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「母のスマホ決済に残高が残っているみたい。家族が受け取れるの?」——電子マネーやポイントは一つひとつの金額が小さく、相続の手続きでは後回しにされがちです。結論から言うと、残高やポイントを引き継げるかどうかは、法律で一律に決まっているのではなく、各サービスの利用規約しだいです。現金で払い込んだチャージ残高は、規約にもとづいて相続人へ払い戻されることがある一方、おまけとして付与されたポイントは、譲渡できず相続の対象外とされている例があります。この記事では、規約の読み方と公式に確認できた例、家族が困らないための備えを整理します。
電子マネー・ポイントの種類と相続での扱いの傾向
| 種類 | 例 | 相続での扱いの傾向 |
|---|---|---|
| チャージ式の電子マネー・決済残高 | 交通系ICカード、スマホ決済のチャージ残高、プリペイドカード | 規約に相続時の払い戻しの定めがあれば、手続きで受け取れる |
| ポイント | 買い物ポイント、決済のポイント還元 | 譲渡禁止とする規約があり、相続の対象外とする例も。扱いはサービスごと |
| マイル | 航空会社のマイレージ | 期限つきで相続を認める会社がある(マイル・ポイントの相続) |
同じ会社のサービスでも、「残高」と「ポイント」で扱いが分かれることがよくあります。まず、故人が使っていたものが「お金として払い込んだ残高」なのか、「付与されたポイント」なのかを分けて考えると整理しやすくなります。
相続できるかは「利用規約」で決まる
規約で確認したい3つの項目
- 相続・会員の死亡に関する条項があるか(「会員の死亡」「相続」「承継」などの見出し)
- 譲渡の禁止の条項で、ポイントや残高を他人に移せないとしていないか
- 払い戻し(返金)の条件。どんな場合に、誰に、どんな方法で払い戻すか
規約は各サービスの公式サイトやアプリ内で公開されています。改定されることも多いので、手続きの時点で最新のものを確認してください。
公式の規約で確認できた例
ここでは、2026年10月に各社の公式サイトで確認できた規定を例として紹介します。特定のサービスを勧めるものではなく、他のサービスでは扱いが異なります。
| サービス | 規約・公式案内の内容(要旨) |
|---|---|
| PayPay(PayPay残高利用規約) | アカウントの地位は相続させられないとしつつ、利用者に相続が発生し、PayPayマネー、PayPayマネーライトなどの残高が残っていた場合は、正当に相続・承継すると同社が確認した人に、振込手数料を差し引いた額を振り込むと定めている。この振込の対象にPayPayポイントは挙げられていない |
| ANAマイレージクラブ(会員規約) | 会員が亡くなった場合、法定相続人は、相続権を証明する書類を死亡日から180日以内に提示すれば、手続き完了時点で有効なマイルを承継できる。期間内に申し出がなければマイルは取り消される |
このように、残高を払い戻す対象や手続きの期限は、サービスごとに細かく決められています。QRコード決済の残高を探す手順は故人のQRコード決済の残高で詳しく解説しています。
残高を受け取るまでの流れ
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ①使っていたサービスを洗い出す | スマホのアプリ、財布のカード、クレジットカード明細のチャージ履歴、メールの利用通知 |
| ②各社の窓口に連絡 | アプリ内の問い合わせ窓口やサポート窓口に、利用者が亡くなったことを伝える |
| ③必要書類を出す | 死亡の事実と相続関係が分かる書類(戸籍謄本など)、受け取る人の本人確認書類などが一般的 |
| ④払い戻しを受ける | 相続人の銀行口座へ振り込まれるなど、規約の方法で受け取る |
相続財産としての扱いと注意点
払い戻せる残高は「財産」として考える
現金で払い込み、規約上払い戻しを受けられる残高は、預金と同じように財産的な価値があります。遺産分割では、誰が受け取るかを相続人で決めておくと、後で「誰が受け取ったのか分からない」という事態を防げます。相続税の申告が必要な場合は、ほかの財産とあわせて計上の要否を税理士に確認しましょう。
相続放棄を考えているなら受け取る前に確認
借金が多いなどの理由で相続放棄を考えている場合、故人の財産を受け取ったり使ったりすると、相続を承認したとみなされるおそれがあります。少額の残高でも、払い戻しの手続きをする前に、相続放棄の手続きの考え方を確認し、迷ったら専門家に相談してください。
家族がログインして使うのは避ける
故人のスマホやアカウントを使って残高で買い物をしたり、ポイントを交換したりするのはやめましょう。多くの規約は本人以外の利用を禁じており、相続人どうしのトラブルにもつながります。各社の正式な手続きを使うのが安全です。
失効を防ぐ生前の備え
- チャージ残高を必要以上にためない(自動チャージの設定も見直す)
- マイルなど期限つきで相続できるものは、期限があることを家族に伝えておく
- 定期的な課金や会員サービスは、サブスクの解約リストと一緒に整理する
よくある質問
交通系ICカードの残高は相続できますか?
記名式かどうか、どの会社のカードかによって扱いが異なります。発行している交通事業者の規則や窓口で、利用者が亡くなった場合の払い戻しの方法を確認してください。
ポイントは少額でも申告が必要ですか?
ポイントの多くは規約上、譲渡も払い戻しもできず失効します。相続税の申告で扱いに迷うものがあれば、税理士や税務署に確認してください。
どの電子マネーを使っていたか分かりません。
クレジットカードや銀行口座からのチャージ履歴が手がかりになります。カード明細に見慣れない請求名がある場合の調べ方は、カード明細の不明な請求の調べ方も参考にしてください。
まとめ:電子マネーは「規約の確認」と「サービスの一覧化」
電子マネーの残高やポイントを相続できるかは、各サービスの利用規約で決まります。払い込んだ残高は相続人へ払い戻す定めを置くサービスがある一方、ポイントは譲渡できず相続の対象外とする例があります。手続きの期限を設けているサービスもあるので、使っていたサービスを洗い出し、早めに窓口へ連絡しましょう。いちばんの備えは、使っているサービスの名前を元気なうちに一覧にし、家族と共有しておくことです。
※本記事は2026年10月時点で各社の公式サイトに掲載されていた規約・案内をもとにした一般的な解説です。規約は改定されることがあり、相続の可否や必要書類はサービスや個別の事情で異なります。手続きは各サービスの窓口に、税金は税務署・税理士にご確認ください。特定のサービスを勧めるものではありません。
PayPay「PayPay残高利用規約」(2026年10月1日最終改定)https://about.paypay.ne.jp/terms/consumer/rule/balance/
PayPay「利用規約・ガイドライン」https://about.paypay.ne.jp/terms/
ANA「ANAマイレージクラブ会員規約」https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/kiyaku/
ANA「マイルの相続」https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/reference/merit/procedure/inheritance/






