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故人のQRコード決済(PayPay等)の残高はどうなる?相続の手続き

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「父のスマホにPayPayが入っていた。残高はどうなるの?」——QRコード決済のアプリには、銀行口座やカードからチャージしたお金が残っていることがあります。結論から言うと、チャージした残高は、相続人に返金する定めを規約に置いている事業者が多く、PayPay・楽天キャッシュ・au PAYは、相続が確認できた人に残高を振り込むとしています。一方、キャンペーンなどで付いたポイントや、一部の残高は返金の対象外です。この記事では、資金決済法の考え方と各社の規約をもとに、残高の扱いと手続きの進め方を整理します。

QRコード決済の残高は相続でどうなるか

疑問 一般的な扱い
アカウントを家族が引き継げる? 引き継げない。PayPayや楽天キャッシュの規約は、利用者の地位を相続させることはできないとしている
残高は戻ってくる? 相続人に返金する定めがある事業者が多い(振込手数料を差し引くことがある)
ポイントは? 返金の対象外とされていることが多い
手続き先は? 各事業者のカスタマーサポート。戸籍謄本などの書類を求められる

「アカウントは引き継げないが、残高は相続人にお金で戻す」という形が基本です。以下、その背景にある法律の仕組みから見ていきます。

資金決済法では残高の種類が2つある

QRコード決済の残高は、資金決済法の上で大きく2種類に分かれます。同じアプリの中に両方が入っていることもあります。

種類 どんなものか 払い戻し(現金化)
前払式支払手段 商品券やプリペイドカードと同じく、先に払って買い物に使う残高 法律で原則として禁止。例外は内閣府令で定める場合に限られる
資金移動業の残高 銀行口座への出金や送金ができる残高 所定の手続きで払い出しができる

資金決済法20条5項は、前払式支払手段の発行者が保有者に払い戻しをすることを、業務の廃止など一定の場合を除いて禁じています。ただし、払い戻す金額が少額の場合や、保有者のやむを得ない事情で利用が著しく困難になった場合など、内閣府令で定める場合は例外とされています。相続のときに前払式の残高を返金するかどうかは、こうした例外の範囲の中で、各事業者が規約で定めていると考えると分かりやすいでしょう。

各社の規約で確認できた扱い

2026年10月時点で、各社の公式サイトに掲載されている規約・案内の内容です。

サービス 相続のときの扱い(規約・公式案内)
PayPay PayPayマネー、PayPayマネー(給与)、PayPayマネーライトなどの残高は、法令の例外事由等を考慮のうえ、正当に相続・承継すると確認した人に振込手数料を控除して振り込む。PayPayポイントはこの対象に挙がっていない
楽天キャッシュ(楽天ペイ) 基本型・プレミアム型とも、正当に相続・承継すると確認した人に振込手数料を控除して返金。手数料が残高を上回る場合は返金しない
au PAY 相続が発生した時点でau PAY残高がある場合、正当に相続・承継すると確認した人に返金
d払い 残高が「現金バリュー」なら郵送の手続きで返金できる。「プリペイドバリュー」は返金の対象外。携帯を承継してもd払い残高は引き継げない

PayPayの残高のうち、PayPayマネーは本人確認後に銀行口座などからチャージした残高で出金でき、PayPayマネーライトはPayPayカードなどでチャージした残高で出金できない、と同社は説明しています。生前は出金できなかったマネーライトも、相続の場面では規約上の返金の対象に含まれている点が特徴です。

ポイントは戻らないと考えておくPayPayポイントやキャンペーンで付いた特典は、返金の対象に含まれていないのが一般的です。少額の残高は、振込手数料を差し引くと返金がないこともあります。「残高がいくらあるか」と「何が返金の対象か」を、事業者に確認しましょう。電子マネーやポイント全般の考え方は電子マネー・ポイントの相続で解説しています。

残高の相続手続きの流れ

1. 使っていた決済サービスを探す

スマホを開かなくても、次のような手がかりから見当をつけられます。

  • 通帳の履歴:決済サービスへのチャージの引き落とし
  • クレジットカードの明細:決済サービス名でのチャージや支払い
  • 携帯料金の明細:携帯料金と合算のチャージや支払い
  • 家族や知人の話:「PayPayで送金してもらった」「お店でスマホ払いをしていた」など

ゆいのわでは、亡くなった方のスマホのロックを解いたりアカウントにログインしたりして残高を確かめる方法はおすすめしていません。事業者が分かれば、残高の確認も含めて窓口で手続きを進められます。

2. 事業者のカスタマーサポートに連絡する

契約者が亡くなったことを伝え、残高の返金の手続きを案内してもらいます。登録されていた電話番号やメールアドレスはアカウントを特定する手がかりになるため、携帯電話を解約する前に控えておきましょう(亡くなった方の携帯・スマホの解約)。

3. 必要書類を送る

求められる書類は事業者から案内されます。国民生活センターの事例でも戸籍謄本や住民票の送付が求められており、亡くなった事実と相続関係が分かる書類、手続きする人の本人確認書類を中心に準備することになります。戸籍は相続手続き全体で何度も使うため、まとめて準備しておくと効率的です。

手続きには時間がかかることも国民生活センターは、コード決済サービスの相続手続きで、指示どおり戸籍謄本や住民票を送ったのに、1か月たっても残高の回答すらない——という相談事例を公表しています。実店舗がない事業者は郵送でのやり取りになり、完了まで時間がかかることがあるとしています。連絡した日と担当窓口、送った書類は記録しておきましょう。

手続きの前に知っておきたい注意点

残高も相続財産の一部

民法896条により、相続人は亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぎます。決済サービスの残高も、預貯金などと同じく相続財産の一部として考えるのが一般的です。相続人が複数いる場合は、誰が受け取るかを話し合い、遺産分割の内容に含めておくとあとで揉めません。相続税の申告が必要な場合も、残高は財産の一部として扱われます(相続財産の種類一覧)。

相続放棄を考えているなら受け取る前に確認

民法921条は、相続人が相続財産を処分したときは単純承認したものとみなすとしています。借金が多く相続放棄を検討している場合、残高の返金を受け取ったり使ったりすることが判断にどう影響するかは、個別の事情で変わります。受け取る前に、家庭裁判所や専門家に確認してください(相続放棄の手続き)。

残高を使い切ったり送金したりしない

ログインできたとしても、亡くなった方の残高を家族が使ったり、自分のアカウントに送金したりするのは避けましょう。規約上アカウントは本人のものとされており、相続財産を勝手に動かすことにもなります。正式な手続きで返金を受けるのが確実です。

よくある質問

残高が少額でも手続きしたほうがいいですか?

金額によります。振込手数料を差し引くと返金がない場合もあるため、まず事業者に残高と手数料を確認してから決めるとよいでしょう。ネット銀行や証券口座など、ほかのネット上の資産とあわせて調べると効率的です(ネット銀行・ネット証券の相続)。

携帯を家族が承継すれば、決済アプリも引き継げますか?

引き継げません。ドコモは、個人名義の場合、承継してもdポイントやd払い残高は引き継げないとしています。残高は相続の手続きで返金を受ける形になります(携帯の承継の手続き)。

アカウントはどうなりますか?

PayPayや楽天キャッシュの規約では、利用者の契約上の地位は相続させることができないとされ、au PAYの規約も権利義務の譲渡などを認めていません。返金の手続きにあわせて、アカウントの扱いも事業者に確認しましょう。

まとめ:残高は「返金の手続き」、ポイントは期待しない

亡くなった方のQRコード決済のアカウントは引き継げませんが、チャージした残高は、PayPay・楽天キャッシュ・au PAYのように相続人に返金する定めを置く事業者が多くあります。資金決済法では前払式の残高の払い戻しは原則禁止ですが、各社は規約で相続時の扱いを定めています。ポイントや一部の残高は対象外です。通帳やカード明細から使っていたサービスを探し、電話番号を控えてから携帯を解約し、事業者の窓口に連絡しましょう。相続放棄を考えているなら、受け取る前の確認も忘れずに。

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※本記事は2026年10月時点の法令と各社の利用規約・公式案内をもとにした一般的な解説です。返金の対象・手数料・必要書類は事業者ごとに異なり、規約は改定されることがあります。手続きは各事業者の最新の案内を、相続放棄や相続税など法的・税務上の判断は家庭裁判所や専門家にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」第20条 https://laws.e-gov.go.jp/law/421AC0000000059
e-Gov法令検索「前払式支払手段に関する内閣府令」第42条 https://laws.e-gov.go.jp/law/422M60000002003
金融庁「商品券(プリペイドカード)の払戻しについて」https://www.fsa.go.jp/policy/prepaid/
e-Gov法令検索「民法」第896条・第921条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
PayPay「PayPay残高利用規約」https://about.paypay.ne.jp/terms/consumer/rule/balance/
PayPay「PayPay残高(マネー、マネーライト)とPayPayポイントとは」https://paypay.ne.jp/help/c0048/
楽天キャッシュ「規約・資金決済法に基づく表示」https://cash.rakuten.co.jp/Guidance/GuidanceCashAgreement/
au PAY「au PAY 利用規約」https://aupay.auone.jp/contents/lp/terms/aupayall.html
NTTドコモ「ご契約者の死亡による承継」https://www.docomo.ne.jp/support/mortality/succession/
国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241120_1.html

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