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個人年金保険の相続|受給前・受給中の死亡で変わる受取と税金

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親が老後のために入っていた個人年金保険。「受け取る前に亡くなったら掛け損?」「受け取っている途中だったら残りはどうなる?」と迷う方は多いはずです。結論から言うと、個人年金保険の相続は「年金の受け取りが始まる前か、後か」で、遺族が受け取るものも税金も変わります。受給前なら死亡給付金、受給中なら残りの期間の年金(または一時金)です。この記事では、場面ごとの受け取りと税金の扱いを、国税庁と生命保険文化センターの情報をもとに整理します。

個人年金保険の相続は「いつ・誰が亡くなったか」で決まる

まず全体像です。保険料を負担していた方と被保険者(年金を受け取る方)が同じ人、というもっとも多い契約を前提にしています。

亡くなった時期 遺族が受け取るもの 相続税の扱い
年金の受取開始前 死亡給付金 みなし相続財産。相続人の受取分に非課税枠あり
受取開始後(確定年金の受取期間中・保証期間中) 残りの期間の年金、または一時金 年金受給権として課税。非課税枠は対象外
保証期間が終わった後の終身年金など 原則として、そこで終了 —

このほか、「契約者(保険料の負担者)が亡くなったが、被保険者は別の家族で存命」というケースもあります。この場合は契約そのものが相続財産になります。順に見ていきましょう。

年金の受け取り前に亡くなった場合:死亡給付金

生命保険文化センターによると、個人年金保険では、初回の年金受取開始日までに被保険者が亡くなると、死亡給付金受取人が死亡給付金を受け取れます。金額は、それまでに払い込んだ保険料に応じた額が基本です。なかには、死亡給付金を払込保険料相当額やその7割程度に抑えて、年金額を多くしているタイプもあります。「払った分は全額戻る」とは限らないので、証券で確認しましょう。

非課税枠が使える保険料を亡くなった方が負担していた場合、死亡給付金は相続税の対象(みなし相続財産)です。受取人が相続人であれば、ほかの死亡保険金と合計して「500万円×法定相続人の数」まで非課税になります(生命保険の非課税枠)。相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取る分には、この枠は使えません。

死亡給付金は受取人が自分で請求します。流れは一般の死亡保険金と同じです(死亡保険金の請求手順)。

年金の受給中に亡くなった場合:残りの年金を受け取る権利

年金の種類で「残り」があるかが決まる

年金の種類 受給中に亡くなったとき
確定年金 残りの受取期間に対応する年金、または一時金を受け取れる
保証期間付終身年金 保証期間中なら、残りの保証期間に対応する年金または一時金を受け取れる。保証期間を過ぎていれば終了
有期年金 被保険者が生きている間だけ支払われる。保証期間のないタイプは、残額があれば一時金が出るものが一般的
夫婦年金 夫婦のどちらかが生きている限り続く。保証期間中に2人とも亡くなると、残りの保証期間分を遺族が受け取れる

どの種類か、保証期間が何年か、残りを誰が受け取るかは、証券と約款で決まります。まず保険会社に、亡くなったことと年金の種類を伝えて確認しましょう。

相続税:年金受給権として評価する

国税庁は、保険料の負担者・被保険者・年金受取人が同じ人の個人年金保険で、保証期間内にその人が亡くなり、遺族が残りの期間の年金を受け取ることになった場合、年金受給権を相続または遺贈で取得したものとみなして相続税の対象にすると説明しています。評価額は、相続税法24条により、次のうちいちばん多い金額です。

  • その時点で解約した場合の解約返戻金の額
  • 年金に代えて一時金で受け取れる場合は、その一時金の額
  • 残りの期間と予定利率から計算した額(1年あたりの平均額×複利年金現価率)

自分で計算する必要はありません。保険会社に「相続税の申告に使う評価額を知りたい」と伝えれば、証明書などで案内してもらえるのが一般的です。残りを一時金で受け取った場合は、その金額が評価額になります。

500万円の非課税枠は使えない「500万円×法定相続人の数」の非課税枠は、相続税法上、被相続人の死亡によって受け取る死亡保険金(死亡給付金)についての規定です。受給開始後に引き継ぐ年金受給権は、条文上これとは別の財産として扱われ、非課税枠の対象に含まれていません。受給前と受給後で、ここが大きく違います。

年金で受け取り続けると、2年目以降は所得税もかかる

相続した年金受給権にもとづいて毎年受け取る年金は、所得税では雑所得です。ただし、相続税の対象になった部分に重ねて所得税がかからないよう、年金を非課税部分と課税部分に分けて計算します。国税庁の説明では、支給の初年は全額が非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増えていく方法です。この計算は、実際には相続税の納税額が出なかった人にも同じように当てはまります。

年金で受け取るか一時金にするかで、その後の税金や手取りは変わります。どちらが合うかは残りの期間や他の所得しだいなので、選ぶ前に保険会社で両方の金額を確認し、税理士や税務署に相談すると安心です。

契約者が亡くなり、被保険者は存命の場合

たとえば「夫が契約者として保険料を払い、妻が被保険者」という個人年金保険で、年金の受け取りが始まる前に夫が亡くなった場合です。まだ給付は発生していないため、死亡給付金は出ません。この場合、契約そのもの(生命保険契約に関する権利)が相続財産になり、亡くなった時点で解約したとした場合の解約返戻金の額で評価します。

手続きとしては、相続人のうち誰が契約を引き継ぐかを決め、契約者の変更を保険会社に届け出ます。解約して返戻金を分けることもできますが、時期によっては払込保険料の総額を下回ります。契約者の変更と税金の関係は保険の契約者変更と税金で解説しています。

税金の種類は「誰が保険料を払っていたか」で変わる

ここまでは、保険料を払っていた本人が亡くなった場合の話でした。保険料の負担者が別の人だと、かかる税金の種類が変わります。受給前の死亡給付金を例にすると、次のとおりです。

保険料の負担者 亡くなった方(被保険者) 受け取る人 税金
亡くなった方 A 遺族B 相続税
受け取る人自身 A 保険料の負担者 所得税
別の人C A 遺族B 贈与税

受給中に引き継ぐ年金受給権も考え方は同じで、亡くなった方が保険料を負担していれば相続税、亡くなった方でも受け取る人でもない別の人が負担していれば贈与税の対象です。通帳の引き落とし口座が誰の名義だったかが、判断の手がかりになります。契約者の名義と実際の負担者が違うこともあるため、迷ったら税理士や税務署に確認してください(生命保険の契約形態と税金)。

公的年金とは扱いが違う国民年金や厚生年金の遺族年金は、原則として所得税も相続税もかかりません。亡くなった方が受け取っていなかった公的年金(未支給年金)を遺族が受け取った場合は、その遺族の一時所得になり、相続税はかかりません。個人年金保険とはルールが別なので、混同しないようにしましょう(死亡後の年金手続き)。

請求の進め方と、見落としを防ぐポイント

  • 保険会社に連絡する:証券番号、亡くなった日、年金の受け取りが始まっていたかどうかを伝える
  • 受け取り方を確認する:受給中の場合、年金で続けるか一時金にするかを選べるか、それぞれの金額はいくらか
  • 相続税の評価額の資料をもらう:申告が必要になりそうなら、あわせて依頼する
  • 3年以内に請求する:保険給付を請求する権利は、行使できる時から3年で時効になる(生命保険金の請求期限)
受給中の年金保険は「一括照会」で見つからない生命保険協会の生命保険契約照会制度は、亡くなった方の保険契約の有無をまとめて調べられる制度ですが、支払いが始まった年金保険は調査の対象外とされています。受給中の個人年金は、通帳への定期的な入金、保険会社からの支払通知、確定申告の控え(雑所得)などから探す必要があります。

よくある質問

個人年金保険にも「500万円×法定相続人」の非課税枠は使えますか?

年金の受け取りが始まる前に亡くなり、相続人が死亡給付金を受け取る場合は使えます。受け取りが始まった後に引き継ぐ年金受給権は、この枠の対象に含まれていません。

残りの年金は、年金のままと一時金のどちらで受け取るのが得ですか?

一概には言えません。相続税の評価額は「解約返戻金・一時金・予定利率で計算した額のうち最も多い額」で決まり、年金で受け取る場合は2年目以降に所得税がかかります。保険会社で両方の金額を出してもらい、税理士に確認して決めるのが確実です。

終身年金で、保証期間を過ぎてから亡くなりました。何か受け取れますか?

保証期間付終身年金は、保証期間を過ぎると被保険者が生きている間だけの支払いになるため、原則として遺族への支払いはありません。ただし、年金原資相当額などの総額を保証するタイプもあるので、保険会社に確認してください。

相続税がかからなかった場合も、年金に所得税はかかりますか?

かかります。国税庁は、非課税部分と課税部分に分ける計算について、実際に相続税の納税額が生じなかった方も対象になるとしています。

まとめ:受給前か受給中かを確認し、保険会社に金額を聞く

個人年金保険は、受取開始前に亡くなれば死亡給付金(非課税枠あり)、受給中なら残りの期間の年金または一時金(年金受給権として相続税、非課税枠は対象外)を遺族が受け取ります。契約者だけが亡くなった場合は、契約そのものが相続財産です。税金の種類は保険料の負担者で変わり、年金で受け取り続ければ所得税もかかわってきます。受給中の年金保険は一括照会の対象外なので、「どの会社の、どんな年金保険に入っているか」を家族が分かるようにしておくことが、請求漏れを防ぐいちばんの備えです。

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※本記事は2026年10月時点の法令・公的情報をもとにした一般的な解説で、個別の税額を示すものではありません。受け取れる金額や受取人は契約(約款)により、税金の扱いは契約形態や個別の事情により異なります。詳しくは保険会社、税務署・税理士にご確認ください。

参考にした公的情報(2026年10月確認)
国税庁「No.4123 相続税等の課税対象になる年金受給権」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4123.htm
国税庁「No.1615 遺族の方が支払を受ける個人年金」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1615.htm
国税庁「No.1620 相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1620.htm
国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
国税庁「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4660.htm
国税庁「相続税法基本通達 第3条関係(3-36、3-45 ほか)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/04.htm
e-Gov法令検索「相続税法」第3条・第12条・第24条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073
生命保険文化センター「個人年金保険」https://www.jili.or.jp/knows_learns/kind/main/30.html
生命保険文化センター「変額個人年金保険の税金の取扱いは?」https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/566.html
生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/

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