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NISA・iDeCoの相続|NISAの移管とiDeCo死亡一時金の税金

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「親がNISAとiDeCoをやっていた。亡くなったらどうなるの?」——どちらも税金の優遇がある制度ですが、相続での扱いはまったく違います。結論から言うと、NISAの非課税は口座を開いた本人だけのもので、相続人のNISA口座には移せません。中身の株式や投資信託は、相続人の特定口座か一般口座へ移すことになります。一方、iDeCoは遺族が「死亡一時金」として請求して受け取るもので、死亡後3年以内に支給が確定すれば、相続税では死亡退職金と同じ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠の対象になります。この記事では、手続きと税金を公式情報をもとに整理します。

NISAとiDeCoの相続の違い

項目 NISA iDeCo
受け取り方 株式・投資信託を相続人の口座へ移す 遺族が死亡一時金を請求して受け取る
誰が受け取る 遺言や遺産分割協議で決めた相続人 指定した受取人、または法律で決まった順位の遺族
非課税の引き継ぎ できない(相続人の課税口座へ) —
相続税 本来の相続財産として評価 3年以内に支給確定なら「みなし相続財産」。非課税枠あり
主な連絡先 NISA口座のある証券会社・銀行 運営管理機関と記録関連運営管理機関

NISA口座の相続:非課税は引き継げない

まず「非課税口座開設者死亡届出書」を出す

NISA口座を開いていた人が亡くなったときは、相続人が、亡くなったことを知った日以後遅滞なく、NISA口座のある金融機関に「非課税口座開設者死亡届出書」を出さなければなりません(租税特別措置法施行令25条の13の5)。日本証券業協会のQ&Aによると、金融機関を変更したことがあり、過去の年分を含めてNISA口座が複数の会社にある場合は、すべての会社に提出が必要です。

届出が遅れると配当に課税されることも同Q&Aは、亡くなった日から届出書を出すまでの間にNISA口座で支払われた配当金などがある場合、さかのぼって課税されるとしています。NISA口座の存在に気づいたら、早めに金融機関へ連絡しましょう。

中身は相続人の特定口座か一般口座へ

NISA口座に受け入れられるのは、新たに購入した上場株式等などに限られます。そのため、亡くなった方のNISA口座にあった株式や投資信託は、相続人のNISA口座には入れられず、相続人の特定口座か一般口座に受け入れます。特定口座に受け入れる場合は、同じ銘柄をすべてその特定口座に移すことや、「相続上場株式等移管依頼書」の提出が必要とされ、移管できるのは亡くなった方のNISA口座と同じ金融機関の特定口座に限られます。相続人がその金融機関に口座を持っていなければ、新しく開くことになります。

取得価額は「相続開始日の時価」になる

通常、相続で取得した株式等は亡くなった方の取得費を引き継ぎます。ところが国税庁によると、NISA口座(旧ジュニアNISAの未成年者口座を含む)から相続で払い出された上場株式等は、原則として相続開始日の終値に相当する金額で取得したものとみなされます。亡くなった方がNISAで得ていた値上がり益は、相続人が売ったときの課税の対象にはならないということです。

一方、相続税の計算では、NISA口座の中身も通常の株式や投資信託と同じルールで評価します。上場株式は亡くなった日の終値と3か月分の月平均のうち最も低い額、投資信託は解約した場合に受け取れる額が基準です(株式・投資信託の相続)。

iDeCoの相続:死亡一時金を遺族が請求する

年金資産は「死亡一時金」として支払われる

iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)によると、iDeCoの加入者や運用指図者が亡くなった場合、遺族は年金資産を死亡一時金として受け取れます。年金を受け取っている途中で亡くなった場合も、残りの資産を遺族が受け取れます。いずれも請求しなければ支払われません。

受取人は相続の順位とは別に決まる

死亡一時金の受取人は、本人が生前に、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の中から指定できます。指定がない場合の順位は確定拠出年金法で決まっており、民法の相続順位とは異なります。

順位 受け取れる遺族(指定がない場合)
1 配偶者(事実上の婚姻関係にあった人を含む)
2 子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹で、主として本人の収入で生計を維持していた人
3 2以外の親族で、主として本人の収入で生計を維持していた人
4 子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹で、2に当たらない人

同じ順位の人が2人以上いるときは等分して支給されます。遺言で決めたとおりに受け取れるわけではない点に注意しましょう。民法上の相続人の範囲は法定相続人とはで確認できます。

請求の流れ

  • 運営管理機関に「加入者等死亡届(K-014)」を出す:死亡診断書など、亡くなったことが分かる書類(写しでも可)を添付
  • 記録関連運営管理機関(RK)に「死亡一時金裁定請求書」を出す:死亡届とは別の手続き。様式や添付書類はRKに確認
  • RKの手続きを経て、死亡一時金が支払われる

企業型確定拠出年金から自動移換されていた人の場合は、手続きが異なります。勤務先で企業型確定拠出年金に入っていた場合も、死亡一時金の仕組みは同じ法律にもとづくので、勤務先や運営管理機関に確認してください。

iDeCo死亡一時金の税金は「いつ支給が確定したか」で変わる

支給が確定した時期 税金の扱い(一般的な整理)
死亡後3年以内 相続税の対象(退職手当金等として、相続財産とみなされる)。相続人が受け取った分は非課税枠あり
死亡後3年を過ぎてから 相続税ではなく、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象
死亡後5年たっても請求がない 受け取れる遺族がいないものとみなされ、本人の相続財産として扱われる。その後も請求がなければ法務局に供託

相続税法施行令は、iDeCoなどの確定拠出年金の規約にもとづいて支給される一時金を、死亡退職金と同じ「退職手当金等」に含めています。国税庁によると、死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等は相続財産とみなされ、相続人全員が受け取った合計額のうち「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。

非課税枠は死亡退職金と合算、生命保険とは別この非課税枠は、勤務先から受け取る死亡退職金と合わせて1つです。一方、生命保険金の非課税枠(同じく500万円×法定相続人の数)とは別枠になります。相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った分には、非課税枠は使えません。詳しくは死亡退職金と相続税と生命保険の非課税枠で解説しています。

たとえば法定相続人が3人で、相続人が受け取った退職手当金等がiDeCoの死亡一時金600万円だけの場合、非課税限度額は500万円×3人=1,500万円なので、この一時金は課税の対象になりません(目安)。実際の申告の要否は財産全体で判断するため、税理士や税務署に確認してください。

見落とさないための生前の備え

  • NISA口座がどの金融機関にあるか(過去に変更していれば変更前の会社も)を家族に伝えておく
  • iDeCoの運営管理機関の名前と、死亡一時金の受取人を指定しているかを共有する
  • 受取人を指定したい場合は、運営管理機関に手続きを問い合わせる

NISA口座の開設先を本人が忘れた場合は、税務署への相談や、一定の要件を満たせばe-Taxのマイページで確認できると金融庁は案内しています。ネット証券の口座の気づかれにくさはネット銀行・ネット証券の相続も参考にしてください。

よくある質問

相続した株式を、自分のNISAの枠で持ち直すことはできますか?

相続で取得した株式等をそのままNISA口座に移すことはできません。自分のNISA口座で投資したい場合は、自分の非課税枠の範囲で新たに購入する形になります。

iDeCoの死亡一時金は遺産分割の対象ですか?

受取人や受取順位が確定拠出年金法で決まっているため、遺産分割で分けるものとは別に扱われるのが一般的です。ただし、死亡後5年たっても請求がない場合は本人の相続財産として扱われます。

相続放棄をしても死亡一時金は受け取れますか?

死亡一時金の受取人は確定拠出年金法にもとづいて決まるため、相続放棄との関係は運営管理機関や専門家に確認してください。なお、国税庁によると、相続を放棄した人が受け取った退職手当金等には非課税枠が使えません。

まとめ:NISAは「届出と移管」、iDeCoは「3年以内の請求」

NISAの非課税は相続人に引き継げず、中身は相続人の特定口座か一般口座へ移ります。死亡届出書が遅れると配当にさかのぼって課税されることがあるので、早めの連絡が大切です。iDeCoは遺族が死亡一時金を請求して受け取り、死亡後3年以内に支給が確定すれば死亡退職金と合わせた非課税枠が使えます。どちらも、口座のある金融機関を家族が知らなければ手続きが始まりません。元気なうちに在り処を共有しておきましょう。

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※本記事は2026年10月時点の法令と公的機関・業界団体の公式情報をもとにした一般的な解説です。手続き・必要書類・税金の扱いは、金融機関や契約内容、個別の事情で異なります。手続きは各金融機関・運営管理機関に、税金は税務署・税理士にご確認ください。特定の金融商品や金融機関を勧めるものではありません。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2026年9月)Q71・Q72 https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/files/202609_nisa_qa.pdf
国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1464.htm
金融庁「NISA特設ウェブサイト よくある質問」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/qa/index.html
e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令」第25条の13の5 https://laws.e-gov.go.jp/law/332CO0000000043
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト「給付について」https://www.ideco-koushiki.jp/join/benefits.html
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト「よくあるご質問」https://www.ideco-koushiki.jp/faq/
e-Gov法令検索「確定拠出年金法」第40条・第41条・第73条 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000088
e-Gov法令検索「相続税法施行令」第1条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000071
国税庁「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4117.htm
国税庁「所得税基本通達 34-2(遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/08.htm

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