サブスク・デジタル遺品

デジタル遺品とは|種類・家族が困ること・死後と生前の対処法

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「父のスマホが開けない」「明細に知らない月額料金が残っている」——亡くなった方のスマホやネット上に残ったデータや契約は、デジタル遺品と呼ばれます。結論から言うと、デジタル遺品で家族が困る原因の多くは「何を使っていたか分からない」ことです。逆に、使っていたサービスと契約先さえ分かれば、ログインできなくても各社の公式窓口で手続きを進められることが少なくありません。この記事では、デジタル遺品の種類、家族が実際に困ること、亡くなった後の進め方と生前の備えを、国民生活センターや各社の公式案内をもとに整理します。

デジタル遺品とは|法律上の定義はなく「データと契約」を広く指す

デジタル遺品という言葉に、法律上の決まった定義はありません。国民生活センターは2024年11月の注意喚起で、デジタル機器を通して確認できるデータや、インターネットで契約したサービスを指す言葉として使い、パソコンやスマホといった機器そのものは含めないと整理しています。

同じ資料では、総務省の調査をもとに、スマホでインターネットを使う人が60代で78.3%、70代で49.4%にのぼると紹介し、デジタル遺品を残す人は今後も増えると見込んでいます。親世代にとっても、もう他人事ではありません。

デジタル遺品の主な種類

種類 例 相続との関係
お金に関わるもの ネット銀行・ネット証券、暗号資産、電子マネー・コード決済の残高、ポイント 預金や株式は相続財産。残高の扱いは各社の規約で異なるものもある
お金が出ていく契約 動画・音楽のサブスク、クラウドの容量課金、アプリ内課金、有料会員 解約しない限り請求が続く
アカウント SNS、メール、メッセージアプリ、通販サイト 多くは本人だけが使える規約で、引き継げないものが多い
データ 写真・動画、連絡先、メモ、仕事や家計の書類 端末やクラウドの中にあり、ロックで見られないことがある

ポイントは、「お金になるもの」と「お金が出ていくもの」と「思い出・情報」が、同じスマホの中に混ざっていることです。どれも外からは見えにくく、紙の通帳や郵便物のように家族の目に触れません。

デジタル遺品で家族が困る3つのこと

国民生活センターには、デジタル遺品について次のような相談が寄せられています。

困りごと 相談事例の内容(要旨)
スマホが開けない 故人がネット銀行を使っていたようだが、スマホのロックが解除できず契約先が分からない。携帯会社の店舗では「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われた
手続きに時間がかかる コード決済サービスの相続手続きで戸籍謄本などを送ったが、1か月たっても残高すら分からない
請求が止まらない カード明細に毎月約1,000円の不明な請求があり、調べるとサブスクだった。IDとパスワードが分からず、すぐには解約できないと言われた
事業者は「亡くなったこと」を知らない国民生活センターは、サブスクは契約者が亡くなっても解約手続きをしない限り請求が続くこと、そして事業者には契約者の死亡を知る手段がないため、遺族が手続きをする必要があることを指摘しています。放っておいて自然に止まるものではありません。

このほか、使われなくなったアカウントが乗っ取られる、ネット証券の値動きに気づかないまま時間がたつ、といった心配もあります。いずれも、「存在に気づけるかどうか」が分かれ目です。

亡くなった後のデジタル遺品の進め方

家族がデジタル遺品に向き合うときは、次の順で進めると漏れが少なくなります。故人のIDとパスワードを推測してログインを試すのではなく、各社が用意している遺族向けの窓口を使うのが基本です。

順番 やること 詳しい記事
① お金が出ていく契約を探して止める(カード明細・口座の引き落とし・携帯料金の請求を確認) サブスクの死後の解約手順
② お金に関わるものを探す(ネット銀行・証券・決済サービス) ネット銀行・ネット証券の相続
③ スマホ・パソコンの扱いを決める(無理にロック解除を試さない) 故人のスマホが開けないとき
④ SNS・メール・LINEなどアカウントの扱いを決める(追悼・削除など) SNS・メールアカウントの死後の扱い、LINEなどメッセージアプリの死後

手がかりは「スマホの外」にもある

スマホが開けなくても、契約先の手がかりは残っています。クレジットカードの利用明細、銀行口座の入出金履歴、携帯電話料金の請求明細(キャリア決済の分)、自宅のパソコンや郵便物、確定申告書の控えなどです。明細に並ぶ英字の請求名から契約先を探す方法はカード明細の不明な請求を特定する方法で詳しく解説しています。

ログインできなくても手続きは進められる国民生活センターは、IDやパスワードが分からなくても、契約先の事業者が特定できれば、遺族から連絡することで解約などに応じてもらえるケースが多いとしています。主なサブスクの遺族向け窓口と必要書類はサービス別の公式窓口まとめにまとめました。

故人のアカウントにログインして操作するのは、多くのサービスの規約で認められていません。Googleも、遺族にパスワードやログイン情報を伝えることはできないと明記しています。携帯電話の回線については、解約のほかに家族が番号ごと引き継ぐ「承継」という方法もあります(携帯の承継の手続き)。

デジタル遺品は生前の備えで大きく減らせる

デジタル遺品の困りごとは、本人が元気なうちなら簡単に防げるものがほとんどです。備えの柱は次の3つです。

1. 使っているサービスの一覧を作る

ネット銀行・証券、サブスク、SNS、メールなど、「どのサービスを使っているか」と「支払い方法」を一覧にします。家族が知りたいのは中身ではなく、連絡すべき相手です。進め方はデジタル終活のやり方、サブスクだけを先に片づけたい方はサブスクの解約リストの作り方が参考になります。

2. Apple・Googleの公式の仕組みを設定する

Appleには「故人アカウント管理連絡先」、Googleには「アカウント無効化管理ツール」があり、自分に何かあったときにデータを受け取る人を生前に指定できます。Appleの案内では、写真・メッセージ・メモ・ファイル・デバイスのバックアップなどが対象で、購入した映画や音楽、サブスク、パスワードなどは対象外です。設定の手順はApple・Googleの生前設定で解説しています。

3. 親のスマホは本人と一緒に確認する

親世代の場合、本人も契約を全部は覚えていないことがあります。帰省のついでに、本人の画面を一緒に見ながらサブスクの一覧を確認しておくと安心です(親のスマホのサブスクを一緒に確認する手順)。

パスワードは書き残さない一覧にパスワードや暗証番号そのものは書きません。紙やファイルが人目に触れたとき、悪用される危険があるためです。家族が困らないために必要なのは「どのサービスを使っているか」と「公式の手続き窓口」までです。

よくある質問

デジタル遺品は相続財産になりますか?

ネット銀行の預金やネット証券の株式・投資信託など、財産的な価値のあるものは、通常の預金や株式と同じく相続の対象になるのが一般的です。一方、SNSやメールのアカウントは、規約で本人だけが使えるとされ、引き継げないものが多くあります。個別の扱いは各社の規約と案内で確認してください。

故人のスマホを業者に頼めば開けられますか?

Appleは、パスコードで保護された端末について、消去しない限りパスコードの解除は手伝えないと案内しています。何度も誤ったパスコードを入れると、設定によってはデータが消えることもあります。まずは故人のスマホが開けないときの対処を確認してください。

写真だけでも家族が受け取る方法はありますか?

本人がAppleの故人アカウント管理連絡先やGoogleのアカウント無効化管理ツールを設定していれば、指定された人が公式の手続きで受け取れる場合があります。設定がない場合も、各社に遺族からの申請窓口がありますが、応じるかどうかは各社の審査によります。

何から手をつければいいか分かりません。

まずは「お金が出ていくもの」を止めることです。カード明細と口座の引き落とし履歴を見て、定期的な請求を洗い出しましょう。役所や年金などデジタル以外の手続きと並行して、無理のない順番で進めてください。

まとめ:デジタル遺品は「在り処」が分かれば手続きできる

デジタル遺品とは、スマホやネット上に残る故人のデータや契約のことです。家族が困るのは、スマホが開けない、契約先が分からない、請求が止まらないといった場面で、その多くは「何を使っていたか分からない」ことから起こります。亡くなった後は、お金が出ていく契約から順に、各社の遺族向け窓口で手続きを進めます。そして本人ができるいちばんの備えは、パスワードではなく使っているサービスの一覧を残し、AppleやGoogleの公式の仕組みを設定しておくことです。

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※本記事は2026年10月時点の公的機関・各社の公式案内をもとにした一般的な解説です。各サービスの手続き・必要書類は変わることがあります。実際の手続きは各社の窓口に、相続や税金の判断は専門家・窓口にご確認ください。ゆいのわはパスワード等の機微情報を保管しません。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241120_1.html
国民生活センター 同 報告書本文(PDF)https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20241120_1.pdf
Apple サポート「亡くなったご家族のApple Accountへのアクセスを申請する」https://support.apple.com/ja-jp/102431
Apple サポート「Apple Accountの故人アカウント管理連絡先を追加する方法」https://support.apple.com/ja-jp/102631
Google アカウント ヘルプ「アカウント無効化管理ツールについて」https://support.google.com/accounts/answer/3036546?hl=ja
Google アカウント ヘルプ「故人のアカウントに関するリクエストを送信する」https://support.google.com/accounts/troubleshooter/6357590?hl=ja

この続きは、ゆいのわで。

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