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「親が遺言書を書いていたか分からない」「どこかに預けていたかもしれない」——相続が始まったとき、最初に確かめたいのが遺言書の有無です。結論から言うと、遺言書の探し方は種類ごとに3つあります。公正証書遺言は全国の公証役場の「遺言検索」(無料)、法務局に預けた自筆証書遺言は「遺言書保管事実証明書」(1通800円)で確認でき、自宅などで保管された遺言書は家の中や身の回りを探すしかありません。この記事では、それぞれの請求方法と必要書類、見つかった後に気をつけることを、日本公証人連合会と法務省の公式情報をもとに整理します。
遺言書があるか調べる3つの方法
| 遺言の種類 | 調べる方法 | 費用 |
|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 全国どこの公証役場でも「遺言検索」を申し出る | 無料 |
| 自筆証書遺言(法務局で保管) | 全国どこの遺言書保管所(法務局)でも「遺言書保管事実証明書」を請求 | 1通800円 |
| 自筆証書遺言(自宅などで保管)・秘密証書遺言 | 自宅、貸金庫、身近な人への確認など | — |
遺言書は1通とは限りません。古い自筆の遺言と新しい公正証書遺言が両方ある、ということも起こり得ます。前の遺言と後の遺言の内容が食い違う部分は、後の遺言で撤回したものとみなされます(民法1023条)。1つ見つかっても、ほかの方法でも確認しておくのが安心です。
公正証書遺言は公証役場の「遺言検索」で調べる
日本公証人連合会は、平成元年以降に全国の公証役場で作成された公正証書遺言の情報を管理しています。相続人などの利害関係人は、全国どこの公証役場でも遺言検索を申し出ることができ、遺言があれば、どの公証役場に保管されているかが分かります。公正証書遺言のしくみは公正証書遺言とはで解説しています。
申し出できる人と必要書類
遺言者が亡くなった後は、相続人などの利害関係人が申し出られます。遺言者が存命中は、遺言者本人に限られます。
- 遺言者が亡くなったことが分かる書類(除籍謄本など)
- 申し出る人が相続人であることが分かる戸籍謄本
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など顔写真付きの公的身分証明書、または実印と印鑑登録証明書)
戸籍の集め方は相続の戸籍の集め方が参考になります。
見つかったら謄本を請求する
検索の結果、遺言が保管されている公証役場が分かれば、その公証役場に遺言公正証書の謄本を請求します。日本公証人連合会によると、謄本は郵送でも請求できます。その場合は、謄本請求書、遺言者の死亡が分かる書類、相続人であることが分かる戸籍謄本、本人確認書類が必要で、顔写真付きの身分証明書で本人確認をする場合は、補充的にテレビ電話での確認が行われるとされています。
法務局の「遺言書保管事実証明書」で調べる
自筆証書遺言を法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」を使っていれば、遺言書は法務局(遺言書保管所)に預けられています(自筆証書遺言書保管制度)。保管されているかどうかは、遺言書保管事実証明書の交付を請求して確認します。
| 項目 | 内容(法務省の案内より) |
|---|---|
| 請求できる時期 | 遺言者が亡くなった後(相続開始後) |
| 請求できる人 | 相続人、受遺者、遺言執行者など |
| 請求先 | 全国どこの遺言書保管所でも可。郵送請求もでき、郵送なら予約不要(窓口は予約制) |
| 手数料 | 1通800円(収入印紙) |
| 主な必要書類 | 交付請求書、遺言者の死亡が分かる戸籍(除籍)謄本、請求する人の住民票の写し、相続人の場合は相続人であることが分かる戸籍謄本、本人確認書類。郵送なら返信用封筒と切手 |
保管されていたら:遺言書情報証明書を取る
保管されていることが分かったら、遺言書情報証明書(1通1,400円)を請求すると、遺言書の画像が載った証明書を受け取れます。これが原本の代わりになり、名義変更などに使えます。法務局で保管されていた遺言書は検認が不要です。また、相続人の1人が証明書の交付や閲覧を受けると、ほかの相続人などにも、遺言書が保管されていることが通知されます(関係遺言書保管通知)。
遺言者が保管の申請時に希望していれば、法務局が遺言者の死亡を確認した時点で、あらかじめ指定された人(3名まで)に通知が届く「指定者通知」もあります。こうした通知が届いていないかも確認しましょう。
自宅などで保管されていた遺言書の探し方
自宅で保管する自筆証書遺言や、本人が保管する秘密証書遺言(秘密証書遺言とは)は、公的な検索の仕組みがありません。次のような場所や人を当たってみます。
- 自宅:仏壇、金庫、机の引き出し、重要書類のファイル、通帳や権利証の近く
- 貸金庫:金融機関に貸金庫の契約がないか確認する
- 身近な人:預かっていそうな親族、親しい友人
- 専門家:生前に相談していた司法書士・行政書士・弁護士・税理士など。遺言の作成や保管に関わっていないか
- 手がかり:エンディングノート、手帳、公証役場や法務局からの書類、遺言信託の契約書類
遺言書の確認は遺産分割協議の前に
遺言書の有無によって、その後の流れは大きく変わります。遺言があれば原則としてその内容にそって手続きを進め、なければ相続人全員で遺産分割協議をします(相続手続きの流れ)。遺産分割を終えた後で遺言書が見つかると、内容によっては話し合いのやり直しが必要になることがあります(遺産分割のやり直し)。相続放棄の3か月など期限のある手続きもあるため、遺言の確認は相続の早い段階で済ませておきましょう。
よくある質問
親が生きているうちに、遺言があるか調べられますか?
できません。公証役場の遺言検索は、遺言者の存命中は本人しか申し出られません。法務局の遺言書保管事実証明書も、遺言者が亡くなった後でなければ請求できません。生前に知りたい場合は、本人に直接確認することになります。
遺言検索で「なし」と出たら、遺言書はないと考えてよいですか?
公証役場の遺言検索で分かるのは、平成元年以降の公正証書遺言の有無だけです。法務局の保管制度や自宅保管の遺言書は対象外なので、法務局での確認と自宅などの捜索もあわせて行いましょう。
遠方に住んでいて公証役場や法務局に行けません。
遺言書保管事実証明書は郵送で請求できます。公正証書遺言の謄本も、保管している公証役場に郵送で請求できます。遺言検索の申し出の方法は、最寄りの公証役場に事前に確認すると確実です。
まとめ:3つの方法で「念のため」の確認を
遺言書があるか分からないときは、公証役場の遺言検索(無料)で公正証書遺言を、法務局の遺言書保管事実証明書(1通800円)で保管制度の遺言書を、自宅や貸金庫などで自宅保管の遺言書を確認します。いずれも遺言者が亡くなった後に相続人などが請求でき、戸籍や本人確認書類が必要です。自宅で見つかった遺言書は開封せずに検認へ。遺産分割協議を始める前に確認を済ませておくことが、やり直しを防ぐいちばんの近道です。
※本記事は2026年10月時点の法令と公的な案内をもとにした一般的な解説です。必要書類や請求方法は変更されることがあります。手続きの際は、公証役場・法務局・家庭裁判所の最新の案内をご確認ください。
日本公証人連合会「遺言」(遺言検索・謄本請求のQ&A)https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow02
法務省「自筆証書遺言書保管制度 相続人等の手続」https://www.moj.go.jp/MINJI/04.html
法務省「自筆証書遺言書保管制度 証明書」https://www.moj.go.jp/MINJI/05.html
法務省「自筆証書遺言書保管制度 手数料」https://www.moj.go.jp/MINJI/09.html
法務省「自筆証書遺言書保管制度 通知について」https://www.moj.go.jp/MINJI/10.html
裁判所「遺言書の検認」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html
e-Gov法令検索「民法」第1004条・第1005条・第1023条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089






