本ページはプロモーションを含みます
「相続税の申告を頼むなら、相続に強い税理士にお願いしたい。でも、どうやって見分ければいいの?」——事務所のホームページはどこも「相続に強い」と書いてあり、違いが分かりにくいものです。結論から言うと、看板の言葉ではなく、①登録の確認、②書面添付制度への姿勢、③面談での説明の具体性の3つで確かめるのが確実です。この記事では、特定の事務所を推すのではなく、どの事務所にも当てはめられる確認の手順と、面談で使える質問を整理します。
相続に強い税理士を見分ける必要がある理由
相続税は、土地や非上場株式などの財産評価、小規模宅地等の特例、生前贈与の扱いなど、他の税目にはない論点が多い分野です。税理士であれば誰でも申告を引き受けられますが、こうした論点への慣れは事務所によって差が出やすいといえます。
また、相続税は申告の後に税務署が内容を確かめることも少なくない税目です。国税庁によると、令和6事務年度の相続税の実地調査は9,512件で、そのうち82.3%で申告漏れなどの非違が見つかりました。文書や電話による「簡易な接触」も21,969件行われています。申告の内容をきちんと説明できる形で仕上げてもらえるかは、税理士選びの大事な視点です(相続税の税務調査)。
ステップ1:税理士として登録されているかを確かめる
最初に、相手が税理士として登録されているかを確認します。日本税理士会連合会は、登録されている税理士・税理士法人を氏名や事務所所在地で調べられる「税理士情報検索サイト」を公開しています。税理士は必ずいずれかの税理士会に所属し、同会の名簿に登載されています。
ステップ2:書面添付制度(税理士法33条の2)への姿勢を聞く
書面添付制度とは
税理士法33条の2は、税理士が申告書を作成したときに、その作成にあたって「計算し、整理し、又は相談に応じた事項」を記載した書面を申告書に添付できると定めています。どの資料をもとに、どう判断して申告書を作ったかを、税理士が自分の名前で説明する書面です。
添付するとどうなるのか
税理士法35条により、この書面が添付された申告について、税務署が納税者に調査の日時を事前に通知して調査しようとするときは、その通知の前に、税理士に意見を述べる機会を与えなければなりません(意見聴取)。国税庁の「税理士制度のQ&A」では、次のように説明されています。
| ポイント | 国税庁の説明(要旨) |
|---|---|
| 調査は省略されるのか | 意見聴取で疑問点が解消し、結果的に調査に至らないことはあり得るが、調査の省略を前提とした制度ではない |
| 意見聴取の連絡時期 | 調査を通知する日の1〜2週間前までに、税理士に日時・方法を決めるための連絡をする |
| 調査に移行しない場合 | 原則として「意見聴取結果についてのお知らせ」という文書で税理士に知らせる |
| 意見聴取後の修正申告 | 意見聴取での質疑だけがきっかけで、調査通知前に修正申告をした場合は、加算税は課されない |
| 納税者の同席 | 意見聴取は税理士に対して行うもので、納税者の同席は想定していない |
相続税での利用状況
財務省の「令和6事務年度 国税庁実績評価書」によると、税理士が関与した相続税の申告書のうち、書面添付があったものは24.6%でした(令和6年度)。所得税(1.5%)や法人税(10.2%)より高いものの、4件に1件程度です。添付するかどうかは税理士の判断で、添付しないことがただちに悪いわけではありません。大切なのは、「添付するか、しないならなぜか」を説明してもらえるかどうかです。
ステップ3:面談で確認したい質問リスト
初回相談では、次のような質問をしてみてください。答えの「具体性」が、経験を測るいちばんの手がかりになります。
| 聞くこと | 確かめたいポイント |
|---|---|
| 相続税の申告をどのくらい扱っているか | 件数そのものより、似た財産構成の事例の進め方を説明できるか |
| 土地の評価で現地や役所の確認をするか | 地図だけで済ませず、道路や形状、利用状況を確かめる方針か(路線価図の見方) |
| 使えそうな特例と、その要件 | 小規模宅地等の特例などについて、要件と分け方の影響を説明してくれるか |
| 書面添付をするか、その費用は | 方針と理由、報酬に含まれるか |
| 税務調査があったときの対応 | 立ち会いの有無と費用、連絡の窓口 |
| 実際に担当するのは誰か | 税理士本人か、補助者が中心か。連絡の取り方と頻度 |
| 報酬の範囲と追加料金の条件 | 見積もりと契約書で範囲が明示されるか(税理士費用の相場と料金体系) |
| 登記や争いがあるときの連携 | 司法書士や弁護士など、自分の資格外の部分をどうつなぐか |
相談の前に、財産の一覧や固定資産税の課税明細書などを用意しておくと、税理士も具体的に答えやすくなります(相続の相談の準備)。
注意したいサイン
- 「必ず調査が来ない」と言い切る:国税庁は、書面添付は調査の省略を前提としないと説明しています
- 見積もりや契約書を出さない:日本税理士会連合会は、委嘱の範囲と報酬額について契約書を交わすよう勧めています
- 財産を見る前に税額や報酬を断言する:評価をしないと正確な見通しは立ちません
- 説明が専門用語ばかりで、質問しにくい:10か月の間、何度もやり取りする相手です
- 申告書の内容を説明しないまま署名・押印を求める:申告の責任は最終的に納税者にあります
どれか一つで決めつける必要はありませんが、複数当てはまるなら、他の事務所の話も聞いてみると安心です。
よくある質問
相続税の申告件数が多い事務所ほど安心ですか?
経験の目安にはなりますが、件数だけで判断はできません。件数の数え方は事務所ごとに違い、比べにくいこともあります。自分と似た財産構成の事例について、どう進めたかを具体的に説明できるかを重視しましょう。
普段の顧問税理士に相続税も頼んでよいですか?
頼めます。家業の状況をよく知っているのは大きな利点です。相続税の経験について率直に聞き、必要に応じて相続税に慣れた税理士と連携してもらう方法もあります。
書面添付をすると報酬は高くなりますか?
書面の作成には手間がかかるため、別料金にしている事務所もあれば、基本報酬に含めている事務所もあります。見積もりの段階で確認しておきましょう。
途中で税理士を変えることはできますか?
契約の内容によりますが、可能です。国税庁のQ&Aでは、意見聴取は現在、税務代理権限証書を提出している税理士に対して行われると説明されています。変更するときは、資料の引き継ぎと、新しい税理士の税務代理の手続きを確認しましょう。
まとめ
相続に強い税理士を見分けるには、まず税理士情報検索サイトで登録を確かめ、次に書面添付制度(税理士法33条の2)への方針とその理由を聞き、最後に面談で土地評価・特例・税務調査対応について具体的な説明が返ってくるかを確かめましょう。書面添付は調査を省略する制度ではありませんが、税理士が申告の中身を説明する姿勢の表れです。料金の安さだけでなく、範囲と説明の丁寧さで比べることが、納得のいく申告につながります。依頼するかどうかの判断は相続税を税理士に頼む費用と判断基準もあわせてご覧ください。
※本記事は2026年10月時点の法令と国税庁・財務省・日本税理士会連合会の公式情報をもとにした一般的な解説です。特定の税理士事務所を推奨するものではありません。依頼先の判断や個別の税務は、各税理士・税務署にご確認ください。
国税庁「税理士制度のQ&A 4 書面添付・意見聴取制度」https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/04.htm
e-Gov法令検索「税理士法」第33条の2・第35条・第52条 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237
財務省「令和6事務年度 国税庁実績評価書」(参考指標:書面添付割合・税理士関与割合)https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2024/evaluation/202510ntahyoka.pdf
国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf
日本税理士会連合会「税理士に相談する」https://www.nichizeiren.or.jp/consultation/expart/






