相続の準備・終活

葬儀の生前準備|決めておくこと一覧と費用・見積もりの確認ポイント

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「自分の葬儀で家族を慌てさせたくない」と思っても、何から決めればいいのか分かりにくいものです。結論から言うと、葬儀の生前準備は①希望の形と規模、②連絡してほしい人と宗教・菩提寺、③費用の目安と支払い方を決め、家族と共有しておけば十分に役立ちます。国民生活センターは2026年6月、葬儀サービスの相談が年間900件前後あり、料金をめぐる相談の割合が増えていると注意を呼びかけ、前もって情報を集め、葬儀社に事前相談しておくことを勧めています。この記事では、葬儀の生前準備で決めておくことと、費用で失敗しないための確認ポイントを、公的資料をもとに整理します。

葬儀の生前準備で決めておくこと一覧

亡くなった直後の遺族は、病院からの搬送、葬儀社の手配、親族への連絡などを短い時間で進めることになります。本人の希望が分かっているだけで、判断の負担は大きく減ります。

項目 決めておく内容 家族が助かる理由
葬儀の形・規模 一般葬・家族葬・一日葬・直葬のどれか、呼ぶ範囲 葬儀社との打ち合わせの出発点になる
宗教・宗派 宗派、菩提寺の名称と連絡先、無宗教の希望 読経の依頼先やプランの選び方が変わる
連絡先リスト 亡くなったらすぐ知らせる人、葬儀後に知らせる人 誰に連絡すべきか迷わない
予算と支払い方 上限の目安、費用をどのお金から出すか 高額なプランを勧められても判断しやすい
相談先 事前相談した葬儀社、生前契約の有無 搬送の依頼先をすぐ決められる
遺影・その他 使ってほしい写真、流してほしい音楽、棺に入れたいもの 本人らしい見送りにできる

すべてを細かく決める必要はありません。「家族だけで、なるべく簡素に」「菩提寺に必ず連絡を」といった方針だけでも、遺族にとっては大きな手がかりになります。連絡先の整理はもしもの連絡先リストの作り方も参考にしてください。

家族葬・一日葬・直葬の違いと選び方

国民生活センターの資料では、葬儀の形を次のように説明しています(呼び方の範囲は葬儀社によって異なることがあります)。

形 内容 考えておきたいこと
一般葬 知人や勤務先の方など、生前に関係のある方が参列する葬儀 参列者の人数で会場や飲食の費用が変わる
家族葬 親族など身内のみで行う葬儀 どこまで声をかけるか、後から弔問に来る人への対応
一日葬 通夜をせず、葬儀と告別式を一日で行う 菩提寺がある場合は事前に了解を得ておく
直葬 式をせず、火葬だけをする お別れの時間が短くなること、納骨先の受け入れ
「家族葬だから安い」とは限らない国民生活センターは、「家族葬」「一日葬」は葬儀社によって取り扱う範囲が異なり、消費者のイメージと内容・料金が違うことがトラブルの一因になっているとしています。言葉のイメージにとらわれず、参列者の人数、葬儀の日数、料金に含まれるものを具体的に確認することが大切です。

葬儀費用で失敗しないための見積もりの確認

国民生活センターに寄せられた相談事例

葬儀サービスの相談は2019年度の632件から増え、2025年度は917件でした(2026年3月末までの登録分)。そのうち、料金が高いという「高価格・料金」の相談が52.6%を占めています。紹介されている事例には、次のようなものがあります。

  • 広告の50万円の家族葬プランで依頼したのに、打ち合わせで120万円のプランを提案され、キャンセルするなら搬送費用20万円を請求すると言われた
  • チラシの「一日葬は約30万円」を見て依頼したが、約80万円の契約になり、含まれるはずの仏具・仏衣も別料金だった
  • 見積書にプラン名と「一式」としか書かれておらず、追加費用で総額200万円を超えた

いずれも、亡くなった直後に搬送を急がれ、比べる余裕がないまま契約した例です。なお、同センターの集計では相談事例の平均契約購入金額は2025年度で約109万円でしたが、これはトラブルの相談が寄せられた契約の平均で、葬儀費用の相場を示すものではありません。

見積書で確認したい5つの点

  1. 明細があるか:「一式」だけでなく、項目ごとの金額が書かれているか
  2. プランに含まれないもの:飲食、返礼品、火葬料、安置の延長、搬送距離の追加など
  3. 人数で変わるもの:参列者が増えたときの料金の変わり方
  4. 宗教者へのお礼:お布施などが料金に含まれるか、別に用意するのか
  5. キャンセルの条件:搬送だけ頼んだ場合の費用

同センターは、複数の葬儀社を比べておくこと、打ち合わせは喪主一人ではなく親族や第三者と複数で行うことも勧めています。生前の事前相談なら、時間をかけて比べられます。

斎場や火葬場の情報は公式の窓口で確かめる

公営の斎場や火葬場を使う場合、予約や利用の方法は自治体の案内で確認します。豊橋市は、検索すると市の斎場ではない電話番号が目立つように載ったホームページが複数あるとして、市の斎場は葬儀の手配をしておらず、フリーダイヤルもないと注意を呼びかけています。電話番号は自治体の公式サイトで確かめるようにしましょう。

葬儀費用をどう準備するか

費用の目安が分かったら、「どのお金から払うか」も決めておくと家族が困りません。主な選択肢と、知っておきたい制度は次のとおりです。

お金の出どころ 知っておきたいこと
本人の預金 遺産分割が終わるまで相続人が単独で払い戻せないことがあるが、葬儀費用などのために各相続人が一定額を払い戻せる制度がある(同じ金融機関からは150万円が上限)
家族が立て替え 後で遺産から精算するか、誰が負担するかを相続人で話し合っておく
健康保険の給付 協会けんぽの被保険者が亡くなると、生計を維持されていた人に埋葬料5万円。国民健康保険では葬祭費が出る(豊橋市は5万円。額は自治体による)
生前契約・互助会 前払いや積立てで備える方法。契約内容と解約条件の確認が必須

払戻し制度で引き出せる額は、口座ごとに「相続開始時の預金額×3分の1×払い戻す人の法定相続分」で計算します(銀行口座の凍結と預貯金の相続手続き)。また、相続税の申告が必要な場合、相続人が負担した葬式費用は遺産総額から差し引けます。国税庁は、通夜や火葬・納骨の費用、読経料などのお礼は差し引ける一方、香典返し、墓石や墓地の購入費、初七日などの法事の費用は含まれないとしています。誰が払うか、香典の扱いなどは葬儀費用は誰が払う?で詳しく解説しています。

希望を家族に伝える方法

決めた内容は、家族がすぐに見られる形で残しておきます。

  • エンディングノート:形式・宗派・連絡先・予算・相談した葬儀社をまとめて書ける(エンディングノートの書き方)
  • 家族との会話:書いた内容を一度は口頭でも伝え、どこに置いてあるかを知らせておく
  • 遺言の付言事項:葬儀の希望を遺言に書くこともできるが、遺言を開くのが葬儀の後になると希望が間に合わない。葬儀の希望は遺言とは別に共有しておくのが確実
事前相談と生前契約は別物葬儀社への事前相談は、見積もりや流れを聞くだけで契約ではありません。費用の前払いや互助会の積立てまで進める場合は、契約内容・解約条件・お金の管理方法を確認する必要があります。詳しくは葬儀の生前契約で解説しています。

よくある質問

事前相談をしたら、その葬儀社に頼まないといけませんか?

事前相談は情報収集の段階で、契約しなければ依頼する義務はありません。国民生活センターも、事前に複数の葬儀社を比べることを勧めています。相談した葬儀社と見積書は、家族が分かるように記録しておきましょう。

病院で亡くなったら、すぐに葬儀社を決めないといけませんか?

遺体の搬送は急ぐ必要がありますが、搬送の依頼と葬儀の契約は分けて考えられます。事例では、搬送後に高額なプランを勧められ、断ると搬送費用を請求されたケースがありました。生前に依頼先の候補を決めておけば、慌てて選ばずに済みます。

葬儀の費用は相続税の計算で差し引けますか?

相続人などが負担した通夜・葬儀・火葬・納骨の費用や読経料などのお礼は、遺産総額から差し引けます。香典返しの費用、墓石・墓地の購入費、法事の費用は差し引けません。領収書が出ないお布施は、日付・支払先・金額をメモに残しておきましょう。

葬儀の希望を家族が守ってくれるか不安です。

葬儀の内容は、実際には喪主となる家族などが葬儀社と相談して決めることになります。希望を書くだけでなく、理由も添えて生前に話しておくと受け入れてもらいやすくなります。おひとりさまの場合は、葬儀を誰が手配するかを死後事務委任契約などで決めておく方法があります。

まとめ:葬儀の生前準備は「方針」と「お金の出どころ」を共有する

葬儀の生前準備は、形と規模、宗教・菩提寺、連絡先、予算と支払い方を決めて家族と共有することから始めます。国民生活センターには料金をめぐる相談が多く寄せられており、「家族葬」などの言葉のイメージにとらわれず、明細つきの見積書で含まれるものと追加費用を確認することが大切です。費用は預金の払戻し制度や健康保険の給付も踏まえて準備し、相続税の申告が必要なら葬式費用の控除も使えます。元気なうちの事前相談が、家族の負担をいちばん軽くします。

見送りの希望も、家族と共有しておく。

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※本記事は2026年10月時点の公的資料をもとにした一般的な解説です。葬儀の内容・費用は葬儀社や地域、参列者数で異なります。契約は見積書の明細を確認のうえ、ご自身で判断してください。税金の扱いは税務署・税理士に、トラブルは消費者ホットライン188にご相談ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-『家族葬だから安い』と思っていませんか?-」(2026年6月3日)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260603_2.html
国民生活センター「墓・葬儀サービス」https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/sougi.html
国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm
全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内」https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/7705_heritage_leaf.pdf
全国健康保険協会(協会けんぽ)「埋葬料・埋葬費」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/burial_charges/
豊橋市「国保の被保険者が死亡したとき(葬祭費)」https://www.city.toyohashi.lg.jp/6542.htm
豊橋市「斎場」https://www.city.toyohashi.lg.jp/5103.htm

この続きは、ゆいのわで。

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