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「実家の土地、相続税の計算ではいくらになるんだろう」。税理士に相談する前に、まず自分で目安を知っておきたい方は多いはずです。相続した土地の評価額は、国税庁が公開している「路線価図」を使えば、自宅のパソコンやスマホで調べられます。ただ、路線価図は数字と記号が並んだ地図で、初めて見ると読み方が分かりません。この記事では、路線価図の見方と、評価額の目安を出すまでの流れを5つのステップで説明します。
路線価図とは|相続した土地の評価額を出す基準
相続税を計算するとき、土地は「時価」で評価することになっています。とはいえ、自分の土地の時価を自分で調べるのは簡単ではありません。そこで国税庁は、申告の便宜と課税の公平のために、毎年、土地の評価の基準となる価格を定めて公開しています。これが路線価です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 路線価とは | 道路(路線)に面する標準的な宅地の、1平方メートル当たりの価額 |
| 表示の単位 | 千円単位 |
| 評価の時点 | 毎年1月1日 |
| 水準 | 地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途 |
| 公開 | 毎年。令和8年分は2026年7月1日に公開 |
注意したいのは、路線価が「売れる値段」ではないことです。公示価格などの8割程度を目途に定められているため、路線価で出した評価額は、実際の売買価格とは一致しません。路線価は相続税・贈与税を計算するためのものさしだと考えてください。売却を考えるときの価格は、別に不動産会社の査定などで確かめることになります。
土地の評価方法には、路線価が定められている地域で使う路線価方式と、定められていない地域で使う倍率方式の2つがあります。評価のしくみ全体は相続の不動産評価のしくみで解説していますので、この記事では「実際に路線価図を開いて読む」ところに絞ります。
路線価図の見方|5つのステップ
ステップ1 使う年分を選ぶ
国税庁のWebサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を開き、年分を選びます。相続の場合に使うのは、亡くなった日の属する年分の路線価図です。その年の分がまだ公開されていないときは、公開されてから評価します。パソコンがない場合は、全国の国税局や税務署に置かれたパソコンでも、だれでも閲覧できます。
ステップ2 土地のある場所の路線価図を開く
都道府県を選び、路線価図のページから市区町村、町名の順にたどります。路線価図は、地図の部分と、その上の説明の部分でできています。地図には町丁名と街区番号が書かれているので、固定資産税の納税通知書などで所在地を確かめながら、自分の土地が面している道路を探します。
ここで「倍率地域」と書かれていたら、その土地は路線価方式ではなく倍率方式で評価します(後ほど説明します)。
ステップ3 道路に書かれた数字と記号を読む
道路の上に「215D」のような表示があります。これが路線価です。
- 数字:1平方メートル当たりの価額(千円単位)。「215」なら215,000円
- アルファベット:借地権割合を示す記号。「D」なら60%
| 記号 | A | B | C | D | E | F | G |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
借地権割合は、土地を借りて家を建てている場合などに使う数字です。親が所有して自分で住んでいた土地(自用地)の評価では、数字のほうだけを使います。
ステップ4 地区区分と奥行価格補正率を確かめる
路線価は「標準的な宅地」の価格なので、実際の土地の形に合わせて補正します。代表的なのが、道路からの奥行きに応じた奥行価格補正率です。補正率は、路線価図に示された地区区分(普通住宅地区、普通商業・併用住宅地区など)ごとに決まっています。地区区分は路線価の表示に付けられた記号で示され、凡例は図の上部の説明部分にあります。
国税庁の奥行価格補正率表(平成30年分以降用)で、普通住宅地区の一部を抜き出すと次のとおりです。
| 奥行距離 | 普通住宅地区の補正率 |
|---|---|
| 8m以上10m未満 | 0.97 |
| 10m以上24m未満 | 1.00 |
| 24m以上28m未満 | 0.97 |
| 28m以上32m未満 | 0.95 |
ステップ5 面積をかけて評価額の目安を出す
ひとつの道路だけに面した土地なら、計算の形は次のとおりです。
1平方メートル当たりの価額 × 面積 = 評価額(自用地の価額)
国税庁の「路線価図の説明」には、次の計算例が載っています。普通商業・併用住宅地区で表示が「300C」、奥行35m、面積700平方メートルの土地の場合です。
- 300,000円 × 0.97(奥行35mの補正率)= 291,000円
- 291,000円 × 700平方メートル = 203,700,000円
住宅地の例でイメージしてみましょう。普通住宅地区で表示が「200D」、奥行15m、面積150平方メートルの土地だとします。奥行15mの補正率は1.00なので、200,000円 × 1.00 × 150平方メートル = 30,000,000円。これが評価額の目安です(数字は説明のための仮のものです)。
面積は、登記事項証明書や固定資産税の課税明細書に載っている地積を使って、まず目安を出してみましょう。奥行きが分からないときは、土地の図面や、家を建てたときの資料が手がかりになります。
路線価図に「倍率地域」と書かれていたら
路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価します。倍率は、国税庁の同じサイトにある「評価倍率表」で、市区町村と町名ごとに確認できます。固定資産税評価額は、都税事務所や市区役所、町村役場で確認できるほか、毎年届く課税明細書にも記載されています。
たとえば、土地の固定資産税評価額が1,000万円、評価倍率表の倍率が1.1であれば、1,000万円 × 1.1 = 1,100万円が評価額の目安です(仮の数字です)。路線価方式のような奥行きの補正がないぶん、計算はシンプルです。
なお、建物(家屋)は、路線価とは関係なく、固定資産税評価額に1.0をかけた金額、つまり固定資産税評価額と同じ額で評価します。
自分で出した評価額が「目安」にとどまる理由
ここまでの手順で出せるのは、あくまで目安です。実際の申告では、土地ごとの事情に応じて、さらに細かな調整が入ります。
| こんな土地 | 評価が変わる理由 |
|---|---|
| 角地、2本以上の道路に面している | 側方路線影響加算、二方路線影響加算がある |
| 間口が狭い、奥行きが長い、形がいびつ | それぞれ補正の決まりがある |
| 道路が狭く、建て替え時に後退が必要 | セットバック部分の評価の決まりがある |
| 人に貸している、アパートが建っている | 権利関係に応じて評価額が調整される |
| 分譲マンション | 敷地全体の価額に敷地権の割合をかけ、補正率を使う場合がある |
このほか、自宅の敷地などには、一定の面積まで評価額を減らせる特例もあります(小規模宅地等の特例)。特例を使えるかどうかで、評価額は大きく変わります。マンションの評価はマンションの相続で取り上げています。
評価額の目安が出たあとにすること
土地の目安が出たら、預貯金や保険などほかの財産と合わせて、全体の金額を見ます。相続税は、財産の合計が基礎控除額を超える場合に申告が必要になります(相続税の基礎控除とは)。
- 合計が基礎控除を明らかに下回る:申告は不要の可能性が高い。ただし、特例を使ってはじめて下回る場合は申告が必要なことがある
- 基礎控除に近い、または超えそう:早めに税理士へ相談する。土地の評価しだいで結果が変わる
自分で申告まで進めるか、専門家に頼むかの判断は、相続税を自分で申告する方法を参考にしてください。土地が複数ある、形が複雑、貸している土地がある、といった場合は、専門家に任せるほうが安心です。
路線価図は、相続が起きる前に見ておくこともできます。親が元気なうちに実家の土地の目安を知っておくと、家族で今後のことを話すきっかけになります。ただし、路線価は毎年見直されます。生前に調べた数字は、実際に相続が起きた年の路線価とは異なる可能性があるため、「いまの時点でのおおよその規模」をつかむための数字として扱いましょう。実家をどうするかの考え方は実家をどうする?相続後の選び方も参考になります。
まとめ
路線価図は、国税庁のWebサイトでだれでも見られます。亡くなった年の路線価図を開き、土地が面する道路の数字(千円単位)を読み、奥行価格補正率と面積をかける。これが、相続した土地の評価額の目安を出す基本の流れです。「倍率地域」なら、固定資産税評価額に倍率をかけます。角地や不整形地、貸している土地などは調整が必要で、自分で出した数字は目安にとどまります。申告が必要になりそうなときは、税務署や税理士に相談しましょう。
国税庁「路線価図の説明」https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm
国税庁「令和8年分の路線価等について」https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2026/rosenka/index.htm
国税庁 タックスアンサー No.4602「土地家屋の評価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
国税庁 タックスアンサー No.4604「路線価方式による宅地の評価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4604.htm
国税庁 タックスアンサー No.4606「倍率方式による土地の評価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4606.htm
国税庁「奥行価格補正率表」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm
※本記事は2026年10月時点の国税庁の公開情報をもとにした一般的な解説であり、個別の土地の評価額や税額を示すものではありません。実際の評価・申告は、税務署または税理士にご確認ください。






