相続の手続き

相続とマイナンバー|相続税申告に書く番号と故人のカードの扱い

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「相続税の申告書には、亡くなった父のマイナンバーも書くの?」「母のマイナンバーカードは役所に返さないといけない?」——相続の手続きでは、マイナンバーについて迷う場面がいくつかあります。結論から言うと、相続税の申告書に書くのは申告する相続人自身のマイナンバーで、亡くなった方の番号は書く必要がありません。また、亡くなった方のマイナンバーカードは死亡によって効力を失い、法令上、返納する義務はありません。この記事では、相続とマイナンバーの関係を、国税庁の案内と法令をもとに整理します。

相続でマイナンバーが関わる場面の早見表

場面 誰の番号か ポイント
相続税の申告 申告する相続人など 亡くなった方の番号は不要。本人確認書類が必要
準確定申告 相続人など 付表などに記入し、本人確認書類を添付
未支給年金の請求 請求する遺族 番号を確認できる書類を添付
預貯金口座の相続時の照会 (亡くなった方が付番していた場合) 一つの金融機関の窓口で付番口座の所在を確認できる
亡くなった方のカード — 死亡で失効。返納の義務はないが、しばらく保管

相続税の申告書に書くマイナンバー

書くのは「申告する人」の番号

相続税の申告書へのマイナンバーの記載は、2016年1月1日以降の相続から必要になりました。国税庁は、記載が必要なのは相続税の申告をする人であり、被相続人(亡くなった方)のマイナンバーを申告書に記載する必要はないと案内しています。当初は亡くなった方の番号も記載する扱いでしたが、2016年9月に取扱いが変更されました。古い解説記事には変更前の内容が残っていることがあるので注意してください。

本人確認書類を添付する

マイナンバーを記載した申告書を出すときは、税務署で本人確認(番号確認と身元確認)が行われます。そのため、申告する人ごとに次のような書類の写しを添付します。

確認の種類 書類の例
番号確認 マイナンバーカード(裏面)、マイナンバーが記載された住民票の写しなど
身元確認 マイナンバーカード(表面)、運転免許証、パスポートなど

マイナンバーカードがあれば、表と裏の写しで両方の確認ができます。マイナンバー入りの住民票の写しを使う場合、同じ世帯の家族の番号が載っていれば、申告する人以外の番号はマスキングして提出するよう国税庁は求めています。税務署の窓口で提出する人は、写しの添付に代えて本人確認書類を提示することもできます。申告に必要なほかの書類は相続税申告の必要書類で確認できます。

相続人みんなで1通の申告書を出すとき

相続税の申告書は、同じ税務署に出す相続人どうしなら共同で1通にまとめて提出できます(相続税法27条5項)。この場合、1通の申告書に複数の相続人の番号が並びます。国税庁は、次のように整理しています。

  • 一人目の相続人が自分の番号を書いて次の相続人に渡すことは、番号法上の「特定個人情報の提供」に当たらない
  • 相続人どうしで本人確認をする必要はない
  • 税務署に出すときは、各相続人の本人確認書類の写しを添付する
控えには番号を残さないマイナンバーは、法律で認められた場合を除き、他人の番号を集めたり保管したりできません。そのため、ほかの相続人の番号が書かれた状態で申告書の控えを保管することはできないとされています。控えを作るときは番号を書かない、複写する場合は番号の部分をマスキングするなどの対応が必要です。

共同での提出は任意なので、ほかの相続人に番号を見られたくない場合は、相続人ごとに別々に申告書を出すこともできます。

e-Taxで申告する場合

e-Taxで相続税を申告する場合も、マイナンバーの入力は必要です。ただし、本人確認書類の写しの添付は省略できます。税理士が代理で送信する場合は、相続人の利用者識別番号の暗証番号や電子証明書(マイナンバーカードなど)も不要です。自分で申告するかどうかの判断は相続税を自分で申告する方法を参考にしてください。

準確定申告や年金の手続きでの扱い

準確定申告:相続人の番号を記入する

亡くなった方の所得税の申告(準確定申告)では、国税庁の記載例で、相続人などの個人番号の記入と、相続人などの本人確認書類の提示または写しの添付が必要とされています。相続人が2人以上いる場合は、申告書に「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を付け、そこに各相続人が番号を記入します。付表の扱いも相続税と同じで、番号を書いて次の相続人に渡すことは特定個人情報の提供には当たらず、受け取った相続人はその番号を書き写したりコピーしたりできません。

国税庁は、自分の番号をほかの相続人に見られないよう、ほかの相続人とは別に申告書と付表を出すこともできると案内しています。申告の流れは準確定申告とはで解説しています。

年金:請求する遺族の番号を使う

日本年金機構の案内では、未支給年金を請求するときの添付書類に、請求する方のマイナンバーにかかる確認書類が挙げられています。また、亡くなった方のマイナンバーが機構に収録されている場合、未支給年金を受け取る遺族がいないなどで「年金受給権者死亡届(報告書)」だけを出すケースでは、原則としてその届出を省略できます。年金の手続き全体は死亡後の年金手続きをご覧ください。

預貯金口座:付番していれば所在の確認に役立つ

本人が生前に預貯金口座へマイナンバーを付番していた場合、相続時に一つの金融機関の窓口で、付番された口座の所在を確認できるしくみがあります(デジタル庁の案内)。付番していない口座は対象外です。手続きと限界は預貯金口座付番制度で解説しています。

亡くなった方のマイナンバーカードはどうする?

死亡によって効力を失う

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)の施行令は、マイナンバーカードの効力を失う場合として「個人番号カードの交付を受けている者が死亡したとき」を挙げています(施行令14条11号)。自治体の案内でも、死亡届が出されて住民票が消除されると、カードは自動的に使えなくなり、廃止の手続きは不要とされています。

返納の義務はない

同じ施行令の15条は、カードを返納しなければならない場合を定めていますが、そこに死亡は含まれていません。松山市は「法令上、返納する必要はありません」、板橋区は「返却は必要ありません」と案内しています。扱いを確認したい場合は、亡くなった方が住んでいた市区町村に問い合わせてください。

すぐに捨てず、しばらく保管を松山市は、相続などの手続きで亡くなった方のマイナンバーが必要になることがあるため、しばらくの間は保管するよう勧めています。不要になったら、ICチップの部分にはさみを入れて処分してかまわないとしています。板橋区は、通知カードについても返却は必要ないと案内しています。
カードでログインして調べないカードの電子証明書も死亡によって使えなくなります。亡くなった方のカードや暗証番号を使って、行政や民間のサービスにログインしようとするのはやめましょう。

マイナンバーを家族に残すときの注意

マイナンバーは重要な個人情報です。もしもの備えとして家族に伝えておきたい場合も、エンディングノートなどに番号そのものを書き写すのは避け、「カードや通知カードをどこに保管しているか」を書いておくのが安全です。何を書き、何を書かないかはエンディングノートの書き方で整理しています。

よくある質問

Q. 亡くなった方のマイナンバーが分からないと困る手続きはありますか?

相続税の申告書には亡くなった方の番号は書きません。ただし、手続きによっては番号を尋ねられることもあるため、カードや通知カード、番号が載った書類はしばらく保管しておくと安心です。

Q. 海外に住んでいてマイナンバーがない相続人はどうすればよいですか?

国内に住民票がないとマイナンバーは通知されません。番号がない場合の申告書の書き方は、提出先の税務署に確認してください。

Q. 相続税がかからない場合も、マイナンバーを提出しますか?

相続税の申告をしなければ、申告書への記載もありません。ただし、特例を使うために申告する場合などは、税額がゼロでも申告書に番号を記載します。

Q. 税理士に頼む場合、マイナンバーを伝える必要がありますか?

申告書に記載するため、税理士に伝えることになります。税理士が代理でe-Taxを使う場合は、本人確認書類の写しの添付が不要になります。

まとめ

相続税の申告書に書くマイナンバーは申告する相続人自身のもので、亡くなった方の番号は不要です。提出時には各相続人の本人確認書類が必要で、ほかの相続人の番号が載った控えは保管できません。準確定申告でも相続人の番号を記入し、別々に提出することもできます。亡くなった方のマイナンバーカードは死亡で効力を失い、返納の義務はありませんが、手続きが終わるまではしばらく保管しておきましょう。

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※本記事は2026年10月時点の法令と国税庁・デジタル庁・日本年金機構・自治体の案内をもとにした一般的な解説です。申告書の書き方や必要書類は個別の事情によって異なる場合があります。詳しくは税務署・市区町村・年金事務所、または税理士にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
国税庁「相続税・贈与税に関するFAQ(マイナンバー)」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/souzokuzouyo_qa.htm
国税庁「相続税・贈与税に関する社会保障・税番号<マイナンバー>制度」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sozoku-tokushu/souzokuzouyo-mynumber.htm
国税庁「番号制度概要に関するFAQ」(Q2-5)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou_qa.htm
国税庁「死亡した方の準確定申告をする場合の記載例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei/2020/pdf/014.pdf
e-Tax「相続税の申告をe-Taxにより行う場合、マイナンバーの記載は必要ですか」https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qa/souzoku/26.htm
デジタル庁「よくある質問:預貯金口座付番制度について」https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_faq_09
デジタル庁「よくある質問:マイナンバー(個人番号)について」(A2-9)https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_faq_02
日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
e-Gov法令検索「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令」(14条・15条)https://laws.e-gov.go.jp/law/426CO0000000155
e-Gov法令検索「相続税法」(27条)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073
松山市「亡くなった方のマイナンバーカードの取扱い」https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/tetsuzuki/mynumberseido/shibou_card.html
板橋区「亡くなった人のマイナンバーカードや通知カードはどうすればよいですか」https://www.city.itabashi.tokyo.jp/faq/tetsuduki/koseki/1045289/1058311.html

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