相続税・お金

死亡退職金と相続税|500万円×人数の非課税枠と弔慰金・3年ルール

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在職中の家族が亡くなると、勤務先から死亡退職金や弔慰金が支払われることがあります。結論から言うと、死亡後3年以内に支給額が確定した死亡退職金は、相続税の計算ではみなし相続財産として課税対象になります。ただし相続人が受け取る分には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、これは生命保険金の非課税枠とは別枠です。弔慰金は、業務上の死亡なら普通給与の3年分、それ以外なら半年分までは原則として相続税の対象外です。この記事では、国税庁のタックスアンサーと通達をもとに、死亡退職金の税金の扱いを整理します。

死亡退職金と相続税:4つのポイント

疑問 答え(一般的な扱い)
相続税の対象になる? 死亡後3年以内に支給額が確定したものは、みなし相続財産として対象
非課税枠は? 相続人が受け取った合計に500万円×法定相続人の数。生命保険とは別枠
3年を過ぎて確定したら? 相続税ではなく、受け取った遺族の一時所得(所得税)
弔慰金は? 業務上の死亡は普通給与の3年分、業務外は半年分まで原則非課税。超える部分は退職手当金等

以下、順に見ていきます。生命保険金の非課税枠そのものの数え方は生命保険の非課税枠で詳しく解説しているので、この記事では退職金と弔慰金に特有の点を中心にします。

死亡退職金が「みなし相続財産」になる理由と範囲

死亡退職金は、勤務先の規程にもとづいて遺族に支払われるもので、亡くなった方が生前に持っていた財産ではありません。しかし、本来は本人が受け取るはずだった退職金に近い性質があるため、相続税法では相続や遺贈で取得したものとみなして課税します(相続税法第3条)。

国税庁によると、対象になる「退職手当金等」は、退職手当金・功労金などの名目を問わず、実質的に退職手当金として支給される金品で、現物で支給されたものも含みます。会社が従業員のために掛けていた退職金目的の保険や共済から遺族に支払われるお金も、退職手当金等に当たる場合があります。

「死亡後3年以内に支給が確定」の意味

  • 判定するのは支給額が確定した日で、実際に振り込まれた日が3年以内かどうかは問いません
  • 支給されることは決まっていても、金額が決まっていないものは「確定」に当たりません
  • 生前に退職していて、退職金の額が亡くなるまでに決まらず、死亡後3年以内に決まったものも対象です

退職金と区別されるもの

受け取るもの 税金の扱い
死亡後3年以内に額が確定した死亡退職金 みなし相続財産(非課税枠あり)
死亡後3年を過ぎて額が確定した退職金 受け取った遺族の一時所得
亡くなった時点で支給日が来ていない給料 本来の相続財産(非課税枠なし)
亡くなった後に額が決まった賞与 本来の相続財産(非課税枠なし)
退職年金を遺族が引き継いで受け取る権利 年金の受給権として、みなし相続財産

最後の月の給料や賞与は、退職金とは別に「本来の相続財産」として申告に含めます(相続財産の種類)。

非課税枠「500万円×法定相続人の数」の使い方

相続人全員が受け取った退職手当金等の合計が、500万円×法定相続人の数以下なら相続税はかかりません。超える場合は、その超えた部分が課税対象になります。

  • 法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、放棄がなかったものとして数えます
  • 養子は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで数えます
  • 相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った退職金には、非課税枠は使えません
  • 生命保険金の非課税枠とは別枠です。ただし片方の枠が余っても、もう片方に回すことはできません

計算例(国税庁の例にもとづく目安)

法定相続人が3人(うち1人は相続放棄)、死亡退職金を相続人が受け取ったケースでは、非課税限度額は500万円×3人=1,500万円です。放棄した人も人数には数えますが、その人が受け取った分には非課税枠が使えません。非課税枠は、放棄していない相続人の間で、それぞれが受け取った退職金の割合に応じて分けます。

たとえば(金額は説明のための仮定です)、放棄していない相続人2人がそれぞれ2,000万円と1,000万円を受け取った場合、非課税額は1,500万円×2,000/3,000=1,000万円と、1,500万円×1,000/3,000=500万円。課税価格に入るのは、1,000万円と500万円です(目安)。計算には相続税申告書の第10表「退職手当金などの明細書」を使います。

非課税枠内でも申告が要ることがある退職金が非課税枠に収まっても、他の財産と合わせた遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるなら、相続税の申告が必要です(相続税の基礎控除)。

弔慰金・花輪代・葬祭料の扱い

亡くなったことで受け取る弔慰金・花輪代・葬祭料などは、通常、相続税の対象になりません。ただし勤務先などから受け取るものは、次のように線が引かれています。

死亡の原因 弔慰金等として扱う金額(目安)
業務上の死亡 死亡当時の普通給与の3年分
業務上の死亡でない 死亡当時の普通給与の半年分
  • この金額を超える部分は、退職手当金等として相続税の対象になります(非課税枠の計算に含める)
  • 弔慰金の名目でも、実質的に退職金と認められる部分は退職手当金等として扱われます。退職給与規程などにもとづく支給なら、その規程で判断します
  • 普通給与とは、俸給・給料・賃金・扶養手当・勤務地手当・特殊勤務地手当などの合計額です

受取人の決まり方と手続きの流れ

相続税の計算上、死亡退職金を受け取った人は次のように決まります(相続税法基本通達3-25)。

  1. 退職給与規程などで受け取る人が具体的に決まっていれば、その人
  2. 決まっていない場合は、申告や更正・決定のときまでに実際に受け取った人、または相続人全員の協議で定めた人
  3. それ以外は、相続人全員が均等に受け取ったものとして扱う

手続きはおおむね次の流れです。勤務先の人事・総務に連絡し、退職金・弔慰金の有無、受取人、支給額が確定する時期、必要書類(戸籍謄本など)を確認します。支給額の通知や明細は、相続税の申告で必要になるので保管しておきましょう。退職金の支給元が勤務先以外の団体や保険会社になっていることもあるため、どこに請求するかも勤務先に確認すると確実です。

相続放棄を考えているとき死亡退職金を受け取っても相続放棄ができるかどうかは、勤務先の規程の内容などによって扱いが異なる場合があります。借金が多く放棄を検討している場合は、受け取る前に専門家に確認してください(相続放棄の手続き)。

よくある質問

生命保険金と死亡退職金の両方があります。非課税枠は合わせて使えますか?

それぞれ別に「500万円×法定相続人の数」の枠があります。法定相続人が3人なら、保険金に1,500万円、退職金に1,500万円です。ただし、保険金の枠が余っても退職金に回すことはできません。

退職金の支給額が決まるのが遅れ、3年を過ぎそうです。

死亡後3年を過ぎて額が確定した退職金は、相続税ではなく、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になります。確定の時期と金額は勤務先に確認し、どちらの税金の対象になるかは税務署・税理士に相談してください。

弔慰金は申告書に書く必要がありますか?

普通給与の3年分(業務外は半年分)以内の弔慰金は原則として相続税の対象外です。ただし、超える部分や実質的に退職金と認められる部分は、退職手当金等として申告に含めます。区分が分かりにくいときは、支給の根拠(規程)を勤務先に確認しましょう。

相続放棄をした子が受け取った死亡退職金は、どう課税されますか?

相続を放棄した人が受け取った退職手当金等には、非課税枠は使えません。その全額が、その人の相続税の課税価格に入ります。また、放棄した人も法定相続人の数には含めて非課税限度額を計算します。

まとめ:退職金・弔慰金・最後の給料を分けて把握する

死亡後3年以内に支給額が確定した死亡退職金は、みなし相続財産として相続税の対象ですが、相続人が受け取る分には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、生命保険金とは別枠で使えます。弔慰金は、業務上の死亡なら普通給与の3年分、それ以外は半年分までが原則非課税です。一方、未払いの給料や死亡後に決まった賞与は本来の相続財産です。勤務先からの支給は名目がいくつにも分かれるため、通知書や明細をそろえ、それぞれの扱いを確かめながら申告の準備を進めましょう。

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※本記事は2026年10月時点の法令と国税庁の公表情報をもとにした一般的な解説です。計算例は目安で、退職金・弔慰金の区分や税額は規程の内容や個別の事情で異なります。具体的な判断は税務署・税理士にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
国税庁「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4117.htm
国税庁「No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4120.htm
国税庁「相続税法基本通達 第3条関係(3-18〜3-33)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/03.htm
国税庁「所得税基本通達 第34条関係(34-2 遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/08.htm
国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4105.htm
e-Gov法令検索「相続税法」第3条・第12条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073

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