社・保険会社と取引があるか、借入はあるか。金額まで書かなくても、相手先の名前が分かれば家族は問い合わせられる
  • ステップ4 デジタルの一覧:ネット銀行、サブスク、SNSなど、通帳や郵便物からは見つけにくいもの(デジタル終活のやり方)
  • ステップ5 想い:家族へのメッセージ、これまでのこと、これからしたいこと

ステップ3と4が、相続の手続きでいちばん効いてきます。国民生活センターには、故人が利用していたネット銀行の契約先が分からない、サブスクの請求を止めたいのに手がかりがない、といった相談が寄せられており、同センターは事前の対策の1つとしてエンディングノートの活用を挙げています。

エンディングノートと遺言書の違い

いちばん大切な違いは、法的な効力があるかどうかです。

エンディングノート 遺言書
法的な効力 ない ある(法律に沿って作成したもの)
書き方 自由 民法で方式が決まっている
主な内容 情報、希望、想い 誰にどの財産をどれだけ渡すか
役に立つ時期 入院・介護のときから 亡くなった後
書き直し いつでも自由に できるが、方式に従う必要がある

民法は、遺言は法律に定める方式に従わなければすることができないと定めています。たとえば自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で書き、印を押すことが必要です。エンディングノートに「自宅は長男に」と希望を書いても、それだけで相続の手続きができるわけではありません。財産の分け方を確実に決めたいなら、遺言書を別に作る必要があります(遺言書の種類と効力)。

2つは役割分担で使う遺言書には書きにくい、口座や保険の在り処、医療や葬儀の希望、家族への気持ちはエンディングノートに。財産の分け方は遺言書に。そしてノートには「遺言書があること」と「どこに保管しているか」を書いておきます。自筆の遺言書を法務局に預ける制度(保管の申請は1件3,900円)を使うと、紛失や改ざんの心配が減り、家庭裁判所の検認も不要になります(自筆証書遺言書保管制度)。

書くときの注意点

パスワード・暗証番号は書かない公的機関のノートにも、デジタル関連のIDやパスワードを書く欄が設けられていることがあります。ただし同じページには「他人に見られると不正アクセスの可能性もありますので、管理には十分に注意してください」と注意書きがあります。ゆいのわでは、ノートにはパスワードや暗証番号そのものを書かず、「どのサービスを使っているか」までにとどめることをおすすめしています。サービス名が分かれば、家族は各社の正規の窓口で手続きできます(終活とパスワード管理)。
  • 医療・介護の希望は、書くだけでなく話す:厚生労働省は、望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取り組みを「人生会議(ACP)」と呼んで勧めています。ノートは、その話し合いのきっかけにもなります
  • 葬儀や片付けの希望は「お願い」:ノートに書いた希望に法的な拘束力はありません。理由も添えて書き、できれば直接伝えておきましょう
  • 遺言書と食い違うことを書かない:分け方の希望がノートと遺言書で違うと、家族が迷います。分け方は遺言書にまとめます
  • 書いた日付を入れる:いつの時点の情報かが分かると、家族が判断しやすくなります

エンディングノートを続けるコツ

エンディングノートは、一度書いて終わりではありません。口座を解約した、保険を見直した、気持ちが変わった——情報は少しずつ古くなります。続けるための工夫は次のとおりです。

  • 完成を目指さない:空欄があっても、書いた分だけ家族は助かります。「今日は連絡先だけ」で構いません
  • 見直す日を決める:誕生日、年末年始、厚生労働省が定める11月30日の「人生会議の日」など、年に1回の目印を決めておく
  • 届いた書類をきっかけにする:固定資産税の納税通知書、保険会社からのお知らせ、控除証明書が届いたら、その項目だけ確かめる
  • 書き直しやすい形にする:鉛筆や消せるペンで書く、ページを差し替えられるファイルにする、スマホのメモやアプリで管理する
  • 家族と一緒に書く:帰省のときに、親子で1項目ずつ確認する。子の側から「連絡先だけ教えて」と頼むと始めやすくなります
保管場所を伝えるまでが「書き方」どれだけ丁寧に書いても、見つけてもらえなければ役に立ちません。ノートがあること、どこに置いてあるかを、信頼できる家族に伝えておきましょう。パスワードなどを書いていなければ、家族の目に触れやすい場所に置いても安心です。

よくある質問

エンディングノートに書いた財産の分け方は、有効ですか?

エンディングノートには、遺言のような法的な効力はありません。家族が希望を尊重してくれることはありますが、相続人全員の合意がなければ、そのとおりには分けられません。確実に実現したい内容は、遺言書にしてください。

何歳ごろから書き始めるのがよいですか?

年齢の決まりはありません。エンディングノートは突然の入院のときにも役立つので、思い立ったときが始めどきです。40代・50代の方が、まず自分の口座や契約を一覧にするために使うのも有効です。

エンディングノートはどこで手に入りますか?

書店や文具店の市販品のほか、法務省のウェブサイトでは、日本司法書士会連合会と共同で作成したエンディングノートのPDFが公開されています。項目さえ押さえれば、普通のノートでも十分です。

紙とアプリ、どちらがよいですか?

紙は、誰でもすぐ読めて、資料を一緒に挟めるのが強みです。アプリやデータは、書き直しやすく、離れて暮らす家族と共有しやすいのが強みです。どちらか一方に決めず、「希望や想いは紙に、変わりやすい契約の一覧はデータで」と分けてもよいでしょう。

まとめ:書けるところから書き、遺言書と役割を分ける

エンディングノートの書き方に決まりはありません。緊急時の連絡先と医療の希望、葬儀の希望、お金と契約の在り処、デジタルの一覧、想い——と、家族が早く必要とする順に書いていけば、途中でも役に立ちます。法的な効力はないので、財産の分け方は遺言書に。パスワードは書かず、サービス名までにとどめます。年に1回見直す日を決め、ノートの場所を家族に伝えておきましょう。終活全体の進め方は終活で今やることチェックリストにまとめています。

書けるところから、少しずつ。

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※本記事は2026年10月時点の法令・公的情報をもとにした一般的な解説です。遺言書の作成など法的な手続きは、専門家や法務局・公証役場にご確認ください。ゆいのわはパスワード等の機微情報を保管しません。

参考にした公的情報(2026年10月確認)
法務省「PR資料・動画集」(エンディングノートを作成しました)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00505.html
法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート 〜あなたに届け、わたしの想い〜」(PDF)https://www.moj.go.jp/content/001395858.pdf
法務省「自筆証書遺言書保管制度 09 手数料」https://www.moj.go.jp/MINJI/09.html
e-Gov法令検索「民法」第960条・第968条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
厚生労働省「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?」https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/23.html
国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」(2024年11月20日公表)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241120_1.html

この続きは、ゆいのわで。

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