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入院や、もしものとき、家族がまず戸惑うのが「誰に、いつ、どう連絡すればいいのか」です。親戚の連絡先は分かっても、本人の古い友人、趣味の仲間、かつての職場、お世話になっている専門家となると、家族はほとんど知りません。結論から言うと、連絡先リストは名前と電話番号を並べるだけでなく、「どのタイミングで知らせてほしいか」まで書いておくと、家族が本当に助かるものになります。この記事では、載せる人の選び方、書く項目、保管と更新のコツに加え、法務局や自治体の公的な仕組みも紹介します。
もしもの連絡先リストが役立つ4つの場面
連絡先リストは、亡くなったときだけに使うものではありません。使う場面を思い浮かべると、載せるべき人が見えてきます。
| 場面 | 家族が困ること | リストにあると助かる情報 |
|---|---|---|
| 急な入院・救急 | 本人に代わって話せる人が分からない | 緊急連絡先、かかりつけ医、ケアマネジャー |
| 危篤のとき | 会わせたい人に連絡できない | 「危篤のとき知らせてほしい人」の印 |
| 亡くなった直後 | 訃報や葬儀の案内をどこまで出すか迷う | 葬儀に来てほしい人、知らせる範囲 |
| 葬儀のあと・手続き | 事後報告の相手や、相談先が分からない | 事後に知らせる人、税理士・保険の担当者など |
亡くなったあとの手続き全体の流れは死亡後の手続き一覧でまとめています。
リストに載せる人:6つの分類
| 分類 | 例 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 親族 | きょうだい、おじ・おば、いとこ、配偶者の親族 | 家族が普段付き合いのない遠い親戚 |
| 友人・知人 | 学生時代の友人、近所の親しい人 | 年賀状だけのやり取りが続いている人 |
| 趣味・地域の仲間 | サークル、町内会、同窓会、宗教関係 | 団体の代表者に伝えれば広がる場合も |
| 仕事関係 | 勤務先、元の職場、取引先 | 退職後も付き合いのある元同僚 |
| 医療・介護 | かかりつけ医、ケアマネジャー、訪問介護の事業所 | 入院時にすぐ必要になる |
| 専門家・契約先 | 税理士、司法書士、保険の担当者、菩提寺、葬儀社 | 遺言書を預けている先や、生前契約の相手 |
「全員を載せる」必要はありません。迷ったら、自分のもしものとき、知らせがなかったら悲しむだろう人を基準に選ぶと絞りやすくなります。
書いておく項目と見本
1人ごとに、次の項目をそろえておくと、家族が連絡するときに迷いません。
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 名前とよみがな | 家族が電話で名乗れるよう、読み方も |
| 関係・続柄 | 「高校の同級生」「元職場の上司」など具体的に |
| 電話番号・メール・住所 | 住所は、あとで挨拶状や香典返しを送るときに役立つ |
| 知らせるタイミング | 危篤時/亡くなった直後/葬儀後に報告、のどれか |
| 伝えてほしいこと | 「葬儀に来てほしい」「香典は辞退」など |
| 取りまとめ役 | 「この人に伝えれば同窓会の仲間に広げてくれる」など |
見本の1行は、たとえば次のようになります。
「取りまとめ役」を決めると家族の負担が減る
友人グループや団体ごとに、連絡を広げてくれる人を1人決めておくと、家族は何十人にも電話をかけずに済みます。本人から「もしものときはお願いね」と頼んでおくと、なお安心です。
作り方の6ステップ
- 洗い出す:スマホの連絡帳、年賀状、名刺、手帳から候補を書き出す。
- 分類する:上の6つの分類に振り分ける。
- タイミングを決める:危篤時・直後・事後報告の印を付ける。
- 取りまとめ役を決める:グループごとに連絡を広げてくれる人を選ぶ。
- 保管して、在り処を伝える:家族の1〜2人に、どこにあるかを伝える。
- 年に1回見直す:年賀状を書く時期など、決まった時期に更新する。
連絡先リストと組み合わせたい公的な仕組み
遺言書を法務局に預けている人は「死亡時の通知」
自筆の遺言書を法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」では、遺言者が希望すると、法務局が遺言者の死亡を確認したときに、あらかじめ指定した人(3名以内)へ遺言書を保管していることを知らせる通知が届きます(指定者通知)。法務省によると、2023年10月2日からは、相続人や受遺者などに限らず指定でき、人数も3名まで指定できるようになりました。遺言書の存在を確実に伝えたい人は、連絡先リストとあわせて検討するとよいでしょう。なお、この通知だけでは遺言書の内容の証明書は請求できないと法務局は注意しています(自筆証書遺言書保管制度とは)。
自治体の「終活情報の登録」
自治体によっては、緊急連絡先や遺言書・エンディングノートの保管場所などを登録しておける事業があります。たとえば神奈川県横須賀市の「わたしの終活登録」は、2018年5月に始まった事業で、本人が意思を伝えられなくなったときに病院・消防・警察・福祉事務所や本人が指定した人の照会に応じて登録情報を開示し、遺言書の保管先は本人の死後に指定した人にだけ開示する仕組みです。同じような制度があるかは、お住まいの市区町村に確認してください。
医療やケアの希望は「人生会議」で共有
厚生労働省は、もしものときに望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い共有する「人生会議」を勧めています。連絡先リストの「緊急連絡先」には、こうした話し合いをしてきた、本人に代わって希望を伝えられる人を書いておくと、入院時などに役立ちます。
保管と共有で気をつけること
- 他人の個人情報が含まれる:リストは友人や知人の電話番号・住所の集まりです。人目につく場所に置かず、必要なときに信頼できる家族が見られる形にしましょう。
- コピーを増やしすぎない:家族全員に配るより、保管場所を1〜2人に伝えるほうが管理しやすくなります。
- 葬儀の希望とセットで:「家族葬にして、友人には事後に知らせてほしい」といった希望があれば、リストの近くに書いておくと、家族が連絡の範囲を判断しやすくなります(葬儀の生前準備)。
よくある質問
家族葬にしたい場合、呼ばない人にはどう知らせればいいですか?
リストで「葬儀後に報告」の印を付けておき、葬儀のあとに挨拶状や電話で知らせる方法が一般的です。誰に、どのような形で知らせてほしいかを書いておくと、家族が判断に迷いません。
連絡先が分からなくなった古い友人はどうしますか?
名前と関係、共通の知人を書いておくだけでも役立ちます。家族が共通の知人を通じて連絡できることがあります。
頼れる家族がいない場合はどうすればいいですか?
連絡先リストを誰が使うかを決めておく必要があります。亡くなったあとの連絡や手続きを第三者に頼む「死後事務委任契約」という方法もあります(おひとりさまの終活と相続)。
どのくらいの頻度で更新すればいいですか?
年に1回が目安です。引っ越しや退職、入院など、生活に変化があったときにも見直しましょう。更新した日付をリストに書いておくと、家族がどれくらい新しい情報か判断できます。
まとめ:「誰に」と「いつ」をセットで残す
もしもの連絡先リストは、家族が「誰に連絡すればいいか」で困らないための備えです。親族・友人・趣味や地域の仲間・仕事関係・医療介護・専門家の6分類で洗い出し、名前・関係・連絡先に加えて、知らせるタイミングと伝えてほしいことを書いておきましょう。グループごとに取りまとめ役を決めると、家族の負担はぐっと軽くなります。スマホの中だけにせず、スマホを開かなくても見られる形で保管し、年に1回は見直してください。遺言書の死亡時通知や自治体の終活登録といった公的な仕組みと組み合わせると、さらに確実です。
※本記事は2026年10月時点の公的機関の情報をもとにした一般的な解説です。制度の内容や自治体の事業は変更されることがあります。遺言書の保管制度は法務局に、自治体の事業はお住まいの市区町村にご確認ください。
東京法務局「遺言者が亡くなられた後に行う手続」https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00638.html
法務省「自筆証書遺言書保管制度について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
横須賀市「わたしの終活登録」https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2610/syuukatusien/syuukatutouroku.html
厚生労働省「『人生会議』してみませんか」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html
国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241120_1.html






