専門家の選び方

相続の専門家の選び方|悩み別の相談先と税理士・司法書士・弁護士の違い

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「相続のことは誰に相談すればいいの?」——税金は税理士、登記は司法書士、もめごとは弁護士とよく言われますが、実際には悩みが重なっていて迷う方がほとんどです。結論から言うと、相談先は「何をしてほしいか」で決まります。各専門家ができる仕事は法律で決まっており、たとえば相続税の申告書の作成は税理士、相続登記の申請の代理は司法書士、相続人同士の交渉の代理は弁護士の業務です。この記事では、悩み別の相談先の早見表と、法律で決まっている業務の範囲、費用の決まり方、選ぶときの確認点を整理します。各専門家についての詳しい記事への入口としてもお使いください。

悩み別:相続で誰に相談するかの早見表

まずは、いま抱えている悩みから相談先の目安をつけましょう。複数に当てはまる場合は、いちばん期限が近いものから動くのが基本です。

悩み・やりたいこと 主な相談先 詳しい記事
相続税がかかるか知りたい・申告をしたい 税理士(申告が必要かの一般的な確認は税務署でも可) 相続税を税理士に頼むかの判断
土地・建物の名義を変えたい(相続登記) 司法書士(自分で申請も可) 司法書士に頼める範囲
相続人の間で意見が対立している 弁護士(代理・交渉・調停) 弁護士が担う役割
争いはないが、遺産分割協議書などの書類を整えたい 行政書士・司法書士など 行政書士に頼めること
借金が多く、相続放棄を考えている 申述書の作成は司法書士、代理は弁護士(自分で申述も可) 相続放棄の手続き
戸籍集めから預金の解約まで、まとめて任せたい 司法書士・信託銀行などの遺産整理業務 相続手続き代行サービス
何から始めればいいか分からない 市区町村や専門家団体の無料相談 相続の無料相談窓口
期限が近いものから相続放棄は原則として相続の開始を知った時から3か月以内、相続税の申告は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。迷っているあいだにも期限は進むので、「誰に頼むか」が決まらないときは、期限の近い手続きの担当者から先に相談しましょう。手続き全体の流れは相続手続きの流れで整理しています。

専門家ごとにできること:法律で決まっている業務範囲

相続にかかわる士業は、それぞれの法律で「その資格がないとできない仕事(独占業務)」が定められています。ここを押さえると、相談先の選び間違いが減ります。

専門家 主な業務(相続で関係する部分) 根拠となる法律
税理士 相続税の申告の代理、申告書の作成、税額の計算に関する相談 税理士法2条・52条
司法書士 相続登記の申請の代理、法務局や裁判所に出す書類の作成 司法書士法3条・73条
弁護士 遺産分割の交渉・調停・審判の代理など、法律事件全般 弁護士法72条
行政書士 官公署に出す書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成 行政書士法1条の3・19条

税理士:相続税の申告と相談

税理士法2条は、税理士の業務を「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つと定めています。52条で、税理士でない人はこれらを業として行えません。この条文には報酬の有無の要件がないため、無償であっても税理士以外が申告書の作成を請け負うことはできないと読めます。相続税の申告をどこまで任せるかは相続税を税理士に頼むかの判断、事務所選びは相続に強い税理士の見分け方で解説しています。

司法書士:相続登記と裁判所に出す書類

司法書士法3条は、登記の手続の代理、法務局や裁判所に提出する書類の作成、それらの相談を司法書士の業務としています。相続登記の申請を他人に代わって行えるのは、弁護士を除けば原則として司法書士です。相続放棄の申述書のように家庭裁判所へ出す書類の作成も業務に含まれます。相続登記は2024年4月1日から義務になっています(相続登記の義務化)。

弁護士:争いがあるときの代理人

弁護士法72条は、弁護士でない人が報酬を得る目的で法律事件の代理や和解などを業として行うことを禁じています。相続人の一人の代理人として他の相続人と交渉したり、遺産分割調停・審判で代理したりするのは弁護士の役割です。司法書士にも簡易裁判所での代理権が認められる場合がありますが、対象は訴訟の目的の価額が140万円以下の事件などに限られます(司法書士法3条、裁判所法33条)。

行政書士:争いのない場面での書類作成

行政書士法1条の3は、官公署に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を行政書士の業務としています。日本行政書士会連合会は、相続について「法的紛争段階にある事案や、税務・登記申請業務に関するものを除き」、遺産分割協議書や相続人関係説明図などの作成と、その前提となる調査を引き受けると案内しています。

そのほかの相談先

信託銀行などの金融機関は、法律に基づく認可を受けて、遺言の執行や財産の整理に関する業務を扱っています(銀行の遺言信託)。相続診断士のような民間資格は、全体を整理して専門家につなぐ「入口の案内役」と考えるとよいでしょう(相続診断士とは)。いずれも、登記や申告そのものは提携する士業が担当するのが一般的です。

専門家の費用はどう決まる?

士業の報酬は、いまはどれも各事務所が自由に決めるしくみです。公的に定められた「料金表」はありません。

  • 税理士:日本税理士会連合会によると、税理士会が定めていた報酬規定は2002年(平成14年)4月1日施行の改正税理士法で廃止されました。委嘱の範囲と報酬額について契約書を交わすよう勧めています。相続税申告の料金体系は税理士費用の相場の記事で解説しています。
  • 司法書士:日本司法書士会連合会は、報酬は各司法書士が自由に定めるが、会則で額や算定方法を明示し、依頼者との合意で決めることになっていると案内しています(相続登記の司法書士費用)。
  • 弁護士:日本弁護士連合会は、弁護士費用の種類として着手金・報酬金・手数料・法律相談料・日当・実費などを挙げ、総額でどの程度かかるかよく確認するよう呼びかけています。

報酬とは別に、戸籍の取得費や登録免許税などの実費もかかります。全体像は相続にかかる費用の全体像にまとめました。

専門家を選ぶときに確認したい5つのこと

確認すること 見るポイント
資格と登録 税理士は日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で登録を確認できる。行政書士も会員検索がある
依頼したい業務がその資格の範囲か 窓口の会社と、実際に申告・登記を担当する資格者が誰かを確認する
相続案件の経験 相続を日常的に扱っているか、似た事例の進め方を説明してもらう
見積もりと契約書 何が報酬に含まれ、何が別料金・実費かを書面で確認する(見積もりの見方)
他の専門家との連携 登記・申告・争いなど、自分の資格外の部分をどうつなぐか
紹介サイトの位置づけ日本税理士会連合会は、インターネット上の税理士紹介サイトは同会とは一切関係がないと注記しています。紹介サイトを使う場合も、最終的には依頼先の資格・登録と、契約内容を自分で確かめましょう。

相談の前に、亡くなった方の財産の一覧、相続人の顔ぶれ、手元にある書類を整理しておくと、見積もりも具体的になります。準備の仕方は相続の相談の準備を参考にしてください。

よくある質問

税理士・司法書士・弁護士の全員に頼む必要がありますか?

いいえ。必要なのは、自分のケースで発生する手続きの担当者だけです。相続税がかからず不動産もなければ、どの士業にも頼まずに済むこともあります。不動産があれば司法書士、相続税の申告が必要なら税理士、対立があれば弁護士、というように必要な分だけ依頼します。

一つの事務所でまとめて頼めますか?

複数の資格者が在籍する事務所や、他の士業と提携している事務所なら、窓口を一つにできる場合があります。その場合も、申告は税理士、登記は司法書士というように、各業務は資格を持つ人が担当します。誰が何を担当するかを確認しておくと安心です。

相続の相談はいつすればよいですか?

期限のある手続きがあるため、早めに相談するほど選べる方法が多く残ります。相続放棄を検討しているなら3か月の期限があるので、特に急ぎます。タイミングの考え方は相続の相談はいつ・誰に?で解説しています。

相続人同士がもめていても、税理士や司法書士に頼めますか?

申告書の作成や登記の申請そのものは頼めますが、どちらかの代理人として相手と交渉することは、弁護士以外にはできません。遺産分割がまとまらないときの進み方は調停・審判の流れを参考にしてください。

まとめ

相続の専門家は、税は税理士、登記は司法書士、争いの代理は弁護士、争いのない書類作成は行政書士というように、法律で業務の範囲が分かれています。まずは早見表で悩みに合う相談先の目安をつけ、期限の近い手続きから動きましょう。報酬はどの士業も自由化されているため、依頼の範囲と金額を見積もりや契約書で確かめることが大切です。相談の前に財産と相続人を整理しておくと、話が早く進みます。

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※本記事は2026年10月時点の法令と各団体の公式案内をもとにした一般的な解説です。個別の事案でどの専門家に何を依頼できるか、費用がいくらかは、事情によって異なります。具体的な判断は各専門家や公的な相談窓口にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
e-Gov法令検索「税理士法」第2条・第52条 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237
e-Gov法令検索「司法書士法」第3条・第73条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197
e-Gov法令検索「弁護士法」第72条 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205
e-Gov法令検索「行政書士法」第1条の3・第19条 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004
e-Gov法令検索「裁判所法」第33条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
日本税理士会連合会「税理士に相談する」https://www.nichizeiren.or.jp/consultation/expart/
日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/
日本弁護士連合会「弁護士費用(報酬)」https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid.html
日本行政書士会連合会「遺言・相続」https://www.gyosei.or.jp/service/testament
国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
裁判所「相続の放棄の申述」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

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