相続の手続き

法定相続情報一覧図とは|無料で戸籍の束の代わりに・取り方と使い道

本ページはプロモーションを含みます

相続の手続きでは、銀行、証券会社、法務局、税務署、年金事務所と、窓口ごとに「出生から死亡までの戸籍一式」を求められます。そのたびに分厚い戸籍の束を出し、返却を待つのは大変です。そこで役立つのが法定相続情報一覧図です。結論から言うと、戸籍一式と相続関係を一覧にした図を法務局に出すと、登記官が確認した認証文つきの写しを無料で交付してもらえ、戸籍の束の代わりに使えます。この記事では、使える手続き、申出できる人と申出先、必要書類、作り方の流れと書き方の注意点、再交付までを、法務局の案内をもとに整理します。

法定相続情報一覧図とは:戸籍の束を1枚に置き換える証明書

法定相続情報一覧図は、亡くなった方と相続人の関係を一覧にした図です。2017年(平成29年)5月に始まった法定相続情報証明制度では、相続人がこの一覧図と戸籍・除籍謄本の束を法務局(登記所)に提出し、登記官が民法の相続関係と合っているかを確認したうえで、認証文をつけた写しを無料で交付します。

一覧図の写しがあれば、複数の窓口に戸籍の束を出し直す必要がなくなり、手続きを並行して進めやすくなります。戸籍の集め方は相続の戸籍の集め方で解説しています。

使える主な手続き

手続き 使い方のポイント
相続登記(不動産の名義変更) 戸籍の束の代わりに提出できる。2024年4月1日からは、写しの右上にある「法定相続情報番号」を申請書に書けば、写しの添付も省略できる
預貯金の払戻し 亡くなった方名義の預金の手続きで利用できる
相続税の申告 続柄を戸籍どおりに記載していれば、原則として添付書類に使える
年金などの手続き 2020年10月26日から、遺族年金・未支給年金・死亡一時金などの請求で、身分関係を証明する書類として使える

法定相続情報番号が使えるのは不動産登記だけで、ほかの手続きでは写しそのものを提出します。また、提出先によっては一覧図の写しのほかに必要な書類があるため、事前に利用先へ確認しておきましょう。相続登記の書類全体は相続登記の必要書類一覧、預貯金の手続きは預貯金の相続手続きの流れを参考にしてください。

一覧図に書かれること・書かれないこと

  • 一覧図は、戸籍の記載にもとづく法定相続人を示すものです。相続放棄をした人や、遺産分割で何も受け取らない人も記載されます
  • 推定相続人から廃除された人は、相続権を失っているため記載されません
  • 財産の内容や、遺産分割の結果は記載されません
  • 亡くなった方や相続人が日本国籍を持たないなどで、戸籍謄本を提出できない場合は、この制度を利用できません

申出できる人と申出先

申出できる人・頼める人

申出ができるのは、亡くなった方の相続人(その相続人が亡くなっている場合は、さらにその相続人)です。代理を頼める相手は、親族のほか、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士に限られます。

申出先は4つから選べる

次のいずれかの地を管轄する登記所に申し出ます。

  1. 亡くなった方の本籍地(死亡時の本籍)
  2. 亡くなった方の最後の住所地
  3. 申出人の住所地
  4. 亡くなった方名義の不動産の所在地

申出も、写しの受け取りも、窓口のほか郵送でできます。郵送で受け取る場合は、その旨を申出書に書き、返信用の封筒と切手を同封します。窓口で受け取る場合は、申出書に書いた住所・氏名と同じものが載った本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)を持参します。

必要書類

書類 取得先・補足
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本 本籍地の市区町村(広域交付も利用可)
亡くなった方の住民票の除票 最後の住所地の市区町村。廃棄済みで取れない場合は戸籍の附票
相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本 亡くなった日以後に証明されたもの
申出人の氏名・住所を確認できる書類 運転免許証の表裏のコピー、マイナンバーカード表面のコピー、住民票の写しなど(コピーには原本と相違ない旨を書いて記名)
(一覧図に相続人の住所を書く場合)各相続人の住民票の写し 印鑑証明書や戸籍の附票でも代用できる
(代理人が申し出る場合)委任状など 親族なら関係が分かる戸籍、資格者なら所定の身分証明書の写し

兄弟姉妹が相続人になる場合などは、亡くなった方の父母の戸籍など、追加の戸籍が必要になることがあります。

戸籍は返してもらえる提出した戸籍・除籍謄本や住民票の除票などは、一覧図の写しを交付するときにあわせて返却されます。一方、本人確認のために出した書類(運転免許証のコピーや住民票の写しなど)は返却されません。住民票の原本を手元に残したいときは、原本とコピーを一緒に出します。

作り方の流れと書き方のポイント

3つのステップ

  1. 必要書類を集める:上の表の書類をそろえます
  2. 一覧図を作る:亡くなった方と、戸籍から分かる相続人を一覧にした図を作ります。法務局のホームページに様式と記載例があります
  3. 申出書を書いて登記所へ申し出る:申出書に記入し、書類と一覧図をあわせて提出します

書類の不足や一覧図の誤りがあると、登記官から直すよう求められます。それでも整わない場合は書類一式が返され、返戻に応じないと申出日から3か月後に廃棄されると案内されています。法務局の記載例と見比べながら、戸籍の記載どおりに作りましょう。

続柄と住所の書き方に注意

  • 続柄:「長男」「長女」など戸籍に書かれた続柄で記載するのが基本です。「子」と書くこともできますが、その場合は相続税の申告などで使えないため、相続税の申告がありそうなら戸籍どおりに書きます
  • 相続人の住所:書くかどうかは任意です。書いておくと、相続登記などで相続人の住民票の写しを出さずに済むことがあります
  • 亡くなった方の最後の本籍:最後の住所に加えて、希望すれば記載できます

再交付と5年間の保存

提出された一覧図は、登記所で5年間(申出日の翌年から起算)保存されます。この間なら、写しが追加で必要になったときに再交付を受けられます。

  • 再交付を受けられるのは、最初の申出で「申出人」として名前を書いた人だけです。申出人にならなかった相続人は受けられません
  • 再交付の申出先は、最初に申し出た登記所です

複数の相続人が別々に手続きを進める予定なら、誰が申出人になり、写しをどう分担するかを先に決めておくとスムーズです。

相続関係説明図との違い

似た書類に「相続関係説明図」があります。これは相続人が自分で作る関係図で、法務局の認証はありません。主に相続登記で、提出した戸籍の原本を返してもらう際などに使われます。一方、法定相続情報一覧図の写しは登記官の確認を経た証明書で、相続登記に限らず、預貯金や年金、相続税の手続きでも戸籍の束の代わりに使える点が違います。

よくある質問

Q. 費用はかかりますか?

制度の利用は無料です。ただし、戸籍謄本などを取るための手数料と、郵送で申出・受け取りをする場合の郵送料はかかります。

Q. 相続放棄をした人も一覧図に載りますか?

載ります。一覧図は戸籍にもとづく法定相続人を示すものなので、相続放棄をした人も記載されます。放棄したことは一覧図からは分からないため、提出先でほかに必要な書類を確認しておきましょう(相続放棄の手続き)。

Q. 年金の手続きにも使えますか?

使えます。2020年10月から、遺族年金や未支給年金などの請求で、亡くなった方との身分関係を証明する書類として利用できます(死亡後の年金手続き)。

Q. 家族以外の人に申出を頼めますか?

代理を頼めるのは、親族と、弁護士・司法書士・税理士・行政書士などの法律で決められた資格者に限られます。友人や知人に頼むことはできません。

まとめ

法定相続情報一覧図は、亡くなった方と相続人の関係を1枚にまとめ、登記官の確認を受けた無料の証明書です。相続登記・預貯金・相続税・年金の手続きで戸籍の束の代わりに使え、窓口ごとの戸籍の出し直しが不要になります。申出先は4つから選べ、郵送でも手続きできます。相続税の申告に使うなら続柄は戸籍どおりに書くこと、再交付は最初の申出人だけが5年間受けられることを覚えておきましょう。

手続きの土台を、家族で整える。

書類の準備状況や手続きの担当を家族と共有できるアプリ「ゆいのわ」は、ただいま準備中です。

ゆいのわについて見る

※本記事は2026年10月時点の法務局の公表情報にもとづく一般的な解説です。一覧図の写しを使えるかどうかや、ほかに必要な書類は提出先によって異なります。詳しくは申出先の登記所や各手続きの窓口にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
法務局「『法定相続情報証明制度』について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html
法務局「法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000018.html
法務局「法定相続情報証明制度 よくあるご質問」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001323663.pdf
法務局「必ず用意する書類/必要となる場合がある書類」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001331404.pdf
日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html

この続きは、ゆいのわで。

手続きの期限や必要書類を、家族で一緒に進められます。

アプリを使ってみる

相続の「これからやること」を、家族みんなで。

ゆいのわは、生前のそなえから相続の手続きまで、家族で一緒に進められるアプリです。

アプリについて見る

ただいま準備中です