不動産の相続

相続した不動産の手続き完全ガイド|名義変更・税金・売却の流れと期限

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「親の家や土地を相続することになったけれど、何から手をつければいいのか」。不動産の相続は、名義変更・税金・売るかどうかの判断が絡み合い、順番を間違えると二度手間になりがちです。結論から言うと、手続きは①どんな不動産があるか調べる → ②誰が引き継ぐか決める → ③相続登記(3年以内の義務)→ ④相続税の確認(10か月以内)→ ⑤住む・貸す・売る・手放すを決めるの順に進めます。この記事では各ステップでやること・期限・窓口を整理し、詳しい解説記事へ案内します。

相続した不動産の手続きは5ステップ(期限一覧)

ステップ やること 期限 主な窓口
①不動産を調べる 名寄帳・納税通知書・登記事項証明書で、故人名義の不動産を洗い出す なし(最初に) 市区町村、法務局
②誰が引き継ぐか決める 遺言の有無を確認し、なければ相続人全員で遺産分割協議 法律上の期限なし(相続税の申告前が望ましい) 相続人どうし
③相続登記 名義を相続人に変更する 取得を知った日から3年以内(義務) 不動産の所在地を管轄する法務局
④相続税の確認・申告 不動産を評価し、基礎控除を超えるなら申告・納税 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 故人の住所地の税務署
⑤活用・売却・手放す 住む・貸す・売る・国庫帰属などを選ぶ 売却の税の特例には期限あり 不動産会社、法務局など

相続放棄(3か月以内)を考える必要がある場合は、不動産に手をつける前に判断します。借金が多いなど放棄の可能性があるなら、先に相続放棄の期限と手続きを確認してください。

①相続した不動産を漏れなく調べる

最初の作業は「何を相続するのか」の確定です。実家だけだと思っていたら、別の土地や私道の持分、山林が見つかることは珍しくありません。登記から漏れた土地は、何年も後に売却や相続で困る原因になります。

調べ方は3つ

  • 固定資産税の納税通知書:毎年1回、市区町村から届く。課税されている不動産が載る
  • 名寄帳(なよせちょう):市区町村ごとに、その人が所有する不動産をまとめた台帳。課税されない小さな土地まで載る場合があり、通知書より漏れを見つけやすい
  • 所有不動産記録証明書:2026年2月2日に始まった法務局の制度。故人が登記名義人になっている不動産を全国分まとめてリスト化してくれる(書面請求で1件1,600円)。ただし登記上の氏名・住所が検索条件と合わないと出てこないことがある

見つかった不動産は、法務局で登記事項証明書を取って現在の名義を確認します。祖父母の名義のまま残っている土地があれば、その分の相続人も確定させる必要があります(所有不動産記録証明制度の使い方)。

②誰が不動産を引き継ぐか決める(遺産分割)

遺言書があれば、原則としてその内容に沿って名義を変えます。遺言がなければ、相続人全員で話し合って決めます(遺産分割協議)。不動産は現金のように割り切れないため、分け方は主に3つです。

分け方 内容 向いているケース
現物分割 特定の人が不動産をそのまま取得する 住み続ける人がいる
代償分割 一人が取得し、他の相続人にお金を払う 取得する人に支払える資金がある
換価分割 売却して代金を分ける 誰も使わない
「とりあえず共有」は慎重に兄弟姉妹で持分を分け合う共有は、公平に見えて後が大変です。将来の売却や建て替えには共有者全員の同意が必要で、共有者が亡くなるたびに権利者が増えていきます。詳しくは共有名義の相続をご覧ください。

分け方が決まったら遺産分割協議書を作り、相続人全員が署名・実印を押します。協議書は相続登記にも相続税の申告にも使います。

③相続登記(名義変更)は3年以内の義務

2024年4月1日から相続登記は義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。2024年4月より前の相続で登記していないものも対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

主な必要書類と費用

  • 故人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍(法定相続情報一覧図で代用可)
  • 遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書(遺言による場合は遺言書)
  • 不動産を取得する人の住民票、固定資産評価証明書
  • 登録免許税:固定資産税評価額をもとにした価額の0.4%。価額100万円以下の土地などは、2027年3月31日までの申請なら免税措置あり

遺産分割がまとまらず期限に間に合いそうにないときは、自分が相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」で義務を果たすこともできます。制度の詳細は相続登記の義務化で解説しています。

2026年4月からは住所変更も義務に登記名義人の住所・氏名が変わったときは、2年以内に変更登記をすることが義務になりました(5万円以下の過料の対象になり得ます)。相続で名義を取得した後に引っ越した場合も対象です。

④不動産の評価と相続税の確認

相続税がかかるかどうかは、不動産を含む遺産の合計額が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかで決まります。不動産の評価は、土地が路線価方式または倍率方式、建物が固定資産税評価額を基準にするのが原則です。評価のしかたは相続した土地の評価額の調べ方にまとめています。

故人が住んでいた自宅の土地は、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」で330㎡まで評価額を80%減らせる場合があります。ただし特例を使うには、税額がゼロになる場合でも申告が必要です。申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内で、遺産分割がまとまっていないと使えない特例もあるため、②の話し合いは早めに進めるのが安心です。

⑤住む・貸す・売る・手放すを決める

名義を整えたら、その不動産をどうするかを決めます。選択肢と、関連する記事は次のとおりです。

選択肢 ポイント 詳しい記事
住む・貸す・活用する 修繕費、借り手の有無、固定資産税を比べる 相続不動産の活用方法
売る(段取り) 相続登記→査定→媒介契約→売買契約→引渡し 相続した家を売る流れ
売る(税金) 譲渡所得税、取得費加算、空き家の3,000万円控除 相続した不動産の売却と税金
空き家のまま持つ 管理不全空家の勧告で固定資産税が上がることも 相続した実家・空き家はどうする
国に引き取ってもらう 建物のない土地が対象。審査手数料と負担金が必要 相続土地国庫帰属制度

空き家を売る場合の「3,000万円控除」は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが条件です。使う予定がないなら、③の登記と並行して方針を家族で話し合っておくと、期限を逃しにくくなります。

よくある質問

不動産の名義変更は自分でできますか?

できます。法務局の窓口・郵送・オンラインで申請でき、法務局では予約制の手続案内もあります。戸籍の収集が多い、数代前の名義のまま、などのケースは司法書士に依頼する人が多いです。

相続登記と相続税の申告、どちらを先にすべきですか?

期限は相続税の申告(10か月)のほうが早く来ます。どちらも遺産分割協議書を使うため、分け方を決めたら両方を並行して進めるのが一般的です。

固定資産税は名義変更前でも払う必要がありますか?

払う必要があります。名義変更前は相続人が納税義務を引き継ぎ、市区町村から代表者の届出を求められることがあります。詳しくは相続した不動産の固定資産税をご覧ください。

遠方の実家でも手続きできますか?

できます。登記の申請や証明書の請求は郵送・オンラインでも可能です。現地に行く回数を減らすため、書類の請求や申請は郵送・オンラインを組み合わせるとよいでしょう。

まとめ:不動産の相続は「調べる・決める・登記する」から

相続した不動産は、①故人名義の不動産を漏れなく調べ、②誰が引き継ぐか決め、③3年以内に相続登記をし、④10か月以内に相続税の要否を確認し、⑤住む・貸す・売る・手放すを選ぶ、という順に進めます。期限がいちばん早いのは相続税、罰則があるのは相続登記です。迷ったときは、登記は法務局や司法書士、税金は税務署や税理士に、早めに相談しましょう。

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※本記事は2026年10月時点の法令・公的機関の案内をもとにした一般的な解説です。期限の起算点や特例の適用、税額は個別の事情で異なります。登記は法務局・司法書士に、税金は税務署・税理士にご確認ください。

参考にした公的情報・公式案内(2026年10月確認)
法務省「相続登記の申請義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
法務省「所有不動産記録証明制度について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html
法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00694.html
法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
国税庁「No.4152 相続税の計算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html

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