本ページはプロモーションを含みます
「入院したまま亡くなった父の医療保険。給付金はもう請求できない?」——そう思って手続きをしないままの方は少なくありません。結論から言うと、医療保険・がん保険の入院給付金や手術給付金は、本人が請求しないまま亡くなっても、相続人が請求できます。ただし、死亡保険金とは「誰のお金か」「誰が請求するか」「税金の扱い」が違います。この記事では、死亡後の請求の流れと必要書類、相続税や相続放棄との関係まで、公的な情報をもとに整理します。
医療保険・がん保険は死亡後でも請求できる
生命保険文化センターは、被保険者が入院中に亡くなった場合などについて、死亡日までの入院給付金等を請求しないまま亡くなっても「その入院給付金等を請求することができます」と説明しています。対象になりうる主な給付金は次のとおりです。支払われるかどうかは契約内容(約款)によります。
| 給付金 | 内容 |
|---|---|
| 入院給付金 | 亡くなるまでの入院日数に応じた給付 |
| 手術給付金・放射線治療給付金 | 生前に受けた手術・治療に対する給付 |
| 通院給付金 | 契約で定められた通院に対する給付 |
| がん診断給付金 | がんと診断されたときの一時金(生前に支払事由を満たしていた場合) |
| 先進医療給付金 | 先進医療を受けたときの給付 |
誰が請求する?死亡保険金との違い
入院給付金などは、ふつう被保険者本人が受取人です。本人が受け取るはずだったお金なので、亡くなった後は相続人が引き継いで請求します。あらかじめ指定された受取人が請求する死亡保険金とは、ここが大きく違います。
| 死亡保険金 | 亡くなる前の入院給付金など | |
|---|---|---|
| 誰の財産か | 指定された受取人の固有の財産 | 本人の相続財産 |
| 請求する人 | 死亡保険金の受取人 | 本人の法定相続人(代表者) |
| 遺産分割 | 対象外が原則 | 対象になる |
| 相続税の非課税枠 | 500万円×法定相続人の数 | 使えない |
請求の代表者は約款で順番が決まっている
生命保険文化センターの資料によると、未請求の入院給付金などは、約款で法定相続人のうち①死亡保険金受取人、②指定代理請求人、③配偶者、④法定相続人が協議で定めた人、の順に代表者とする旨が定められているのが一般的です。ただし、ほかの法定相続人全員の同意が必要になります。なお、指定代理請求人は本人が生きている間に代わって請求するための制度なので、本人の死亡後に指定代理請求人の立場で請求することはできません。
受取人が本人でない契約もある
以前のがん保険などには、被保険者以外を給付金の受取人にしている契約があります。また、夫婦型・家族型の医療特約では、配偶者が入院したときの給付金の受取人は、主たる被保険者とされるのが一般的です。受取人が亡くなった方以外に定められている給付金は、その受取人自身が請求するもので、亡くなった方の相続財産には含まれないのが一般的です。まず証券で「給付金受取人」を確かめましょう。
死亡後に請求するときの流れと必要書類
- 保険会社に連絡する:証券番号、亡くなった日、入院・手術の時期と病院名を伝える。「死亡保険金のほかに、生前の入院・手術分も請求したい」とはっきり伝える
- 請求書類を受け取る:保険会社所定の請求書と診断書の用紙が届く
- 病院に診断書を依頼する:入院・手術等の診断書(証明書)は、原則として保険会社所定の様式を使う
- 相続人の書類をそろえて提出する
- 審査のうえ、代表者の口座に支払われる
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 給付金請求書 | 保険会社所定のもの |
| 入院・手術等の診断書(証明書) | 病院に作成を依頼する |
| 相続人代表者選任届 | 法定相続人全員が自署・押印する |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村で取得 |
| 戸籍謄本 | 本人と相続人全員の続柄が分かるもの。相続人を確定するため、出生からの戸籍を求められる |
これは生命保険文化センターの資料にある一般的な例です。必要書類を簡略にできる基準を設けている保険会社もあるので、案内に従ってください。戸籍は相続手続き全体で何度も使うので、早めにそろえておくと二度手間になりません(相続の戸籍の集め方)。
受け取った給付金の税金と、相続での扱い
所得税はかからないが、相続税の対象になる
入院給付金・手術給付金・がん診断給付金など、病気やケガで受け取る給付金は、所得税では非課税です。一方、国税庁の通達は、こうした給付金が被保険者の死亡後に支払われた場合、本人の「本来の相続財産」になるとしています。預貯金などと同じように、相続税の課税対象の財産に含めて考えます。
遺産分割の対象になり、相続放棄にも関わる
相続財産なので、受け取った給付金は相続人全員で分け方を決める対象です。代表者の口座に入ったからといって、代表者だけのものになるわけではありません。
注意したいのは相続放棄を考えている場合です。民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、相続を承認したものとみなすと定めています(法定単純承認)。受取人が本人だった給付金を請求して受け取ることが、これに当たると判断されるおそれがあります。借金が多く放棄を検討しているなら、給付金を請求する前に、弁護士や司法書士に相談しましょう(相続放棄と生命保険金)。
医療費控除を使うときは給付金を差し引く
医療費控除は、支払った医療費から「保険金などで補てんされる金額」を引いて計算します。入院給付金はこれに当たるため、その給付の対象になった医療費から差し引きます。また国税庁は、本人の死亡後に支払った医療費は本人の準確定申告では控除できず、本人と生計を一にしていた親族が支払ったのであれば、その親族の医療費控除の対象になるとしています(準確定申告とは)。
請求期限は3年。保険が分からないときの調べ方
保険法は、保険給付を請求する権利は、行使できる時から3年間行使しないと時効で消滅すると定めており、約款にも同じ趣旨の規定があります。古い入院ほど診断書の準備にも時間がかかるので、気づいた時点で保険会社に連絡しましょう(生命保険金の請求期限)。
そもそも、どの保険会社と契約していたか分からないこともあります。次の順で探すと効率的です。
- 保険証券、保険会社から定期的に届く通知物
- 通帳やクレジットカード明細の保険料の引き落とし
- 年末調整・確定申告の生命保険料控除の控え
- それでも分からなければ、生命保険協会の生命保険契約照会制度
よくある質問
相続人の1人だけで請求できますか?
代表者1人が窓口になって請求しますが、ほかの法定相続人全員の同意(代表者選任届への署名・押印など)が必要になるのが一般的です。受け取った給付金は、相続人全員の遺産分割の対象になります。
受け取った給付金は確定申告が必要ですか?
入院給付金などは所得税が非課税なので、受け取ったこと自体について所得税の申告は不要です。ただし相続財産に含まれるため、相続税の申告が必要な方は、財産の一覧に入れ忘れないようにします。
亡くなってから3年以上たっています。もう請求できませんか?
原則は3年で時効ですが、生命保険文化センターは「特別の事情がある場合には請求できる場合があります」としています。あきらめる前に、保険会社へ事情を伝えて確認しましょう。
がん保険の診断給付金は、亡くなった後でも請求できますか?
生前にがんと診断確定されているなど、約款の支払事由を満たしていれば、未請求分を相続人が請求できる可能性があります。条件は商品によって違うため、保険会社に診断の時期を伝えて確認してください。
まとめ:死亡保険金と一緒に「生前の入院・手術分」も確認を
医療保険・がん保険の給付金は、本人が亡くなった後でも相続人が請求できます。死亡保険金と違って本人の相続財産になるため、請求は法定相続人の代表者が行い、相続税の非課税枠は使えず、遺産分割の対象になります。相続放棄を考えているなら請求の前に専門家へ。時効は3年です。そして何より、どの保険に入っているかが分からなければ請求は始まりません。加入している保険の一覧を、家族が分かる形で残しておくことが出発点です。
※本記事は2026年10月時点の法令・公的情報をもとにした一般的な解説です。給付の可否・必要書類は契約(約款)や保険会社により異なり、税金や相続放棄の判断は個別の事情で変わります。詳しくは保険会社、税務署・税理士、弁護士・司法書士にご確認ください。
生命保険文化センター「入院給付金などには税金がかからない?」https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/573.html
生命保険文化センター「保険金・給付金の請求から受取りまでの手引(ポイント3)」https://www.jili.or.jp/seikyutebiki/3situation.html
生命保険文化センター「第8章 保険金・給付金の受取り」(PDF)https://www.jili.or.jp/consumer_adviser/pdf/chapter8.pdf
国税庁「相続税法基本通達 第3条関係(3-7)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/02.htm
国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
国税庁 質疑応答事例「死亡した父親の医療費」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/57.htm
e-Gov法令検索「保険法」第95条 https://laws.e-gov.go.jp/law/420AC0000000056
e-Gov法令検索「民法」第921条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/






