本ページはプロモーションを含みます
「親の家と預金を相続したら、相続税がかかるのだろうか」——はじめて相続を経験する方の多くが、まずここで立ち止まります。結論から言うと、相続税がかかるのは、遺産から借金などを差し引いた正味の額が「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」を超えたときだけです。実際、2024年に亡くなった方のうち相続税の課税対象になったのは約10人に1人でした。この記事は、ゆいのわの相続税カテゴリの入口として、全体のしくみを一通り見渡せるようにまとめています。細かい論点は、それぞれの詳しい記事へ進んでください。
相続税の全体像を4つのポイントで押さえる
| 疑問 | 結論(一般的な扱い) |
|---|---|
| いくらからかかる? | 正味の遺産額が基礎控除を超えたとき。相続人3人なら4,800万円が目安 |
| 何に税金がかかる? | 預貯金・不動産・株式などに加え、死亡保険金・死亡退職金なども対象 |
| どう計算する? | 遺産全体の税額を出してから、実際に取得した割合で各人に分ける |
| いつまでに? | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納付 |
相続税は、財産を受け取った人(相続人や遺言で財産をもらった人)が納める税金です。亡くなった方の住所地を所轄する税務署に申告します。相続人の住所地ではない点に注意してください。
相続税はいくらからかかる?基礎控除が分かれ目
相続税法第15条は、遺産の合計から「3,000万円と、600万円に相続人の数を掛けた金額の合計」を差し引くと定めています。これが遺産に係る基礎控除額です。正味の遺産額がこの額以下なら、相続税はかからず、申告もしなくてよいのが原則です。
例:相続人が配偶者と子2人(計3人)なら、3,000万円+600万円×3=4,800万円。正味の遺産額がこれを超えるかどうかが最初の目安です。
ここでいう法定相続人の数は、相続を放棄した人がいても「放棄がなかったもの」として数え、養子は実子がいれば1人まで、いなければ2人までしか数えません。人数ごとの早見表や数え方の細かいルールは相続税の基礎控除と法定相続人の数え方で詳しく解説しています。
統計で見る「相続税がかかる人」
国税庁が2025年12月に公表した「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によると、2024年の死亡者数は約160.5万人、そのうち相続税の課税対象になった被相続人は約16.7万人で、課税割合は10.4%でした。基礎控除が引き下げられた2015年分以降で最も高い水準です。地価や株価の上昇で、以前なら対象外だった家庭が基礎控除を超えるケースも増えています。
同じ資料によると、課税対象となった相続の財産の内訳は、現金・預貯金等が約35%、土地が約30%、有価証券が約18%でした。「自宅と預金くらい」という家庭でも、都市部で土地の評価が高い場合や、退職金を預金で持っている場合は、基礎控除を超えることがあります。
相続税がかかる財産と差し引けるもの
基礎控除と比べる「正味の遺産額」は、次の足し算・引き算で求めます。
| 区分 | 主な中身 |
|---|---|
| 足すもの:本来の相続財産 | 現金、預貯金、有価証券、土地、家屋、貸付金など、お金に見積もれる経済的価値のあるもの |
| 足すもの:みなし相続財産 | 亡くなった方が保険料を負担していた死亡保険金、死亡退職金など |
| 足すもの:生前の贈与 | 相続時精算課税で受けた贈与財産、加算対象期間内の暦年課税の贈与財産 |
| 引くもの:非課税財産 | 墓地・墓石・仏壇など日常礼拝の物、死亡保険金・死亡退職金のうち「500万円×法定相続人の数」まで |
| 引くもの:債務・葬式費用 | 借入金や未払いの税金、通夜・葬儀・火葬などの費用(香典返しや法事の費用は含まない) |
土地や建物は、売れる金額ではなく、路線価や固定資産税評価額などを使って評価します。評価の方法は相続した土地の評価額の調べ方を参考にしてください。
相続税の計算の流れ
相続税は、遺産全体に一つの税率をかける税金ではありません。国税庁は次の順で計算すると説明しています。
| 手順 | やること |
|---|---|
| ①課税価格を出す | 各人が取得した財産から非課税財産・債務・葬式費用を差し引き、贈与財産を加える。全員分を合計する |
| ②相続税の総額を出す | 合計から基礎控除を引き(課税遺産総額)、法定相続分で分けたと仮定して税率をかけ、合計する |
| ③各人に配分する | 相続税の総額を、各人が実際に取得した財産の割合で分ける |
| ④加算・控除をする | 兄弟姉妹など一部の人は2割加算。配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除などを差し引く |
税率は10%から55%までの8段階で、法定相続分に応じた取得金額が大きいほど高くなります。速算表と、国税庁の計算例に沿った具体的な数字は相続税の税率と計算方法で確認できます。「実際の分け方にかかわらず、相続税の総額はほぼ一定になる」という点が、この計算方法の特徴です。
相続税を大きく左右する主な特例
相続税には、使えるかどうかで税額が大きく変わる特例があります。代表的なものを整理します。
| 特例 | 内容のポイント | 申告 |
|---|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者の取得分が1億6千万円か法定相続分相当額の多い方までなら、配偶者に相続税はかからない | 必要 |
| 小規模宅地等の特例 | 自宅の土地は330㎡まで評価を80%減額。事業用・貸付用にも枠がある | 必要 |
| 生命保険金・死亡退職金の非課税枠 | 相続人が受け取った分は、それぞれ「500万円×法定相続人の数」まで非課税 | 枠内なら不要 |
申告と納付の期限は10か月
相続税の申告と納付は、亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内です。葬儀や各種の届出、遺品の整理をしているうちに時間はすぐに過ぎていくため、遺産の把握と分割の話し合いは早めに始めるのが安心です。期限に遅れると、加算税や延滞税がかかることがあります。期限の数え方や遅れたときの対処は相続税の申告期限で詳しく解説しています。
よくある質問
基礎控除以下なら、税務署に何も出さなくてよいのですか?
正味の遺産額が基礎控除以下であれば、相続税の申告は原則として不要です。ただし、財産の評価を低く見積もっていたり、名義の違う預金や生前贈与を見落としていたりすると、実は基礎控除を超えていたということも起こります。ぎりぎりのときほど、財産を一つずつ洗い出して確認しておくと安心です。
相続税は誰が払うのですか?
財産を取得した人が、自分の取得分に応じて納めます。配偶者の税額軽減などで、本人の納税額がゼロになる人もいます。兄弟姉妹や、代襲相続人ではない孫など、配偶者と1親等の血族(子・親)以外の人は、税額が2割加算される点にも注意が必要です。
借金の方が多い場合はどうなりますか?
債務を差し引いた結果、正味の遺産額がマイナスや基礎控除以下になれば、相続税はかかりません。借金が多いときは、相続税よりも相続放棄や限定承認を検討するかどうかが先の論点になります。
自分で計算した結果は、そのまま信じてよいですか?
財産の評価、特に土地の評価や特例の要件の判定は専門的です。ここで紹介した計算は全体像をつかむための目安と考え、最終的な判断は税務署の相談窓口や税理士に確認してください。
まとめ:まずは財産の全体を把握することから
相続税がかかるのは、正味の遺産額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えたときだけです。課税割合は約10%ですが、土地や預金の多い家庭では身近な税金です。計算は「総額を出してから分ける」独特の方法で、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使えば大きく下がることもあります。ただし、特例は申告して初めて使えるものが多く、期限は10か月です。まずは家族の財産と相続人を一覧にして、基礎控除を超えそうかを確認するところから始めましょう。
※本記事は2026年10月時点の法令と国税庁の公表資料をもとにした一般的な解説です。税額や特例の適用は財産の内容や家族構成などの個別事情で異なります。正式な判断は税務署または税理士にご確認ください。
国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm
国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4105.htm
国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4108.htm
国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm
国税庁「No.4152 相続税の計算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(令和7年12月)https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf
e-Gov法令検索「相続税法」第15条・第19条の2・第27条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073






