不動産の相続

空き家バンクとは?相続した実家を売る・貸すときの使い方と注意点

空き家バンクとは?相続した実家を売る・貸すときの使い方と注意点

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相続した実家が地方にあり、不動産会社に相談しても「この地域は扱いが難しい」と言われてしまった——。そんなときに知っておきたいのが、自治体が運営する「空き家バンク」です。空き家バンクは、売りたい・貸したい空き家の情報を自治体が集め、住みたい人に紹介するしくみ。この記事では、国土交通省の公開情報をもとに、空き家バンクのしくみと登録の流れ、利用するときの注意点を整理します。活用の選択肢をひとつ増やすつもりで読んでみてください。

空き家バンクとは|自治体が空き家を紹介するしくみ

空き家バンクは、各自治体が空き家対策のひとつとして、自主的に開設しているものです。所有者から登録された物件の情報を、自治体のWebサイトなどで公開し、利用したい人とつなぎます。

以前は、自治体ごとに掲載の項目がばらばらで、探す側にとって分かりにくいという課題がありました。そこで国土交通省は、自治体の空き家情報を横断して検索できる「全国版空き家・空き地バンク」の構築を支援しました。公募で選ばれた民間の2社が運営しており、2018年(平成30年)4月から本格的に運用されています。

項目 内容(令和8年8月末時点)
参加している自治体 1,151自治体
物件を掲載中の自治体 744自治体
成約した物件 約27,000件(自治体へのアンケート調査等による)
運営 株式会社LIFULL、アットホーム株式会社

全国版には、各自治体の支援制度の情報も掲載されています。支援の内容は自治体によって異なりますが、買い手・借り手にとっては、物件と支援制度の情報をあわせて探せる場になっています。探す側は、全国版のサイトへの利用者登録は不要です。ただし、物件を掲載している自治体への登録が必要になる場合があるとされています。

相続した実家を空き家バンクに登録する流れ

登録の窓口は、実家がある市区町村です。全国版のサイトに、所有者が直接登録を申し込むことはできません。国土交通省のQ&Aでも、全国版は自治体が持つ空き家情報を掲載するしくみであり、必ず自治体を介して登録する、と説明されています。

手続きの細かな点は自治体ごとに違いますが、一般的には次のような流れです。

  1. 実家のある市区町村の担当窓口(空き家対策や移住の担当課など)に相談する
  2. 登録の申込書と、物件の資料を提出する
  3. 自治体や、協力する不動産会社が物件の状況を確認する
  4. 自治体の空き家バンクに掲載される(同意すれば全国版にも掲載)
  5. 利用したい人から連絡があり、見学や条件の話し合いをする
  6. 売買または賃貸の契約を結ぶ

自治体によってルールが違う点

国土交通省のQ&Aから、とくに確認しておきたい点を挙げます。

確認すること Q&Aでの説明
不動産会社を通すか 物件の登録にあたり、宅地建物取引業者との媒介(仲介)契約を必須としている自治体もある
だれが利用できるか 移住促進を目的として、市町村外・県外からの希望者に限っている自治体もある
全国版への掲載 売りたい人・貸したい人の同意が必要。同意がなければ掲載されないことがある
そもそも制度があるか 開設は自治体の義務ではない。ない場合は、ほかの空き家対策について自治体に個別に相談する
交渉や契約のトラブルは、当事者の責任です国土交通省は、空き家物件の取引にかかわる交渉や各種の手続きは当事者間の責任で行うもので、トラブルについて国や運営事業者は関与しない、と明記しています。「自治体のサイトに載っているから安心」と考えず、契約の内容は自分でも確かめましょう。当事者だけでのやりとりに不安がある場合は、不動産会社に仲介を頼めるか、自治体の窓口で尋ねてみてください。

空き家バンクと不動産会社への依頼のちがい

空き家バンクは、不動産会社に頼む方法と対立するものではありません。登録にあたって不動産会社との契約を求めるなど、両方を組み合わせている自治体もあります。それぞれの特徴を比べてみます。

空き家バンク 不動産会社に直接依頼
窓口 市区町村 不動産会社
探している人 移住や地方での暮らしを考える人など その会社の顧客、不動産情報サイトの利用者
契約までの手伝い 自治体により異なる 不動産会社が仲介する
費用 不動産会社が仲介に入る場合は仲介手数料がかかる 成約時に仲介手数料がかかる

価格の低い空き家は、仲介手数料の特例がある

地方の古い家は価格が低く、不動産会社にとっては手間のわりに手数料が少ないため、扱ってもらいにくいという事情がありました。そこで2024年(令和6年)7月1日から、空き家などの仲介手数料に特例が設けられています。

  • 売買:物件価格が800万円以下の宅地・建物について、不動産会社は依頼者の一方から、原則の上限を超えて手数料を受け取れる。上限は「30万円の1.1倍」(税込33万円)
  • 賃貸:長く使われていない空き家などについて、不動産会社は貸主から、原則の上限を超えて手数料を受け取れる。上限は「1か月分の賃料の2.2倍」

賃貸の特例の対象となる「長期の空家等」について、国土交通省は考え方を2つ示しています。ひとつは、少なくとも1年を超える期間、住む人がいない戸建ての空き家やマンションの空き室。もうひとつは、相続などで使われなくなった直後の空き家・空き室で、今後も所有者による利用が見込まれないものです。相続した実家は、後者に当てはまることがあります。

所有者にとっては手数料の負担が増える面がありますが、これまで断られていた物件でも、扱ってもらえる可能性が広がったといえます。なお、この特例による手数料は、媒介契約を結ぶときに、不動産会社があらかじめ金額を説明し、依頼者と合意しておく必要があるとされています。契約の前に、手数料がいくらになるかを書面で確認しましょう。

登録の前に済ませておくこと

空き家バンクに登録しても、次の点が片づいていないと、いざ希望者が現れたときに話が止まってしまいます。

  • 名義を相続人に変える:亡くなった親の名義のままでは、売ることができません。相続登記は義務でもあり、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が求められています(相続登記の義務化とは)
  • 相続人どうしで方針をそろえる:売るのか貸すのか、いくらなら手放すのか。共有になっている場合は、全員の考えを先に確かめておく(不動産の共有名義の相続)
  • 家の中を片づける:家財が残ったままでは、見学や引き渡しに支障が出る(実家じまいの進め方)
  • 家と土地の状態をつかむ:雨漏りや傷みの有無、敷地の境界、農地が付いていないかなど、聞かれそうなことを整理しておく

相続人どうしの話し合いが長引いて、すぐに名義を変えられないこともあります。その場合に、義務を果たすための簡易な手続きとして「相続人申告登記」がありますが、これだけでは売却はできません(相続人申告登記とは)。売る・貸すを具体的に進めるには、遺産分割をまとめて相続登記を済ませることが前提になります。

自治体の窓口に相談するときは、固定資産税の課税明細書、登記事項証明書、間取りが分かる図面、家の内外の写真があると、話が具体的に進みます。実家が遠方にある場合は、まず電話で、必要な書類と手続きの進め方を尋ねてみましょう(遠方の不動産の相続)。

畑や田んぼが一緒になっている場合は、農地ならではの制限があります(農地の相続)。国土交通省は「農地付き空き家」の手引きも公開していますので、自治体の窓口で扱いを確認してください。

空き家バンクが向いているケース・ほかの方法を考えたいケース

空き家バンクは、どんな実家にも合う方法ではありません。目安として整理します。

向いているケース ほかの方法もあわせて考えたいケース
地方にあり、一般の不動産市場では買い手がつきにくい 都市部にあり、不動産会社がふつうに扱える
時間がかかっても、住んでくれる人に引き継ぎたい 相続税の納税などで、早く現金にしたい
自治体が移住の受け入れに力を入れている 建物の傷みが激しく、住める状態にない

どちらに当てはまるか判断がつかないときは、自治体の窓口と地元の不動産会社の両方に話を聞いてみましょう。同じ家でも、立場の違う相手から意見を聞くことで、価格の見通しや、手を入れるべき箇所が見えてきます。相談したからといって、その場で登録や契約を決める必要はありません。

空き家バンクは、登録すればすぐ決まるというものではなく、成約まで時間がかかることもあります。そのあいだも、固定資産税や草刈りなどの管理は続きます。「登録して待つ」と「ほかの方法を検討する」を並行して進めるのが現実的です。売却、賃貸、解体、国に引き取ってもらう制度など、選択肢の全体像は相続した実家(空き家)の4つの選択肢と相続した不動産の活用で確認できます。

まとめ

空き家バンクは、自治体が空き家の情報を集めて、住みたい人に紹介するしくみです。全国版には1,151の自治体が参加しており、登録は実家のある市区町村の窓口を通して行います。不動産会社を通すかどうか、だれが利用できるかなどのルールは自治体によって違い、交渉や契約は当事者の責任です。登録の前に、相続登記と相続人どうしの方針の確認を済ませておきましょう。制度の内容は自治体ごとに異なるため、まずは実家のある市区町村に問い合わせてみてください。

参考にした公的情報(2026年10月確認)
国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
国土交通省「『全国版空き家・空き地バンク』について」(令和8年8月末時点)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/002021857.pdf
国土交通省「全国版空き家・空き地バンク Q&A(消費者向け)」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001365984.pdf
国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf
法務省「相続登記の申請義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

実家をどうするか、家族で同じ情報を見ながら決める。

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※本記事は2026年10月時点の国土交通省・法務省の公開情報をもとにした一般的な解説です。空き家バンクの有無・登録条件・支援制度は自治体により異なります。詳しくは、物件のある市区町村にご確認ください。

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