相続の準備・終活

預貯金口座付番制度とは|親の口座を相続時にまとめて照会する備え

預貯金口座付番制度とは|親の口座を相続時にまとめて照会する備え

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「母の通帳は2冊見つかったけれど、ほかにも口座があるかもしれない」。相続の手続きで、最初につまずきやすいのが、口座の洗い出しです。通帳のないネット口座や、何十年も前に作った口座は、家族にはなかなか分かりません。この悩みへの備えとして知っておきたいのが、「預貯金口座付番制度」です。親が元気なうちに、口座にマイナンバーを結びつけておくと、もしものとき、相続人が一つの金融機関の窓口から、口座の所在をまとめて照会できるようになります。この記事では、制度のしくみと手続き、費用、そして「できないこと」を整理します。

預貯金口座付番制度とは|口座にマイナンバーを結びつける制度

預貯金口座付番制度は、預貯金者が自分の意思で金融機関にマイナンバーを届け出て、口座にマイナンバーを付番する制度です。「口座管理法」という法律にもとづいています。デジタル庁は、付番のメリットを次のように説明しています。

付番のメリット相続時や災害時に、一つの金融機関の窓口において、マイナンバーが付番された預貯金口座の所在を確認できるようになる。

デジタル庁の広報資料では、このしくみは「令和7年4月1日開始」と案内されています。複数の金融機関に口座があっても、一度の届出で、まとめて付番を申し出られるのが特徴です。

よくある誤解を先に整理

よくある誤解 デジタル庁の説明
強制的に付番される 任意の制度。本人の届出なく口座に付番されることはない
預金残高が国に筒抜けになる マイナンバーの届出をきっかけに、金融機関が国に預貯金残高などを知らせることはない
公金受取口座と同じもの 別の制度。公金受取口座を登録していても、口座への付番は行われない

国が口座の情報を確認できるのは、従来から、法令にもとづく社会保障の資力調査や税務調査などを行う場合に限られている、と説明されています。

生前にすること|口座へ付番する手続き

付番の届出は、ご本人が行います。方法は2つです。

方法 必要なもの
金融機関の窓口 マイナンバーカードなど、マイナンバーと本人特定事項(氏名・住所・生年月日)を確認できる書類。通帳やキャッシュカードなどは金融機関に確認する
マイナポータル マイナンバーカードと、マイナポータルを利用できるスマートフォンなど

一部の金融機関を除き、預金保険機構を経由して、一度に複数の金融機関へマイナンバーを届け出ることができます。ふだん使っている銀行の窓口で、ほかの銀行の口座もあわせて申し出られる、ということです。付番の結果は、窓口で申し出た場合は預金保険機構から郵送で、マイナポータルの場合は「お知らせ」で通知されます。

新しく口座を開くときや、店頭で100万円を超える国外送金をするときには、金融機関からマイナンバーを届け出るかどうかの意向を確認されます。これも口座管理法にもとづく対応で、窓口で尋ねられても、届け出るかどうかはご本人が決められます。すでに持っている口座については、自分から申し出ないかぎり付番されません。

届出の前に知っておきたい4つのこと

  • 口座ごとには選べない:付番する金融機関は選べるが、その金融機関の中で口座を個別に選ぶことはできない
  • 原則として取り消せない:付番が完了したあとは、原則として取り消すことができない
  • 登録情報が古いと付番できない:金融機関に届けている住所や氏名が、住民票の最新の記載と違っていると、付番できないことがある。引っ越し後に住所変更をしていない口座は、先に変更の手続きをする
  • 付番されない口座もある:金融機関の管理状況によっては、休眠口座など一部の口座が付番されない場合がある

親に勧めるときは、ご本人が納得したうえで、ご本人の手で届け出てもらうことが大切です。マイナンバーカードの暗証番号を子どもが聞き出して、代わりに操作するようなやり方は避けましょう。

もしものとき|相続人が行う「相続時照会」

付番が済んでいれば、相続が起きたとき、相続人は「相続時預貯金口座照会」を申し込めます。亡くなった方のマイナンバーが付番された口座について、対象となるすべての金融機関にまとめて照会できるしくみです。

項目 内容
申し込める人 相続人(包括受遺者を含む)。いずれか1名で申し込む。ほかの相続人の同意は不要
申込先 預金保険機構が受付を委託している金融機関。取引のない金融機関でも申し込める。マイナポータルからは不可
必要なもの 申込書、個人情報の第三者提供に係る同意書、申し込む人の本人確認書類、亡くなった方の氏名・住所・生年月日が確認できる書類、相続人であることが確認できる書類
手数料 申込み1件につき5,060円(税込)
結果が届くまで 申込みから1か月程度。転送不要の簡易書留で、国内の通知先に届く
照会できる期間 亡くなってから10年後まで

亡くなった方のマイナンバーを、相続人が調べて提出する必要はありません。預金保険機構が、氏名・住所・生年月日をもとに確認します。

相続人であることを確認する書類としては、戸籍の証明書などを用意します(相続の戸籍の集め方)。具体的な書類は、申し込む金融機関で確認してください。知っておきたい点が2つあります。

  • 申込みは、亡くなった方ごと:父と母の両方について照会したい場合は、それぞれ別の申込みになり、手数料もそれぞれにかかる
  • 受付後の取消しや訂正は、原則としてできない:申込書は、確認書類を見ながら慎重に記入する

通知で分かること・分からないこと

結果の通知書に記載されるのは、金融機関名、支店名、預貯金の種類、口座番号などです。口座の残高は含まれません。つまり、この照会で分かるのは「どこに口座があるか」まで。残高の確認や払戻しは、通知をもとに、それぞれの金融機関であらためて相続の手続きを行います(預貯金の相続手続き)。

住所の書き方ひとつで、照会できないことがあります預金保険機構は、他人のマイナンバーを誤って取得しないよう、亡くなった方の氏名・住所・生年月日を厳格に照合します。そのため、申込書の記載が正しくても、マイナンバーを確認できない場合があると案内されています。デジタル庁は、「一丁目一番地一号」と「1-1-1」のような表記の違いが出ないよう、確認書類の記載どおりに書くこと、確認書類としては住民票の除票が一致する可能性がもっとも高いと考えられることを示しています。申込みの受付後は、該当する口座がなかった場合も含めて、原則として手数料は返ってきません。

預貯金口座付番制度の限界|これだけで安心とは言えない理由

便利な制度ですが、「付番しておけば、口座探しはすべて解決」とは言えません。限界を知っておきましょう。

限界 内容
付番していない口座は出てこない 照会の対象は、生前にマイナンバーを結びつけた口座だけ
対象外の金融機関がある 一部の手続きの対象外となる金融機関がある(デジタル庁のWebサイトに一覧がある)
結果に載らないことがある 照会の期間内に金融機関から回答がない場合や、代表口座のみの回答となる場合がある
証明にはならない 照会結果は、口座の有無や相続する口座を証明するものではない
預貯金以外は対象外 対象は預貯金口座。証券口座や保険は、別の方法で調べる

とくに大切なのは、1つめです。付番は生前に、ご本人にしかできません。亡くなったあとで「付番しておけばよかった」と気づいても、さかのぼることはできないのです。

証券口座については、ネット銀行・ネット証券の相続で、探し方を解説しています。

付番と「口座の一覧」を組み合わせる

相続時照会は、家族が知らなかった口座を見つけるための保険と考えるのがよいでしょう。ふだんの備えとしては、やはり、ご本人が口座の一覧を作っておくことが基本です。

  • 口座の一覧を作る:金融機関名、支店名、口座の種類を書き出す。暗証番号やパスワードは書かない(エンディングノートの書き方)
  • 使っていない口座を整理する:長く使っていない口座は、元気なうちに解約して数を減らす
  • 届出住所を最新にする:住所や氏名が古いままの口座は、変更の手続きをしておく
  • 付番を済ませ、そのことを家族に伝える:「付番してあるから、もしものときは相続時照会ができる」と一言伝える

一般的には、金融機関が名義人の亡くなったことを知ると、その口座の取引は止まります(亡くなった人の銀行口座の凍結)。どこに口座があるかを早くつかめれば、その後の手続きも早く進みます。親の財産の把握の進め方は高齢の親の財産管理も参考にしてください。

たとえば、こんな使い方が考えられます。通帳が見つかった銀行については、その銀行で相続の手続きを進める。同時に、そのうちの一つの窓口で相続時照会を申し込み、ほかに付番された口座がないかを確かめる。1か月ほどで結果が届くので、新しく分かった口座があれば、遺産分割の話し合いに加えます。あとから口座が見つかって話し合いをやり直す、という事態を減らせます。

付番は、相続だけでなく災害への備えにもなります。通帳やキャッシュカードを持ち出せなかったときでも、付番しておけば、避難先の金融機関で自分の口座の情報を確認できるしくみが用意されています。

まとめ

預貯金口座付番制度は、生前に口座へマイナンバーを結びつけておくことで、相続時に口座の所在をまとめて照会できるようにする、任意の制度です。届出は金融機関の窓口かマイナポータルで行い、一度に複数の金融機関へ申し出られます。相続時照会は、相続人の1名が金融機関で申し込み、手数料は1件5,060円、結果は1か月程度で郵送されます。ただし、分かるのは口座の所在までで、付番していない口座は出てきません。口座の一覧づくりと組み合わせて備えましょう。手続きの詳細は、利用している金融機関やマイナンバー総合フリーダイヤルで確認できます。

参考にした公的情報(2026年10月確認)
デジタル庁「預貯金口座付番制度」https://www.digital.go.jp/policies/numbering-on-accounts
デジタル庁「よくある質問:預貯金口座付番制度について」https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_faq_09
預金保険機構「口座登録法及び口座管理法に基づく業務」https://www.dic.go.jp/katsudo/kozafuban.html
預金保険機構「相続時預貯金口座照会のお申込みにあたって(参考)」https://www.dic.go.jp/katsudo/content/souzokuji_yotyokinkoza_no_omousikominiatatte_202606.pdf
預金保険機構「相続時預貯金口座照会利用規定」https://www.dic.go.jp/katsudo/content/souzokuji_yotyokinkozasyokai_riyoukitei.pdf

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※本記事は2026年10月時点のデジタル庁・預金保険機構の公開情報をもとにした一般的な解説です。手数料・必要書類・対象金融機関は変更されることがあります。手続きの際は、金融機関または公的窓口の最新の案内をご確認ください。

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