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「入院したけれど、保険のことは後回しにしていた」「親が入院中で、本人は手続きができそうにない」——入院給付金や手術給付金は、自分から請求しない限り支払われません。そして、請求できる給付がいくつもあるのに、一部しか請求していないケースは珍しくありません。この記事では、本人が生きている間に起きやすい請求漏れのパターンと、本人が手続きできないときに家族が使える制度、3年の時効や税金の扱いを、生命保険文化センターと国税庁の情報をもとに整理します。なお、亡くなった後の請求については医療保険・がん保険は死亡後も請求できるで詳しく解説しています。
入院給付金は「請求しないともらえない」
保険会社は、加入者が入院したことを自動的には把握していません。給付金は、本人(または代わりに請求できる人)が保険会社に連絡して初めて手続きが始まります。生命保険文化センターは、給付金の請求について、まず保険会社に証券番号や被保険者名、入院日を伝え、病名・入院日・退院日・手術日・手術名などをできるだけ詳しく伝えるよう案内しています。
請求漏れが起きやすい6つの場面
生命保険文化センターは、請求漏れの例として次のようなケースを挙げています。どれも「一度請求したから終わり」と思い込みやすい場面です。
| 場面 | 見落としやすいもの |
|---|---|
| 特約を複数つけている | たとえばがんで入院したとき、疾病入院特約と特定(三大)疾病保障特約の両方から受け取れる可能性 |
| 家族が契約者の保険もある | 自分が契約者の保険だけでなく、配偶者や親が契約者で自分が被保険者の保険 |
| 複数の保険会社と契約している | 医療保険とがん保険を別々の会社で契約している場合、それぞれに請求が必要 |
| 入院中に請求した | 診断書に書かれていない、その後の入院期間の分 |
| 転院した | 前の病院と後の病院、それぞれの入院・手術の分 |
| 退院後に通院した | 契約によっては受け取れる通院給付金 |
このほか、勤務先を通じて加入している団体保険や、共済も見落としがちです。共済は生命保険とは別に、加入先の共済へ直接請求します(共済の相続手続き)。
診断書がなくても請求できる場合がある
「診断書を取るのが面倒で後回しにした」というのも、請求漏れのよくある理由です。生命保険文化センターによると、診断書に代わる書類(領収証や診療明細書など)で請求できるとしている保険会社が多くなっています。インターネットで手続きできる会社もあります。病院の領収証や明細書は、捨てずに保管しておくと請求がしやすくなります。
本人が手続きできないときに家族が使える制度
入院給付金の受取人は、通常は被保険者本人です。家族が「代わりに請求したい」と思っても、保険会社は本人以外に契約内容を開示しないのが原則です。本人が意思表示できない状態になったときに備えて、次の制度があります。
| 制度 | できること |
|---|---|
| 指定代理請求制度 | 本人に「特別な事情」があるとき、あらかじめ指定された家族が入院給付金・手術給付金などを代わりに請求できる |
| 保険契約者代理制度 | 契約者が手続きできないとき、指定された代理人が住所変更などの手続きをできる |
| 家族(情報)登録制度 | 家族の連絡先を保険会社に登録しておき、災害時などに保険会社から家族へ連絡が届く。契約内容の照会ができる場合もある |
指定代理請求制度の「特別な事情」とは
生命保険文化センターによると、特別な事情とは、ケガや病気で請求の意思表示ができないとき、治療の都合で病名や余命の告知を受けていないとき、これらに準じる状態のときです。指定できる人の範囲は保険会社によって異なり、戸籍上の配偶者、直系血族、同居または生計を一にする3親等内の親族などが一般的です。
どの保険に入っているか分からないとき
生命保険協会の「生命保険契約照会制度」は、亡くなった場合だけでなく、認知判断能力が低下した場合(医師の診断が必要)にも、その方が契約者または被保険者になっている生命保険契約の有無を、協会の会員会社にまとめて確認できる制度です。利用料は1名につきWEB申請6,000円、書面申請7,000円。分かるのは契約の有無までで、内容の確認や請求は各社に連絡します。協会は、利用の前にまず証券や保険会社からの通知物、通帳の保険料の引き落とし履歴を家族で探すよう案内しています。
判断能力が低下した後は、契約の手続き全般に成年後見制度などが関わることがあります(成年後見制度とは)。元気なうちにできる備えは認知症になる前の相続対策も参考になります。
受け取った給付金の税金
国税庁の質疑応答事例によると、入院費給付金や高度障害保険金など、病気やケガに基因して支払われる給付金は所得税が非課税です。受け取る人が本人でなくても、本人の配偶者・直系血族・生計を一にする親族であれば、同じく非課税として扱われます。
- 医療費控除との関係:確定申告で医療費控除を受けるときは、支払った医療費から、その医療費を補てんする給付金を差し引きます
- 使い残した場合:生前に受け取った給付金が残ったまま本人が亡くなると、その残りは預貯金などと同じ本人の相続財産になります。死亡保険金の非課税枠は使えません
- 受け取る前に亡くなった場合:未請求の給付金は相続人が請求でき、本人の相続財産として扱われます(死亡後の請求の流れ)
請求漏れを防ぐ、いちばんの備え
請求漏れの多くは、「どの保険に、どんな保障がついているか」を本人も家族も把握していないことから起きます。元気なうちに、次のことを一覧にしておくと安心です。
- 保険会社名と保険の種類(医療・がん・死亡保障・共済など)
- 契約者・被保険者・受取人が誰か
- 保険証券や契約内容のお知らせの保管場所
- 保険会社の連絡先と、指定代理請求人を指定しているか
暗証番号やパスワードを書き残す必要はありません。「どこの会社と契約しているか」が分かれば、家族は保険会社に問い合わせることができます(相続と生命保険の基本)。
よくある質問
退院してから半年たちました。まだ請求できますか?
保険法の時効は、請求できる時から3年です。半年であれば通常は請求できますので、まず保険会社に連絡してください。支払いの可否は契約内容によります。
一度請求した入院の分を、追加で請求できますか?
入院中に請求して、その後も入院が続いた場合などは、残りの期間分を追加で請求できる可能性があります。生命保険文化センターも請求漏れの例として挙げています。保険会社に確認しましょう。
指定代理請求人は後から指定できますか?
契約の途中で指定や変更ができるかどうか、指定できる人の範囲や手続きの方法は、保険会社や契約内容によって異なります。いずれにしても本人の意思で行う手続きなので、本人が元気なうちに、契約している保険会社へ確認しておくと安心です。
まとめ:入院・手術のたびに「全部の保険」を確認する
入院給付金や手術給付金は、請求しなければ受け取れず、請求できる期間は3年です。特約や保険が複数あるとき、入院中に請求したとき、転院や退院後の通院があったときは、請求漏れが起きやすくなります。本人が手続きできない場合に備えて、指定代理請求制度を確認し、加入している保険の一覧を家族と共有しておきましょう。それが、生きている間の請求漏れも、もしもの後の請求漏れも防ぐ近道です。
※本記事は2026年10月時点の法令・公的情報をもとにした一般的な解説です。給付の可否・必要書類・指定代理請求の範囲は、保険会社や契約内容(約款)により異なります。詳しくは契約している保険会社に、税金は税務署・税理士にご確認ください。ゆいのわは保険の募集・比較・推奨は行いません。
生命保険文化センター「保険金・給付金の請求から受取りまでの手引(ポイント3)」https://www.jili.or.jp/seikyutebiki/3situation.html
生命保険文化センター「入院給付金を請求するとき、どんな手続きがいるの?」https://jili.or.jp/knows_learns/q_a/medical_security/419.html
生命保険文化センター「指定代理請求制度って、どんな制度なの?」https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/169.html
生命保険文化センター「家族による生命保険の代理手続き」https://www.jili.or.jp/kuraho/essay/2024/9620.html
生命保険文化センター「入院給付金などには税金がかからない?」https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/573.html
国税庁 質疑応答事例「疾病により重度障害となった者以外の親族が保険金の支払を受けた場合」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/01/13.htm
国税庁 質疑応答事例「リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/01/03.htm
e-Gov法令検索「保険法」第95条 https://laws.e-gov.go.jp/law/420AC0000000056
生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/






