相続の手続き

相続手続きの期限一覧|起算日つきで「いつまでに何を」を整理

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「相続の期限は、亡くなった日から数えればいいの?」——実は、相続の期限は手続きごとに数え始める日(起算日)が違います。結論から言うと、特に重要なのは相続放棄・限定承認(知った時から3か月)、準確定申告(知った日の翌日から4か月)、相続税の申告と納税(知った日の翌日から10か月)、相続登記(取得を知った日から3年)の4つです。このほか、遺留分の請求(1年)や、法律上の期限はないものの10年を過ぎると不利になる遺産分割もあります。この記事では、相続(財産)の手続きの期限を起算日つきで一覧にし、数え方の例と、過ぎたときに何が起きるかを整理します。

この記事の範囲死亡届(7日以内)や年金・健康保険の届出(10〜14日以内)など、亡くなった直後の役所の手続きは死亡後の手続き一覧で窓口つきにまとめています。この記事は「財産を引き継ぐ手続き」の期限に絞って解説します。

相続手続きの期限一覧(起算日つき早見表)

まず全体を一覧で確認します。「期限」と「いつから数えるか」をセットで見るのがポイントです。

必ず押さえたい4つの期限

手続き 期限 起算日(いつから数えるか) 根拠
相続放棄・限定承認 3か月以内 自己のために相続の開始があったことを知った時 民法915条
準確定申告(亡くなった方の所得税) 4か月以内 相続の開始があったことを知った日の翌日 所得税法125条ほか
相続税の申告・納税 10か月以内 亡くなったことを知った日の翌日 相続税法27条ほか
相続登記(不動産の名義変更) 3年以内 相続の開始を知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日 不動産登記法76条の2

請求できる期間が限られている権利

手続き 期限 起算日 根拠
特別寄与料の請求(家庭裁判所への申立て) 6か月/1年 相続の開始と相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年 民法1050条
遺留分侵害額の請求 1年/10年 相続の開始と、遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年。相続開始から10年でも消滅 民法1048条

期限ではないが「遅れると不利」になるもの

手続き 目安 遅れたときの影響
自筆の遺言書の検認 相続の開始を知った後、遅滞なく 検認をせずに執行したり、家庭裁判所の外で開封したりすると5万円以下の過料(民法1004条・1005条)
遺産分割 期限なし(いつでも可能) 相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益・寄与分を考慮しない法定相続分などで分けることになる(民法904条の3)
相続税の特例のための分割 申告期限から3年以内 配偶者の税額軽減などは、未分割のままでは原則使えない。「申告期限後3年以内の分割見込書」を出して3年以内に分ければ対象になる
遺産分割後の相続登記 分割が成立した日から3年以内 法定相続分で登記した後に、遺産分割で法定相続分を超えて取得した人は、分割の日から3年以内に申請が必要。相続人申告登記をしても、分割後のこの義務は果たしたことにならない
「亡くなった日」から一律に数えない相続放棄は「自分が相続人になったと知った時」、相続税は「亡くなったことを知った日の翌日」、相続登記は「不動産を取得したと知った日」が基準です。離れて暮らしていて後から知った人や、先の順位の人が放棄して後から相続人になった人は、起算日が亡くなった日とずれます。

相続の期限の数え方(計算例つき)

民法の基本ルール:初日は数えず、応当日の前日で終わる

月単位の期間は、民法の決まりで「初日は数えない(午前0時から始まる場合を除く)」「暦に従って数え、最後の月の起算日に当たる日の前日に終わる」とされています(民法140条・143条)。たとえば1月10日に相続の開始を知った場合、相続放棄の3か月は1月11日から数え始め、4月10日が期限の目安になります。

税金の期限は「翌日から」と明記されている

準確定申告と相続税は、法令自体が「知った日の翌日から」と定めています。国税庁は、1月6日に亡くなった場合の相続税の申告期限をその年の11月6日と例示しています。期限の日が土曜・日曜・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります。

月末や休日が絡むときの注意

最後の月に同じ日付がないとき(例:11月30日を起算日とする3か月)は、その月の末日に満了します。家庭裁判所に出す相続放棄の期限が休日に重なる場合の扱いなど、細かな点は申述先の家庭裁判所に確認しておくと安心です。

期限は「余裕をもって」逆算する相続放棄の申述には戸籍などの書類が必要で、取り寄せに日数がかかります。相続税の申告も、財産の評価や遺産分割に時間がかかります。期限ぎりぎりではなく、1か月以上前に提出できる段取りを組むのが目安です。

相続の期限を過ぎるとどうなる?

相続放棄の3か月を過ぎた場合

期間内に放棄も限定承認もしなかった相続人は、単純承認(プラスもマイナスもすべて引き継ぐこと)をしたものとみなされます(民法921条)。借金があれば、原則として相続人が返済の義務を負います。財産の調査が間に合わないときは、期限内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます(相続放棄の3か月に間に合わないとき)。

準確定申告・相続税の期限を過ぎた場合

期限内に申告・納税しないと、本来の税金に加えて加算税や延滞税がかかる場合があります。相続税では、遺産分割がまとまっていなくても期限は延びません。未分割のときは法定相続分で取得したものとして申告し、分割後に修正申告や更正の請求で調整します(相続税の申告期限は10か月)。

相続登記の3年を過ぎた場合

正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。法務省によると、過料は登記官からの催告を受けても正当な理由なく申請しない場合に、裁判所へ通知される流れです。2024年4月1日より前に始まった相続で登記していない不動産も対象で、2027年3月31日までに申請する必要があります(相続登記の義務化)。

遺留分・特別寄与料の期間を過ぎた場合

遺留分侵害額の請求権は1年(相続開始から10年)で時効により消滅し、特別寄与料も期間を過ぎると家庭裁判所に申し立てられなくなります。請求を考えている場合は、内容証明郵便などで意思を示した記録を残すのが一般的です(遺留分侵害額請求の期限と方法)。

期限から逆算した相続手続きのスケジュール

期限を守るには、手前の作業をいつまでに終えるかを決めておくことが大切です。一般的な目安は次のとおりです。

時期の目安 終えておきたいこと 関係する期限
〜1か月 遺言書の有無の確認、自筆の遺言書の検認申立て、戸籍の取り寄せ開始 検認(遅滞なく)
〜2か月 相続人の確定、借金を含む財産の洗い出し 相続放棄(3か月)
〜3か月 相続するか・放棄するかの判断、必要なら伸長の申立て 相続放棄(3か月)
〜4か月 亡くなった方の所得の資料をそろえて準確定申告 準確定申告(4か月)
〜8か月 財産の評価、遺産分割協議と協議書の作成 相続税(10か月)
〜10か月 相続税の申告・納税(基礎控除を超える場合) 相続税(10か月)
〜3年 不動産の相続登記、遺産分割後の登記 相続登記(3年)

それぞれの作業の中身と順番は、相続手続きの流れで一つずつ解説しています。期限の一覧はこの記事、段取りは流れの記事、と使い分けてください。

よくある質問

Q. 相続人が亡くなったことを数か月後に知りました。もう放棄できませんか?

相続放棄の3か月は「自分のために相続が始まったことを知った時」から数えます。亡くなった日から3か月が過ぎていても、知った時から3か月以内であれば申述できる場合があります。いつ知ったかを説明できる資料(通知の手紙など)を残し、早めに家庭裁判所や専門家に相談してください。

Q. 相続税がかからなければ、10か月の期限は関係ありませんか?

財産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下なら、相続税の申告は不要です(相続税の基礎控除)。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合は、申告が必要です。

Q. 遺産分割協議に期限はありますか?

法律上の期限はなく、いつでも話し合えます。ただし、相続税の申告期限、特例のための3年以内の分割、相続登記の3年、10年経過後のルールなど、実際には分割の遅れが影響する期限が複数あります。

Q. 期限の管理は誰がすればよいですか?

決まりはありませんが、相続人の中で取りまとめ役を決め、一覧表に起算日と期限を書き込んで共有するのが一般的です。税金は税理士、登記は司法書士に依頼でき、依頼先が期限を管理してくれます。

まとめ

相続の期限は、相続放棄・限定承認(3か月)→準確定申告(4か月)→相続税(10か月)→遺留分(1年)→相続登記(3年)の順に来ます。起算日は手続きごとに違い、亡くなった日とは限りません。遺産分割には期限がないものの、10年ルールや特例の3年以内分割があるため、先送りは不利になりがちです。まずは一覧表に家族それぞれの起算日を書き込み、手前の作業から逆算して進めましょう。

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※本記事は2026年10月時点の法令・公表情報にもとづく一般的な解説です。期限の起算日や適用の有無は個別の事情で変わります。具体的な判断は、家庭裁判所・税務署・法務局などの窓口や、弁護士・税理士・司法書士にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
e-Gov法令検索「民法」第140条・第143条・第904条の3・第915条・第921条・第1004条・第1005条・第1048条・第1050条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
裁判所「相続の放棄の申述」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html
国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
法務省「相続登記の申請義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
e-Gov法令検索「不動産登記法」第76条の2・第164条 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
e-Gov法令検索「所得税法」第125条 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
e-Gov法令検索「相続税法」第27条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073
裁判所「遺言書の検認」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html

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