不動産の相続

相続した不動産の固定資産税|誰が払う・代表者の届出・空き家の注意

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「親が亡くなったあと、固定資産税の通知が届いた。これは誰が払うの?」——不動産を相続すると、毎年かかる固定資産税の扱いにまず戸惑います。結論から言うと、固定資産税はその年の1月1日時点の所有者に課税され、所有者が亡くなっていれば相続人が納めます。遺産分割が決まるまでは相続人全員の共有になり、市区町村からは代表者あてに通知が届きます。この記事では、誰がいつから払うのか、相続人代表者指定届と現所有者申告の違い、空き家で税金が高くなる条件を、地方税法と自治体の案内にもとづいて整理します。

相続した不動産の固定資産税は誰が払う?

ここが結論固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)の所有者に、その年度の1年分が課税されます。所有者は原則として登記簿上の所有者ですが、登記名義人が1月1日より前に亡くなっている場合は、その日に不動産を「現に所有している者」(相続人など)が納税義務者になります(地方税法343条)。

固定資産税は市町村(東京23区は都)が課す税金で、標準税率は1.4%です。課税の基礎になる「価格」は固定資産課税台帳に登録され、毎年届く納税通知書の課税明細書で確認できます。

亡くなった年度の分は相続人が引き継ぐ

年の途中で亡くなった場合、その年度の固定資産税は、1月1日時点の所有者だった亡くなった方に課税されています。未納の分は、相続人が引き継いで納めます(地方税法9条)。相続人が複数いれば、法定相続分で分けた額をそれぞれ納めるのが法律上の原則です。限定承認をした場合は、相続で得た財産の範囲に限られます。

翌年度以降は「誰が所有しているか」で決まる

1月1日時点の状況 納税義務者
相続登記が済んでいる 登記簿上の新しい所有者
遺産分割前で、登記は亡くなった方の名義のまま 相続人全員(共有として、連帯して納める義務)
遺産分割で取得者が決まったが、登記はまだ その不動産を現に所有している相続人

共有の不動産にかかる地方税は、共有者が連帯して納める義務を負います(地方税法10条の2)。つまり、遺産分割前でも、市区町村は相続人の誰に対しても全額を求めることができます。相続人の間で誰が負担するかは、遺産分割の話し合いの中で決めておくと後のもめごとを防げます(遺産分割協議の進め方)。

相続人代表者指定届と現所有者申告

相続が起きると、市区町村から書類が届くことがあります。名前が似ている2つの手続きを整理しておきましょう。

手続き 何のため 根拠
相続人代表者指定届 亡くなった方の税金について、納税通知書などの書類を受け取る代表者を決めて届け出る 地方税法9条の2
現所有者申告 登記名義人が亡くなった不動産を、現に所有している人の住所・氏名などを申告する 地方税法384条の3と各市町村の条例

相続人代表者指定届

相続人が2人以上いるとき、相続人はその中から、税金の書類を受け取る代表者を指定して市区町村に届け出ることができます。届出がない場合、市区町村長が相続人の1人を代表者に指定し、その旨を通知することがあります。届出の様式や時期は自治体ごとに定められており、たとえば大阪市は、相続が発生した年内の届出を案内しています。

代表者=全額を負担する人ではない代表者は「書類を受け取る人」です。代表者に通知が届いても、その人だけが負担するという意味ではありません。実際に誰がいくら負担するかは、相続人どうしで話し合って決めます。

現所有者申告

地方税法の改正により、市町村は条例で、登記名義人が亡くなった土地・家屋の現所有者に、住所・氏名などを申告させることができるようになりました。申告期限は「現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日」以後で、条例で定められます。

たとえば名古屋市は、相続登記がされるまでの間の現所有者(法定相続人や、遺産分割で取得した人)に申告を求め、期限を「現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日」とし、申告しない場合は10万円以下の過料が科されることがあると案内しています。相続登記をした場合や、相続放棄をした人は申告不要です。様式や必要書類は市町村ごとに違うので、不動産のある市区町村の案内を確認してください。

相続登記をすると課税はどう変わる?

相続登記をすると、その後の固定資産税は登記簿上の所有者に課税されます。名古屋市の案内では、相続登記をした翌年の4月から始まる年度分以後が、登記簿上の所有者への課税になるとしています。

相続登記は、不動産の取得を知った日から3年以内に申請する義務があります(相続登記の義務化)。登記を済ませておけば、納税義務者がはっきりし、売却や活用もしやすくなります。

固定資産税評価額は相続の手続きでも使う

課税明細書に載っている「価格(評価額)」は、相続登記の登録免許税の計算や、相続税での建物の評価(固定資産税評価額×1.0)にも使います。相続税での土地の評価は路線価などで別に計算します(相続した土地の評価額の調べ方)。課税明細書は捨てずに保管しておきましょう。

空き家にすると固定資産税が上がることがある

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税の課税標準が軽減されています(地方税法349条の3の2)。

区分 課税標準
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 価格の6分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 価格の3分の1

200㎡を超える場合は、住戸の数×200㎡までが小規模住宅用地として扱われます。特例は住宅の敷地であることが前提なので、建物を取り壊して更地にすると対象外になります。

「勧告」を受けると特例が外れる2023年12月13日に施行された改正空家対策特別措置法により、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」も、市区町村から勧告を受けると、特定空家と同じく住宅用地の特例の対象から外れることになりました。課税標準が6分の1や3分の1に抑えられていた土地は、特例が外れると税負担が大きく増えるおそれがあります。

空き家のまま持ち続けるなら、定期的な換気や草木の手入れなど、管理を続けることが大切です。相続した実家をどうするかの選択肢は相続した実家(空き家)はどうするで解説しています。

固定資産税の負担を減らす選択肢

  • 売却する:使う予定がなければ、手放すことで翌年度以降の負担がなくなる。譲渡所得の特例も確認する(相続した不動産の売却)
  • 貸す・活用する:家賃収入で税負担をまかなう。空き家バンクに登録する方法もある
  • 国に引き取ってもらう:要件を満たす土地は、相続土地国庫帰属制度で国に引き渡せる(相続土地国庫帰属制度)
  • 相続放棄を検討する:不動産以外も含めすべての財産を相続しないことになる。期限は原則、相続の開始を知った時から3か月

なお、固定資産税には免税点があり、土地は30万円未満、家屋は20万円未満(課税標準額)なら課税されません。家屋の免税点は、2027年度分から30万円に引き上げられます。

よくある質問

亡くなった親の固定資産税を、相続人の1人が全額払いました。他の相続人に請求できますか?

法律上は、相続人それぞれが相続分に応じて負担するのが原則です。誰がどれだけ負担するかは、遺産分割協議の中で精算方法も含めて話し合っておくのが一般的です。もめそうな場合は、早めに専門家に相談しましょう。

相続放棄をしたら、固定資産税は払わなくてよいですか?

相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになるため、亡くなった方の未納の税金は引き継ぎません。名古屋市の例では、放棄した人は現所有者申告も不要です。ただし、放棄の時点で空き家を占有していた場合の管理の責任など、別の論点があります(相続放棄の期限と方法)。

納税通知書が亡くなった親の名前で届きました。どうすればいいですか?

亡くなったことを知らずに亡くなった方の名義で出された通知でも、相続人の1人に届けば、相続人全員に出されたものとみなされます。届いた通知書は放置せず、市区町村の税務担当に連絡して、代表者の届出や現所有者申告の要否を確認しましょう。

まとめ

相続した不動産の固定資産税は、1月1日時点の所有者に課税され、所有者が亡くなっていれば相続人が納めます。亡くなった年度の未納分も相続人が引き継ぎ、遺産分割前は相続人全員が連帯して納める立場です。書類の受け取り役を決める「相続人代表者指定届」と、現に所有している人を知らせる「現所有者申告」は別の手続きなので、市区町村の案内を確認しましょう。空き家を放置して管理不全空家・特定空家として勧告を受けると、住宅用地の特例が外れて税負担が増えるおそれがあります。使う予定のない不動産は、売却や活用、国庫帰属も含めて早めに方針を決めることが大切です。

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※本記事は2026年10月時点の法令と公的機関・自治体の公表情報をもとにした一般的な解説です。届出の様式や申告期限、特例の扱いは市区町村や個別の事情で異なります。具体的には不動産のある市区町村の税務担当、または専門家にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
総務省「固定資産税の概要」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html
e-Gov法令検索「地方税法」第9条・第9条の2・第10条の2・第343条・第349条の3の2・第384条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
名古屋市「現に所有している者の申告制度」https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000130307.html
大阪市「ご不幸に伴う市税の手続き」https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000370556.html
国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html
法務省「相続登記の申請義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

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