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年金を受け取っていた親が亡くなったとき、「年金はどうやって止めるの?」「亡くなった後に振り込まれた年金はどうすればいい?」と戸惑う方は少なくありません。結論から言うと、年金を止める届出(年金受給権者死亡届)は厚生年金が10日以内、国民年金が14日以内と定められていますが、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、原則としてこの届出を省略できます。そのうえで忘れずに行いたいのが、亡くなった月の分までのまだ受け取っていない年金(未支給年金)の請求と、遺族年金を受け取れるかの確認です。この記事では、死亡後の年金手続きを、期限・必要書類・窓口の順に日本年金機構の案内をもとに整理します。
死亡後の年金手続き一覧(期限と時効)
| 手続き | 期限・時効 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 年金受給権者死亡届 | 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内(マイナンバー収録者は原則省略可) | 年金を受け取っていた方が亡くなったとき |
| 未支給年金の請求 | 5年(受給権者の年金の支払日の翌月の初日から) | 生計を同じくしていた遺族 |
| 遺族年金の請求 | 5年(支給事由が生じた日の翌日から) | 生計を維持されていた一定の遺族 |
| 死亡一時金の請求(国民年金) | 2年(死亡日の翌日から) | 生計を同じくしていた遺族 |
市区町村での死亡届や、健康保険・介護保険の資格喪失など、ほかの届出も同じ時期に重なります。全体の流れは死亡後の手続き一覧で確認できます。
年金を止める:年金受給権者死亡届
届出の期限とマイナンバーによる省略
年金を受け取っていた方が亡くなったときは、年金受給権者死亡届(報告書)を提出します。期限は、厚生年金保険法施行規則で10日以内、国民年金法施行規則で14日以内です。
ただし、日本年金機構にマイナンバー(個人番号)が収録されている方は、原則として死亡届を省略できます。市区町村に出した死亡届の情報が、日本年金機構に連携される仕組みがあるためです。マイナンバーが収録されているか分からない場合は、ねんきんダイヤルや年金事務所に問い合わせてください。相続の手続きでマイナンバーが関わる場面は相続とマイナンバーにまとめています。
亡くなった後に振り込まれた年金は「未支給年金」の一部
年金は、偶数月の15日に、前月までの2か月分がまとめて支払われる後払いの仕組みです。たとえば4月に支払われるのは2月・3月分です。年金は亡くなった月の分まで支給されるため、亡くなった後の支払日に振り込まれた年金のうち、亡くなった月の分までは受け取ってよい年金にあたります。ただし本来は遺族が請求して受け取るもので、亡くなった方の口座に入ったお金は相続財産と混ざりやすくなります。次の未支給年金の手続きを済ませておきましょう。
未支給年金を請求する
未支給年金とは
未支給年金とは、亡くなった方が受け取るはずだった年金のうち、まだ支払われていない分(亡くなった月の分まで)のことです。亡くなった当時、生計を同じくしていた遺族が、自分の名前で請求できます。請求には「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を使うため、死亡届と未支給年金の請求は1枚の用紙で済みます。
受け取れる遺族の順位
受け取れる順位は、①配偶者 ②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹 ⑦それ以外の3親等内の親族です。先の順位の人がいれば、後の順位の人は受け取れません。同じ順位の人が2人以上いるときは、1人が代表して請求します。
必要な書類
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| 請求書(死亡届兼未支給年金請求書) | 年金事務所の窓口や日本年金機構のホームページで入手 |
| 亡くなった方の年金証書 | 見当たらない場合は年金事務所に相談 |
| 請求する方のマイナンバー確認書類 | マイナンバーカード、または番号確認書類と身元確認書類 |
| 続柄が分かる書類 | 戸籍謄本、または法定相続情報一覧図の写し(配偶者などはマイナンバーの記入で省略できる場合あり) |
| 生計を同じくしていたことが分かる書類 | 住民票の除票、請求する方の世帯全員の住民票の写しなど。別住所の場合は申立書も必要 |
| 受取口座が分かるもの | 通帳の写しなど(公金受取口座を使う場合は不要) |
戸籍謄本や住民票は、亡くなった日より後に交付されたものが必要です。法定相続情報一覧図の写しは、2020年10月から年金の手続きでも使えるようになっています(法定相続情報一覧図とは)。
提出方法
請求書は年金事務所へ郵送で提出します。対面で相談したい場合は、予約のうえで年金事務所か街角の年金相談センターへ出向きます。e-Govからの電子申請もできます。地方公務員共済組合の加入期間だけの方などは、提出先が共済組合になる場合があります。
未支給年金は受け取った人の一時所得
未支給年金は、受け取った遺族の一時所得にあたり、確定申告が必要になる場合があります。その年の一時所得の合計が50万円以下であれば、確定申告は不要です。亡くなった方の所得として申告する準確定申告とは別のものなので混同しないようにしましょう(準確定申告とは)。
遺族年金・死亡一時金を受け取れるか確認する
遺族年金
亡くなった方に生計を維持されていた遺族は、遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取れる場合があります。対象は、子のある配偶者や子、子のない配偶者、父母などで、年金の種類によって範囲が違います。原則として年収850万円未満であることなどの要件もあります。遺族年金は自分で請求しないと受け取れないため、未支給年金の手続きと一緒に年金事務所で確認しましょう。しくみと2028年4月からの見直しは遺族年金とはで解説しています。
国民年金だけの方が亡くなったとき
自営業などで国民年金の第1号被保険者だった方が、年金を受け取る前に亡くなった場合は、国民年金独自の給付があります。
- 死亡一時金:保険料を36月以上納めた方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けずに亡くなったとき、生計を同じくしていた遺族に支給されます。金額は納付月数に応じて12万円〜32万円です。遺族基礎年金を受け取れる人がいる場合は原則対象外で、死亡日の翌日から2年で請求できなくなります
- 寡婦年金:第1号被保険者として保険料を納めた期間などが10年以上ある夫が亡くなり、婚姻関係が10年以上続いていた妻が、60歳から65歳まで受け取れます。死亡一時金とどちらか一方を選びます
手続きでつまずきやすい点
- 年金証書が見つからない:請求書の添付書類に挙げられていますが、見当たらない場合の扱いは年金事務所に相談します
- 別居していた親の未支給年金:仕送りなどで生計を同じくしていた場合は、申立書を添えて請求できます
- 日本年金機構以外からも年金を受け取っていた:一部の共済年金や企業年金など、支給元が別の年金は、それぞれの支給元に手続きを確認します
- 手続きの時期が重なる:健康保険・介護保険の資格喪失も14日以内です(介護保険・健康保険の資格喪失手続き)
よくある質問
Q. 市役所に死亡届を出せば、年金は自動的に止まりますか?
日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、原則として年金受給権者死亡届を省略できます。ただし、未支給年金は請求しないと支払われません。マイナンバーが収録されていない方は、死亡届の提出が必要です。
Q. 亡くなった翌月に振り込まれた年金は返す必要がありますか?
亡くなった月の分までは、未支給年金として生計を同じくしていた遺族が受け取れます。亡くなった月より後の分まで振り込まれていた場合は、返還を求められることがあります。どの月の分か分からないときは、年金事務所で確認してください。
Q. 未支給年金の請求はいつまでにすればよいですか?
時効は5年ですが、早めの請求がおすすめです。葬儀や他の手続きに追われて後回しになりやすいので、死亡届とあわせて手続きしておくと忘れません。
Q. 未支給年金は相続税の対象ですか?
未支給年金は遺族が自分の権利として受け取るもので、日本年金機構の案内では受け取った方の一時所得にあたるとされています。所得税の扱いは税務署に確認してください。
まとめ
死亡後の年金手続きは、まず年金受給権者死亡届(厚生年金10日・国民年金14日)で受給を止めます。マイナンバーが収録されていれば原則省略できますが、未支給年金は請求しないと受け取れません。生計を同じくしていた遺族が、死亡届と一体の請求書で手続きします。あわせて、遺族年金や死亡一時金を受け取れるかも年金事務所で確認しましょう。迷ったら、ねんきんダイヤルや年金事務所に相談するのが近道です。
※本記事は2026年10月時点の法令と日本年金機構の公表情報にもとづく一般的な解説です。受け取れる年金や必要書類は、加入していた制度や家族の状況によって異なります。詳しくは年金事務所・ねんきんダイヤルに、税金については税務署にご確認ください。
日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
日本年金機構「年金の時効」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/kyotsu/shikyu/20140421-01.html
日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」https://www.nenkin.go.jp/section/faq/jukyu/uketori/uketori/shiharaiduki/20140421-01.html
日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-3.pdf
法務局「法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000018.html
e-Gov法令検索「厚生年金保険法施行規則」(死亡の届出)https://laws.e-gov.go.jp/law/329M50000100037
e-Gov法令検索「国民年金法施行規則」(24条 死亡の届出)https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000100012
e-Gov法令検索「国民年金法」(19条 未支給年金・102条 時効)https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141






