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きょうだいの相続トラブル|もめる6つの原因と防ぎ方・対処法

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「仲のよかった兄と、母の相続をきっかけに口をきかなくなった」——親の相続は、きょうだいが親という“間に立つ人”なしに直接向き合う、初めての場面になりがちです。結論から言うと、きょうだいの相続トラブルの多くは「分けにくい財産」と「これまでの経緯への不公平感」から生まれます。法律上の取り分は原則として平等でも、実家、介護、生前の援助、親のお金の管理といった事情が、その「平等」を不公平に感じさせるのです。この記事では、もめる原因を場面ごとに整理し、親が元気なうちの備えと、話し合いが止まったときの進め方を解説します。

まず確認:きょうだいの相続分は原則として平等

親が亡くなったとき、子は第1順位の相続人です。民法900条により、子が複数いれば各自の相続分は等しくなります。配偶者(もう一方の親)がいれば配偶者が2分の1、残りの2分の1を子の人数で分けます。

相続人 きょうだい1人あたりの法定相続分
母と子2人 4分の1ずつ(母は2分の1)
子3人のみ 3分の1ずつ

ただし、これは遺言がなく、話し合いでも別の分け方に合意しなかった場合の目安です。遺産分割協議では、相続人全員が合意すれば法定相続分と違う分け方も自由にできます。逆に言えば、1人でも反対すれば協議は成立しません。ここに、きょうだいの相続が長引く理由があります。

きょうだいの相続がもめる6つの原因

原因 よくある構図 関係する制度・記事
1. 実家(不動産) 住み続けたい人と、売って分けたい人が対立 代償分割・換価分割
2. 介護の偏り 介護した子が「同じ割合は不公平」と感じる 寄与分・特別寄与料
3. 生前の援助 住宅資金・学費・事業資金を特定の子だけが受けていた 特別受益
4. 親の預金の管理 管理していた子が使い込みを疑われる 預金の取引履歴の確認
5. 情報の偏り 同居の子だけが財産を知っていて、ほかは疑心暗鬼に 財産目録の共有
6. 配偶者・家庭の事情 きょうだいの配偶者の意見や、それぞれの家計の事情が絡む 話し合いの場の設け方

原因は1つではなく、重なって表面化することがほとんどです。感情面の向き合い方はきょうだいの不公平感への向き合い方でも整理しています。

場面別:もめやすいポイントと考え方

実家を誰が相続するか

現金は分けられても、家は物理的に分けられません。主な分け方は、1人が実家を取得してほかのきょうだいにお金を払う「代償分割」、売却して代金を分ける「換価分割」、持分で共有する方法です。共有は一見公平ですが、売却や大きな修繕には共有者の合意が必要になり、次の相続で共有者が増えていくため、問題を先送りにしやすい方法です(遺産分割の3つの方法)。

代償分割では、実家の評価額をいくらとみるかで意見が割れがちです。固定資産税評価額・路線価・実際の売却見込み額など、どの基準を使うかを先に話し合うと進めやすくなります。

介護をした・しなかった

介護をしても法定相続分は自動では増えません。寄与分として上乗せを主張できる場合もありますが、通常期待される範囲を超えた「特別の寄与」が必要です。介護をした側は記録を残すこと、しなかった側は担った人の負担に目を向けることが、話し合いの出発点になります(親の介護と相続)。

特定のきょうだいだけが援助を受けていた

結婚資金や住宅購入の援助、生計の資本としての贈与は、遺産分割で「特別受益」として持ち戻して計算されることがあります(民法903条)。何十年も前の援助まで記憶や記録が残っていないことも多く、もめやすいポイントです(特別受益とは)。

親の預金を管理していたきょうだい

親と同居していた子や、介護で通帳を預かっていた子が、ほかのきょうだいから「使い込みでは」と疑われる構図は珍しくありません。通帳や金融機関の取引履歴を見れば、引き出しの日付と金額は後からでも確認されます。管理していた側は、使い道の記録とレシートを残しておくことが身を守ることにもつながります(相続の預金使い込み)。

相続開始から10年で「特別受益」「寄与分」は主張しにくくなる2023年4月施行の改正で、相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、原則として特別受益や寄与分を考慮せず、法定相続分などで分けることになりました(民法904条の3)。「気まずいから」と話し合いを先延ばしにすると、言いたかった事情を反映できなくなるおそれがあります。

親が元気なうちにできる5つの備え

きょうだいの争いは、親が生きているうちに手を打つことで大きく減らせます。親世代・子世代のどちらからでも始められる備えを挙げます。

  1. 遺言で分け方を決めておく:特に実家の行き先を遺言で決めておくと、協議の最大の火種がなくなります。確実性を重視するなら公正証書遺言が選ばれることが多い方法です。きょうだいの遺留分には配慮が必要です。
  2. 分け方の理由を伝える:「長女には介護で苦労をかけたから」「長男には家を建てるときに援助したから」など、理由を付言事項や言葉で残すと、受け止め方が変わります。
  3. 財産を一覧にして共有する:どこに何があるかをきょうだい全員が同じ情報で知っていれば、疑心暗鬼が生まれにくくなります。
  4. 生前の援助や介護の分担を記録する:誰にいつ何を援助したか、介護を誰がどれだけ担ったかを、親の言葉で残しておきます。
  5. 家族で話す場を一度つくる:お盆や年末年始の帰省など、きょうだいがそろう機会に親を交えて話すのが現実的です。

話し合いが止まったときの進め方

第三者を入れる

きょうだいだけで話すと、昔の感情が入り込みやすくなります。財産の評価や手続きは税理士・司法書士、法的な争いになっている場合は弁護士と、論点に合った専門家を入れると、話し合いが「事実」に戻りやすくなります。

家庭裁判所の遺産分割調停

話し合いがまとまらない場合、相続人の1人または何人かが、ほかの相続人全員を相手方として家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てられます。調停委員が双方から事情を聴き、解決案の提示や助言をしながら合意を目指します。調停が不成立になると自動的に審判に移り、裁判官が分け方を決めます。裁判所の案内では、手数料は被相続人1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です(遺産分割の調停・審判)。

親が存命中の対立には「親族関係調整調停」も

親の財産の管理などをめぐって、相続の前からきょうだいの関係がこじれている場合は、円満な関係の回復に向けた話し合いの場として、家庭裁判所の親族関係調整調停を利用できます。

分割前でも預金を一部引き出せる遺産分割がまとまらない間も、各相続人は、預貯金のうち「相続開始時の残高×3分の1×自分の法定相続分」まで、1つの金融機関につき150万円を上限に単独で払い戻しを受けられます(民法909条の2・法務省令)。葬儀費用や当面の生活費で困ったときの手段として知っておくとよいでしょう。

よくある質問

実家に住んでいるきょうだいが、出て行ってくれません。

遺産分割が終わるまで、実家は相続人全員の共有の状態です。すぐに退去を求めるより、代償分割(住んでいる人が取得してほかの人にお金を払う)や売却など、分け方そのものを話し合うのが先になります。合意できなければ遺産分割調停で解決を図ります。

連絡を無視するきょうだいがいて、手続きが進みません。

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、1人を除いて進めることはできません。手紙で事情と財産の内容を丁寧に伝え、それでも応じない場合は遺産分割調停を検討します(疎遠・絶縁の家族がいる相続)。

きょうだいが亡くなり、自分が相続人になりました。注意点は?

子も親もいない人が亡くなると、兄弟姉妹が相続人になります。この場合、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹の相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹の2分の1です(民法900条4号)。また、兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言があればその内容が優先されます。

相続放棄をすれば、きょうだいの争いから抜けられますか?

相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされるため、遺産分割協議に加わる必要はなくなります。期限は自分が相続人になったことを知った時から3か月です。取り分を特定のきょうだいに渡したい場合は、相続分の譲渡という方法もあります。

まとめ

きょうだいの相続分は原則として平等ですが、実家のように分けにくい財産、介護の偏り、生前の援助、親の預金の管理、情報の偏り、それぞれの家庭の事情が重なると、その平等が不公平に感じられ、争いになります。いちばんの予防策は、親が元気なうちに遺言で分け方を決め、理由を伝え、財産の情報をきょうだいで共有しておくことです。話し合いが止まったら、専門家や家庭裁判所の調停を使って「事実」に立ち返りましょう。10年を過ぎると主張できない事情もあるため、先延ばしにしないことも大切です。

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※本記事は2026年10月時点の法令と裁判所の公式案内をもとにした一般的な解説です。分け方や主張が認められるかは個別の事情によって異なり、本記事は法的判断を示すものではありません。具体的な事案は家庭裁判所の手続案内や専門家にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
法務省「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」(施行日・長期間経過後の遺産分割の見直し)https://www.moj.go.jp/content/001444017.pdf
e-Gov法令検索「民法」第898条・第900条・第903条・第904条の3・第907条・第909条の2・第939条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
e-Gov法令検索「民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令」https://laws.e-gov.go.jp/law/430M60000010029
裁判所「遺産分割調停」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
裁判所「親族関係調整調停」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_06/index.html
裁判所「寄与分を定める処分調停」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_23/index.html

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