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株式・投資信託の相続|手続きの流れ・評価方法と売却時の税金

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「親の証券口座に株や投資信託が残っている。どう手続きすればいいの?」——預金と違い、株式や投資信託は値動きがあり、証券会社ごとに手続きも分かれるため戸惑いやすい財産です。結論から言うと、株式・投資信託は、まず相続人の口座へそのまま移す(移管する)のが基本で、売るのはその後です。相続税の計算では、上場株式は亡くなった日の終値と3か月分の月平均のうち最も低い額、投資信託は解約した場合に受け取れる額を基準に評価します。この記事では、口座の探し方から評価、売却時の税金までを、国税庁などの公式情報をもとに順に整理します。

株式・投資信託の相続の全体像

手続きはおおむね次の順で進みます。遺産分割の話し合いや相続税の申告と並行して進むため、早めに全体を見ておくと慌てずに済みます。

段階 やること ポイント
①口座を探す どの証券会社・信託銀行に口座があるか調べる 郵便物・通帳・取引報告書が手がかり。分からなければ「ほふり」に開示請求
②連絡する 証券会社に死亡を伝え、相続手続きの案内を受ける 死亡日時点の残高証明書もこの段階で依頼すると効率的
③誰が引き継ぐか決める 遺言の確認、または遺産分割協議 銘柄・口数ごとに分けることもできる
④書類を出す 所定の依頼書、戸籍、遺産分割協議書など 必要書類は会社や遺言の有無で異なる
⑤移管・売却 相続人の口座へ移したうえで、必要なら売却 売却益には所得税・住民税がかかる

株や投資信託以外の財産も含めた全体の流れは、相続手続きの流れで確認できます。

株式・投資信託の口座の探し方

まずは手元の書類から

口座の存在に気づくきっかけは、意外と紙の書類にあります。次のようなものが見つかれば、取引のあった会社がほぼ特定できます。

  • 証券会社からの取引報告書・取引残高報告書・年間取引報告書
  • 上場会社から届く株主総会の招集通知、配当金の計算書
  • 銀行通帳に記録された証券会社への入出金、配当金の入金
  • 確定申告書の控え(株式の譲渡所得や配当所得の記載)

ネット証券は郵便物がほとんど届かないため、パソコンやスマホのメールに頼るしかない場合もあります。気づかれにくさへの対処はネット銀行・ネット証券の相続で詳しく扱っています。

見当がつかないときは「ほふり」に開示請求

証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」を使うと、亡くなった方の株式等の口座が開設されている証券会社・信託銀行などの一覧を、有料で確認できます。相続人が機構に直接申し込みます。

分かること 分からないこと
上場株式、ETF、REITなどの口座が開設されている証券会社・信託銀行等の一覧 銘柄名・保有残高・取引履歴(開示結果をもとに各社へ問い合わせる)
— 外国株式・国債・社債などの口座の開設先

残高そのものは分からないので、開示結果に載った会社へ一社ずつ連絡して、死亡日時点の残高証明書を出してもらう流れになります。

証券会社での相続手続きと「移管」の考え方

売る前に、相続人の口座へ移す

口座の名義人が亡くなったことを証券会社に伝えると、その口座では売買ができなくなるのが一般的です。株式や投資信託は、現物のまま相続人名義の口座へ移す(移管する)のが基本で、多くの場合、同じ証券会社に相続人の口座を用意するよう案内されます。現金で受け取りたい場合も、移管したあとに相続人が売却する形になるのが通常です。具体的な方法は会社ごとに違うため、必ず案内に従ってください。

主な必要書類

一般的には、証券会社所定の相続手続依頼書、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)、相続人の印鑑証明書、遺言書または遺産分割協議書などを求められます。戸籍の束の代わりに使える法定相続情報一覧図を取っておくと、複数の金融機関で手続きするときに便利です。協議で分ける場合の書き方は遺産分割協議書の作り方を参考にしてください。

値動きは止まらない手続きのあいだも株価や基準価額は動き続けます。相続税は亡くなった日を基準に評価するため、手続き中に値下がりしても税額の計算に使う評価額は変わりません。分け方を決めるときは、「いつの時点の価格で公平を考えるか」を相続人の間で確認しておくと、後のもめごとを防げます。

上場株式の相続税評価:4つの価額のうち最も低い額

国税庁によると、上場株式は、亡くなった日(課税時期)の取引所の最終価格(終値)で評価するのが原則です。ただし、その終値が次の3つのうち最も低い価額を上回るときは、最も低い価額で評価します。

比べる価額 内容
原則 亡くなった日の終値
イ 亡くなった月の毎日の終値の月平均額
ロ 亡くなった月の前月の毎日の終値の月平均額
ハ 亡くなった月の前々月の毎日の終値の月平均額

たとえば、亡くなった日の終値が1,200円、当月平均1,150円、前月平均1,100円、前々月平均1,180円の銘柄を1,000株持っていた場合、最も低い1,100円を使い、評価額は1,100円×1,000株=110万円が目安になります。亡くなった日に終値がない場合や、権利落ちなどがある場合は一定の修正をします。計算には国税庁の「上場株式の評価明細書」を使えます。

上場していない会社の株式(取引相場のない株式)は、会社の規模や株主の立場に応じて、類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式などで評価します。計算が複雑になるため、税理士への相談を前提に考えてください。

投資信託の相続税評価

投資信託(証券投資信託)は、財産評価基本通達で「亡くなった日に解約請求などをしたとすれば証券会社などから支払いを受けられる額」で評価すると定められています。一般的な投資信託の算式は次のとおりです。

投資信託の評価の算式(通達199)亡くなった日の基準価額 × 口数 − 解約した場合に源泉徴収される所得税などに相当する額 − 信託財産留保額・解約手数料(消費税相当額を含む)

亡くなった日の基準価額がない場合は、その前で最も近い日の基準価額を使います。MMFなどの日々決算型は、未収の分配金を加えるなど別の算式です。また、取引所に上場している投資信託(ETFなど)は、上場株式と同じく4つの価額のうち最も低い額で評価します。証券会社に依頼する残高証明書には評価額の参考値が載ることが多いので、算式と照らし合わせて確認しましょう。

こうして出した評価額を、預金や不動産などほかの財産と合計し、基礎控除を超えるかどうかで申告の要否を判断します(相続税の基礎控除)。

相続した株式・投資信託を売るときの税金

取得費は亡くなった方のものを引き継ぐ

相続で取得した株式等を売ったときの利益(譲渡所得)は、売った金額から取得費などを差し引いて計算します。国税庁によると、相続で取得した株式等は亡くなった方の取得費を引き継ぎます。相続税の評価額が新しい取得費になるわけではない点に注意が必要です。買った時期が古いなどで取得費が分からないときは、売却代金の5%相当額を取得費とすることも認められています。

NISA口座の中身は扱いが違うNISA口座にあった上場株式等が相続で払い出された場合は、原則として相続開始日の終値に相当する額で相続人が取得したものとみなされます。詳しくはNISA・iDeCoの相続で解説しています。

相続税を払った人は「取得費加算の特例」も

相続税が課税された人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに相続財産を売った場合、支払った相続税のうち一定額を取得費に加えられる特例があります。株式も対象で、適用には確定申告が必要です。株式の譲渡による事業所得・雑所得には使えません。相続税の申告期限そのものは相続税の申告期限は10か月で確認してください。

よくある質問

亡くなった親の口座のまま売って、現金で分けられますか?

名義人が亡くなった口座では売買できなくなるのが一般的です。いったん相続人の口座に移管してから売り、その代金を協議で決めた割合で分ける方法がよく使われます。売却益の申告は、売った相続人が行います。

単元未満株や、証券会社に入っていない古い株券が見つかりました。

上場株式は電子化されており、証券会社の口座に入っていない株は、信託銀行などに開設された「特別口座」で管理されていることがあります。株主名簿管理人(信託銀行など)に問い合わせると、手続きの案内を受けられます。

配当金はどうなりますか?

手続きが終わるまでの配当金は、会社や受け取り方法によって扱いが異なります。届いた配当金の通知は捨てずに保管し、証券会社や株主名簿管理人に確認してください。

相続税がかからない場合も、残高証明書は必要ですか?

申告が要らない場合でも、遺産分割の話し合いで財産の全体を共有するために、死亡日時点の残高証明書があると便利です。発行に手数料がかかる会社もあります。

まとめ:株式・投資信託は「口座の把握」と「移管」から

株式・投資信託の相続は、口座のある会社を特定し、相続人の口座へ移管するところから始まります。相続税の評価は、上場株式なら亡くなった日の終値と3か月分の月平均のうち最も低い額、投資信託なら解約した場合に受け取れる額が基準です。相続後に売るときは、亡くなった方の取得費を引き継ぐことや、取得費加算の特例も覚えておきましょう。いちばんの備えは、どの証券会社に口座があるかを、元気なうちに家族と共有しておくことです。

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※本記事は2026年10月時点の法令と公的機関の公式情報をもとにした一般的な解説です。評価額・税額・必要書類は、銘柄や契約内容、個別の事情で異なります。手続きは各証券会社・金融機関に、税金は税務署・税理士にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
国税庁「No.4632 上場株式の評価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4632.htm
国税庁「No.4638 取引相場のない株式の評価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm
国税庁「財産評価基本通達 199(証券投資信託受益証券の評価)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/07.htm
国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1464.htm
国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
証券保管振替機構「登録済加入者情報の開示請求」https://www.jasdec.com/system/less/certificate/kaiji/index.html

この続きは、ゆいのわで。

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